画家は貧困が美しいという概念は無くすべき
「画家は貧困が美しいという概念は無くすべき。
画家を個人事業として考えれば、自身の資本や資産をどう運用するかを考える時代。
それは貯蓄だけでなく、作品自身も含まれる。
アートという資本は長期運用で運用するもの。それを見越しての活動をしないと永遠と現状維持のままで終わってしまう。
作家自身が受け身ではなく、
積極的に長期ビジョンで自身に投資をし、
さらに周りにも投資できる環境作りが今後の日本市場の鍵だと言える。
時代は変わる。それはアートも。
どう時代と向き合えるか？時代の先を見るか？
これは人間が資本社会で生きる共通項である。」
画家栗原永輔さんは、現代において作家の在り方を強く語った。
今回は、日本のアート市場の課題について取材致しました。
【美術業界の問題は何ですか？】
栗原さん「今の美術業界に必要なのは初心者の育成です。」
池田「初心者とは若手画家ですか？」
栗原さん「〝初心者〟とはコレクターなどのアートを買う人達のことです。」
池田「何故初心者コレクターの育成が必要なのでしょうか？」
栗原さん「今は作り手が増えているが、それを支える購入者、コレクターが増えていない。
そのアンバランスが美術市場の発展を妨げている。」
池田「確かに、、、美術品を購入するのは敷居が高く感じますね。」
栗原さん「画商は初心者を入らせない壁を取り除く事によって、美術を買う購入者を増やすこと。
それが美術資本の増強の第一歩です。どんな大コレクターでも最初は初心者です。
コレクター第一歩の窓口を作る、また場所を作るのが次世代の課題だと言える。」
【重要ポイントまとめ】❶コレクターの育成が必要❷今は、初心者コレクターが美術業界に入りづらい壁がある❸初心者のコレクターが踏み入れられる窓口や場所を作ることが次世代の課題
【何故日本の画家は絵だけで生きていけないのか？】
池田「何故日本の画家は絵画だけで生活できないのでしょうか？」
栗原さん「画商業界の力の差。販売コマーシャルに莫大なお金を、市場に投入できるかもある。
コレクター向けの販売をする国内市場と海外の新規顧客獲得を目指した戦略を取っている海外大手。その大手の商品の一つがピカソ。
オークションでも国内の場合は総額2億、
他方で海外市場では一つの作品で２億超えをすることができる市場規模を持っている。
この事実を見れば、国内で食べようとするのは厳しい。作家も海外で顧客獲得に動かないと厳しいと思う。」
池田「国内販売業者の販売力に関してはどう思われますか？」
栗原さん「国内販売業者の営業能力は低下している。
前の世代の販売業者の方のほうが営業能力は高い。何しろ高度経済成長、バブル経済期という画商業界を発展させた力のあった、もしくは力をつけた人たち。
また美術品を買い求めるのに内戦状態の国に行くなどの武勇伝は、今の世代には効かない話。
自分が美術業界で知り合った方の印象はこうです。」
池田「今の世代で画家はどう生きればいいのでしょうか？」
栗原さん「『美術は美術だから。』と営業しない言い訳をしないことです。」
【重要ポイントまとめ】❶海外の新規顧客開拓に向けて動いている画商と、コレクター販売を中心に考えている画商がある。❷作家も海外で顧客開拓に動かないと厳しい。❸国内の販売業者は前の世代の販売業者と比べると営業力が低下している。❹「美術は美術だから。」と画家自身が今の現状に諦めてしまわないこと。
池田「最後に伝えたいことはございますでしょうか？」
栗原さん「画家は貧困が美しいという概念は無くすべき。
画家という個人事業としてみれば、自身の資本や資産をどう運用するかを考える時代。
それは貯蓄だけでなく、作品自身も含まれる。
アートという資本は長期運用で運用するもの。
それを見越しての活動をしないと永遠と現状維持のままで終わってしまう。
作家自身が受け身ではなく、積極的に長期ビジョンで自身に投資をし、
さらに周りにも投資できる環境作りが今後の日本市場の鍵だと言える。
時代は変わる。それはアートも。
どう時代と向き合えるか？時代の先を見るか？
これは人間が資本社会で生きる共通項である。」
【重要ポイントまとめ】❶画家は貧困が美しいという概念は無くすべき❷アートは長期資本として運用するもの。それを見越して活動することが大切だ。❸作家自身が、受け身ではなく、長期ビジョンを持ちながら活動することが大切だ。❹時代は変わる。アート市場も変わる。時代の変化に向き合いながら、時代の先を予測して行動できるかが大切だ。
【鎮魂の花】
画家 栗原永輔様コンセプト 花の命が終わる最後の姿を情緒的に表現。
制作期間::2013年制作
製作期間2週間
サイズ::F50号（116.6×91.0ｃｍ）
素材::水干絵具 顔料 墨 麻紙
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？