61日目 退院

6時起床、検温、朝トイレ、洗顔。荷物をまとめる。紙袋が7、8・・・もっとある。

最後のごはんはバターロール2つ、はつみつマーガリン、鮭のクリーム煮、バナナ、野菜ジュース。朝ドラをみて泣く。

整形外科の担当の先生が骨盤の6つの傷を確認してくれる。左の真ん中の穴から滲出液。穴は、次第に閉じてきますから、と心配しないように声をかけてくれる。

退院手続きのひとつ、会計。手持ちのお金で支払うことができた。いつも手続きは家族がしてくれていたが、最後は自分で処理できた。

久しぶりの外なので、メイクの準備をする。夜勤明けの看護師さんが「あとでみにくるから、しあげといて」とニヤニヤした顔で私に言う。そんなこといわれたらやりにくいじゃないかと内心思いつつ、この看護師さんにはたくさん担当してもらってお世話してもらったなぁと、しみじみする。看護師さんは本当にあとで様子を見に来た。「しあがった?」若くて可愛い看護師さんは夜勤あけでちょっと疲れた顔をしていた。わざわざ来てくれたところ申訳ないけれど、まだですよ。夜勤、お疲れさまでした。

わざわざPTさんが挨拶に来てくれた。歩く訓練を支えてくれてありがとうございました。担当看護師くんとは「まさかこんな形で同窓会するとはね」と話しをした。荷物をまとめて退院する私を見送るために、看護師さんが集まってくれた。忙しいのに手をとめさせてすみません。私を何度も持ち上げてくれた介護スタッフさんたちも。病棟の看護師さん、介護スタッフさんの顔と名前はほぼ覚えていた。

ありがとうございましたー!

めでたしめでたし。

【しかし当然ながら、これで終わりではない。退院は大きな環境の変化ではあるが、怪我が完治したわけではないのだ。】

夫に迎えに来てもらって退院した後、まずは自宅に戻る。ただいま。

家の中にあるたくさんの物に圧倒される。なにしろ病院は洗練されていたからだ。余計なものはおいていない空間に慣れていたので、ごちゃごちゃした我が家に少し驚く。荷ほどきもそこそこに、昼ごはんを食べにラーメン屋へ。病院ではラーメンはでないのだ。満足して帰宅し、これからしばらく実家で暮らすための荷造りをはじめる。

実家は自宅から車で30分の距離にある。実家についたら荷ほどき。お母さんが気合いをいれて病院のベッド周りのようにコーディネートした部屋が待っていた。あ、ありがとうね。お父さんが仕事から帰ってきた。歩いている私をみて驚いている。そういえば、しばらく会っていなかったね。しばらくお世話になります。

夕飯を両親といただくのは久しぶりだった。

シャワーを浴びる。いままで看護師さんがしてくれていた、傷の処置をこれからは自分でする。整形外科の担当の先生が心配していた、左側の骨盤の3つあるうちの真ん中の穴から、血がでていた。ワセリンを塗って保護し、ガーゼで覆う。

入院2カ月。まるで夢をみていたような不思議な感覚。


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