スライド49

【#読書メモ】ディズニー、NASA が認めた遊ぶ鉄工所

上位20%の優良顧客をターゲットとせずに、社員のモチベーション向上を目的としたロングテール戦略について書かれている良書。


【特に気になった言葉まとめ】

【目次】
chapter1 脱下請! 楽しいことしか仕事にしない「夢工場」
chapter2 業界初! 24 時間無人加工にした「ヒルトップ・システム」の秘密
chapter3 社員みずから動きだす! モチベーションが自動的に上がる方法
chapter4 初公開! どんな社員でも入社半年で一人前になる育て方
chapter5 この新卒採用で会社が変わり始めた!
【著者プロフィール】
山本昌作
HILLTOP(株)代表取締役副社長。1954年生まれ。立命館大学経営学部卒業後、母に懇願され、全聾の兄(現代表取締役社長)のためにつくった(有)山本精工に入社。自動車メーカーの孫請だった油まみれの鉄工所を、「社員が誇りに思えるような“夢工場”に」「“白衣を着て働く工場”にする」と、多品種単品のアルミ加工メーカーに脱皮させる。経営のかたわら、名古屋工業大学非常勤講師、大阪大学非常勤講師など精力的に活動中。


【特に気になった言葉①】

ヒルトップの前身は町の鉄工所で、自動車メーカーの孫請として同じ製品を大量生産していた。仕事の楽しさは、こうしたルーティン作業ではなく「知的作業」の中にある。そこで仕事を知的作業の多い「単品もの」主体に切り替えた。

同意。ルーティン作業は仕事の先がみえて難易度は下がるけど、テンションは上がらない。一方、考える事が必要な作業は難易度が上がるけど、新しい発見やアイデアがでる瞬間が快感だなと。もちろん、産みの苦しみはあるけど。



【特に気になった言葉②】

人を成長させるのは、楽しさだ。ヒルトップは、社員のスキルとモチベーションの向上が会社の存在理由であり、「売上は二の次で、徹底して楽しく仕事ができればいい」と考えている。

楽しく仕事ができている状態が維持できれば、売上に結びつきそうでいい存在理由をもっている会社だなと思った箇所。でも、これを維持できる前提は、仕事を楽しめるプロフェッショナルが集まっていることなのかなと。



【特に気になった言葉③】

自分のストライクゾーン(得意分野)にきた仕事をしていれば、それなりの結果は得られる。だが、それ以上の結果も、楽しさも得られない。「自分たちの技術はこの範囲にしかない」と決めつけると、目の前にあるチャンスを逃してしまう。なぜなら、チャンスは「ストライクゾーンから少し外れたボールゾーン」にあるからだ。当社では、あえてストライクゾーン(業務範囲、作業範囲)を決めていない。決めてしまうと、「自分たちにできる仕事」しかやらなくなる。しかし、常にボールがストライクゾーンにくるとは限らないのだから、「できる、できない」で仕事を選択してはダメだ。ストライクゾーンから外れていても、「面白そう」なら、バットを振ってみる。空振りするかもしれないが、場外ホームランになることもある。

このストライクゾーンの決めなさはステキ。食べ物もそうだけど、食わず嫌いだと楽しみを広げられないですよね。



おわりのつぶやき

「数字をどう作るか?」でなく、「どういう状態を作り続けるか?」が中長期的な利益獲得には重要なのかな。




【その他に気になった言葉】

ヒルトップは、多品種少量生産を行うことで、総数として大きな売上を得る「ロングテール型」の戦略を取る。そのため、「1 個、2 個」の受注が、受注全体の約80%を占める。
ルーティン作業は機械に任せ、人は知的作業を行う。これを目的に、ヒルトップは独自のシステムを開発した。このシステムは職人技をデータベース化しており、誰でも同じ製品をつくることができる。これによって人は負担が軽くなり、開発や設計など、人にしかできない知的作業に集中できている。
ヒルトップでは、頻繁にジョブ・ローテーション(定期的な人事異動)を行っている。その理由は、次の3 つだ。①モチベーションの低下を防ぐ /②社内にノウハウ、ナレッジが蓄積される/③社員の「引き出し」が増える
生産性を上げるには、まず社員のモチベーションを上げなければならない。モチベーションが先、生産性が後、である。
当社のビジネスモデルは、従来のものづくりとは一線を画している。鉄工所でありながら、「量産ものは、やらない」「ルーティン作業は、やらない」「職人は、つくらない」のだ。業界常識を一掃した生産システムによって、利益率は20~25%。一般的に、鉄工所の利益率は3~8%だから、これは驚異的な数字だろう。
仕事の楽しさは、「知的作業」の中にある。「図面を見て、どの機械を使うのか、材料は何を使うか、敷板は何ミリか、刃物は何を使うのか」を考えるプロセスこそ、人間がやるべき仕事だ。しかし、山本精工が請け負っていた自動車部品の量産には、知的作業は残されていなかった。
多くの会社が大量生産に傾倒するのは、金儲けが経営の第一義になっているからだろう。だが、私は違う。優先するのは「人」を残すこと。社員のスキルとモチベーションを上げることが会社の存在理由であり、「売上は二の次で、徹底して楽しく仕事ができればいい」と考えている。
この法則に則れば、80%の利益をもたらしている20%の製品に経営資源を集中させるべきであり、上位20%の優良顧客に対して、集中的に販売拡大策を取るのが得策となる。一方、これと対照的なのが「ロングテール戦略」。アマゾンのように、商品を多様に揃えることで、全体の売上を上げる戦略である。メリットは「年間、数個しか売れない商品を大量に扱うことで、総数として大きな売上が得られる」「上位商品や特定の顧客に依存しない」などだ。
単品ものの仕事が増えても、それだけでは知的作業にはならなかった。リピート注文が入ると、結局は同じことの繰り返しになるからだ。そこで私は、ルーティン作業のムダを徹底して排除しようと決意した。「ルーティン作業をプログラム化し、機械に加工させたらどうか。人の技能やノウハウをデータベース化し、社員にはさらにステップアップした知的作業をやってもらおう」私は、人が知的作業に従事できる「完全無人化の夢工場」をつくるため、職人のカンと経験と技を数値化し、「必要な時に、誰でも使えるようにしよう」と考えたのである。
そして、Aさんの能力は新しい仕事で発揮してもらうのである。仕事を楽しみたい、知的作業をしたいなら、職人のノウハウや能力を一度、全部捨てるべきだ。捨てるとは、「データ化する、企業内にデジタルとして落としていく、マニュアル化する」ことだ。これで各々の負担を軽くできたら、新しい技術を習得する。新しい技術が刺激となり、楽しみながら仕事ができるようになるのである。
効率が上がって鼻歌交じりで仕事ができるようになると、向上心が満たされなくなって、モチベーションが下がり始める。モチベーションが下がった人間を同じ部署に置いておくと、根が生えてしまい、チャレンジする気持ちが失われる。従って、効率とモチベーションを天秤にかけ、「モチベーションを重視した人材配置」を行うのが当社の方針である。


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