記事一覧
「共同親権」について考える(1)
1.はじめに
EUの子の連れ去り問題についての日本に対する決議や共同親権に対する集団提訴などの社会的な動きに合わせて、マスコミが共同親権の問題を取り上げることも増えてきた。
私は、日本にも一日も早く共同親権を導入されるべきだと考えるものであるが、共同親権をめぐっては賛成派、反対派からさまざまな意見が出されているだけでなく、賛成派の中にもいろいろな考え方があるため、自分の思考の到達点を明らかにす
家族法制の見直しに関する中間試案についての意見書
はじめに わが国の家族法制は、欧米の先進国に比べると30年以上は遅れている。戦後、日本国憲法の規定に合わせて、民法の家族法制は大改正が行われた。この時点では、わが国の家族法制は欧米先進国とほぼ同等の水準にあったと考えられる。しかし、欧米では1980年ころに女性の社会進出が進んだことによる、現実の家族と家族法制の乖離を修正する形で法改正が行われてきたのに対して、わが国は必要な手当てをなさず、その後
ウソとゴマカシだらけの共同親権反対論 ~その2~
「DV(Domestic Violence)」のウソ・ゴマカシ
まず、《 DV(家庭内暴力)は絶対に許されないものであるし、DVに苦しむ被害者には適切な救済が用意されるべきことは当然である》という点は、共同親権を導入すべきと主張する人たちにとっても共通の理解と言って差し支えないでしょう。
それなら、DV被害者を守るために共同親権は導入すべきではないのでしょうか?
いいえ、違います。なぜなら
ウソとゴマカシだらけの共同親権反対論
~あなたも「加害者」の仲間に入りますか?~はじめに
いま、法制審議会やマスコミなどで日本でも「離婚後の共同親権」(以下、単に「共同親権」と呼びます)を導入すべきかという議論がなされています。
わが国の民法は未成年の子のある夫婦の離婚に際しては父母の一方を親権者として定めなければならないと定めています(819条)。しかし、欧米をはじめ、世界のほとんどの国では離婚後単独親権制度を経て、共同親権
「離婚後の共同親権とは何か」を読む(中止のお知らせ)
前回の記事を書いてから1年以上も経過してしまいました。
実は、記事を書くにあたって、「離婚後の共同親権とは何か」を毎回、図書館で借りて読みながら記事を書いていたのですが、なぜか、図書館の蔵書から消えてしまい、借りることができなくなってしまったのです。
紛失なのか、廃棄なのか、それ以外の事情なのかは分かりませんが、元本がなくては記事を書くこともできません。古本で手に入れることも考えたのですが、
「連れ去り」被害者にならないために
はじめに 元プロ棋士の橋本崇載八段が「連れ去り」の被害に遭ったことをYouTubeで告発してから、「連れ去り」の問題に世間の関心が一挙に高まったように思う。
私は、『子の最善の利益』という観点から、『離婚後の共同親権』と『未成年の子のある夫婦の別居に法的ルールを』ということをTwitterでたびたび訴えてきた。家族法制の全般的な見直し作業も進められ、今後は『共同親権』導入の方向に進んでいくものと
「離婚後の共同親権とは何か」を読む(2)
「第2章 離婚後共同親権と憲法
―子どもの権利の観点から 木村草太」 木村は、「はじめに」の最後の一文を「本章では、憲法学の観点から、この問題を検討してみたい。」と述べている。
しかし、木村の論考は「憲法学の観点」は言うに及ばず、『法学』のレベルにも届いていない、お粗末極まりないものである。
以下、詳しく検討する。
(1) 「Ⅰ 共同親権の概念」
木村は、最初に共同親権の概念
「離婚後の共同親権とは何か」を読む(1)
1.はじめに 本稿は、「離婚後の共同親権とは何か」という書籍の批判的書評である。しかしながら、単に批判的書評にとどめず、本書の内容をできるだけ正確に紹介しつつ、その論理や思考方法にどのような問題があるのかを、できるだけ分かりやすく書いたつもりである。
離婚後の共同親権導入に賛成する人も、また、反対する人にとっても、その思考の一助となれば幸いである。
(なお、本書からの引用は「」で括って表記し、要
日弁連の意見書、おかしくないか?
1.はじめに 日本弁護士連合会(以下、「日弁連」)は、2020年10月20日付の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の改正を求める意見書」(以下、「本意見書」)を発表した。
私が見る限り、本意見書に対して法律家や女性団体は極めて冷淡な反応をしている。猪野亨弁護士がブログで簡単にコメントしている程度である。
それは、本意見書は、法律家がきちんと内容を精査したものとは思えず、その
絶対的単独親権制度の深い闇
1.猪野弁護士のブログと事件について
猪野亨弁護士は、『日本では離婚後の共同親権制度の導入は不要であるばかりか、むしろ弊害の方が大きい』という趣旨の主張を、氏のツイッターやブログで繰り返している。
私は、猪野氏が2020年6月29日付でブログに載せた記事「秋田女児殺人事件を題材に考える 離婚後の共同親権があれば子の虐待は防げるのか)」(http://inotoru.blog.fc2.com/b