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叱られなくなった大人のための世阿弥『風姿花伝』~スランプ克服法、フロー体験など、載ってました。

ぜひリンク先も見てみてください。
より詳しい情報源(外部)に飛びます。当記事では、私の方で個人を特定できるリンクを一切使っていません。これらリンク(下線付き文字)は不当・過剰に情報収集をしていません。また、本などのリンクをウィジェット表示をせず、本文の可読性を重視しています。ご安心してリンクをクリックしてください。

世阿弥『風姿花伝』には有名な言葉がいくつもあります。

『風姿花伝』は、それに留まらず、下線を引きたくなる箇所が溢れています。たとえば、1つ挙げれば、

第五 奥義
「しかるに、多くの人が、ひとつにはかたくな心から、ひとつには自分自身の無能力から、一方面の芸ばかり身につけて、あらゆる芸について知ろうとしないで他の芸風を嫌うのである。」

『日本の名著 世阿弥』より

100%正しい。

大人(熟練)になると、なぜ成長しなくなるのか。伸び悩むのか。

成長するのはいいのだけど、成長は自立を意味し、孤独が必然となる。

周りの他人はアドバイスを言ってくれないし、逆にアドバイスを求められる。

誰も教えてくれないし、怒ってもくれません。
聞きにくくもなります。

メンターや有能な部下など環境に恵まれていればいいのですが、そういう方は上位の僅かの人たちです。

だから、本を読んだり、ときには古典をひも解きます。

世阿弥が著書"伝書"で語る言葉は、その抽象度の高さから、何歳であろうと、どんなシーンでも、世阿弥の説く方法論・哲学は有用です。


世阿弥についての小説

世阿弥について、小説を読むと、人物像を思い浮かべやすいでしょう。世阿弥の時代、つまり、室町時代では、芸と男色は隣り合わせでした。将軍 足利義満の世阿弥への庇護・寵愛は、そのような意味を含んでいます。世阿弥は美少年ぶりは、将軍から贔屓されるほどだったようです。このような艶めかしさは、女性の方が美しく描けるように感じます。

  • 瀬戸内寂聴『秘花』新潮文庫

    • こちらをオススメします。短いながら、老境を迎えた世阿弥が人生を振り返る構成になっています。随所に『風姿花伝』の教えが挿入されています。達人として、また芸術家として、そしてひとりの人間としての世阿弥と触れ合えます。『風姿花伝』をより身近に感じられるはず。

  • 杉本苑子『華の碑文―世阿弥元清』中公文庫

    • 世阿弥は楠木正成と血縁があるといわれています。この説を前提として描かれています。真偽のほどはわからず、伝説・お話として留めたほうがいいでしょう。男色のシーンもあり、生々しいです。

現代語訳のみの書籍

たくさん出版されています。わたしは原文で読みたいがため、現代語訳のみの本を持っていません。例外として、次の本だけ持っています。

  • 『日本の名著 世阿弥』中央公論社,1969

    • 収録伝書 「風姿花伝 / 花鏡 / 至花道 / 遊楽習道風見 / 九位 / 拾玉得花 / 三道 / 習道書 / 申楽談儀 / 夢跡一紙」

    • 以上の現代語訳のみが収録されています。原文の単なる現代語訳ではなく、通読しやすいように注が訳文に込まれています。世阿弥について、また能について、解説も多く載っています。読みやすさ、コンテンツの豊富さで、オススメです。中央公論社『日本の名著』は有名なシリーズなので公立図書館には必ず所蔵されているはずです。

原文、現代語訳、解説が収録されている書籍

風姿花伝はそれほど難しい古文ではありません。しかも短いです。高校・大学受験「古典」での入門レベルができれば、読めます。風姿花伝は、全編を読み通しできる稀有な古典です。しかも人生訓ともなり、年を経ても、何度も、読むに耐えられます。

  • 岩波文庫『風姿花伝』編纂 野上豊一郎, 西尾実,ワイド版あり

    • 収録伝書 「風姿花伝」

    • 旧漢字、注は若干載ってます。非常にそっけない。

    • 専門家でなければ、この本では読めません。少なくとも非専門家(古文が読めない方)にとっては読みにくい。原文、校異があって、オリジナルな文を調べる際には役立つかもしれません。注はあまりに少ない。

      • 校異(同一の書に異なった本文がある場合、その文章の文字や語句の異同を比べ合わせ調べること)

    • 買うのだったらワイド版。ワイド版でも注のフォントは小さく、索引のフォントサイズは文字の判別がようやくできるほどに極小です。文庫版は見えないのでは?

    • 索引が載っています。これは便利です。

  • 講談社文庫『花伝書(風姿花伝) 』川瀬一馬訳注

    • 収録伝書 「風姿花伝」

    • 原文を注とともに全編書かれ、その後に現代訳が全編、そして解説という体裁。コンパクトです。

    • 巻末に「花伝書能楽論の体系組織と内容」(全篇のアウトライン)が載っています。これ、便利です。買わなくてもコピーを持っておくのアリです。

  • 角川ソフィア文庫 『風姿花伝・三道』 竹本幹夫訳注

    • 収録伝書 「風姿花伝 / 三道」

    • 訳と解説が適切・丁寧です。

    • 文庫本だけれど、注と現代訳と解説が、ハードカバーな本と同じくらいに載っています。

    • 体裁は、ある程度の長さで原文が区切られ、

      • 原文が上段に、注が下段に、そのあとに現代訳があり、そして解説が記載されています。

  • タチバナ教養文庫『風姿花伝・花鏡』 小西甚一 編訳

    • 収録伝書 「風姿花伝 / 花鏡 / 能作書」

    • 下記の小西甚一 編訳『世阿弥能楽論集』から該当伝書を文庫化したもの。文庫サイズといっても、ほぼB5判です。

    • 体裁は、ある程度の長さで原文が区切られ、

      • 原文が上段に、現代訳が下段に、そのあとに語注が記載されています。解説は

    • この本も訳と解説が適切・丁寧です。

文庫サイズならば、角川ソフィア文庫タチバナ教養文庫 のどちらかがオススメです。『三道』と『花鏡』のどちらを選ぶかの違い、迷いますね。

  • 新潮社『新潮日本古典集成 世阿弥芸術論集』

    • 収録伝書 「風姿花伝 / 至花道 / 花鏡 / 九位 / 世子六十以後申棠談儀」

    • 新潮日本古典集成シリーズには現代訳が載っていません。

      • 上段に注、原文のルビとして部分的な語注・部分訳が記載されている。

      • とくに意味が取りにくい箇所は、現代語訳が注に書かれています。

    • 原文だけれど全体に読みやすい。さらにハードカバーだけどコンパクトで持ち運びやすい。新潮日本古典集成の特長である"辞書・訳文なしでも読める"古文で、原文で読みたい方にオススメです。

    • 旧版、新版あります。内容は同じです。

    • 新潮日本古典集成一覧(新装版)

  • 小学館『新編 日本古典文学全集 連歌論集 能楽論集 俳論集』

    • 収録伝書 「風姿花伝 / 花鏡 / 至花道 / 三道 / 拾玉得花」

    • 上段に注、中段に原文、下段に現代訳。

    • ハードカバー、小学館が誇る日本古典文学全集シリーズということで、内容はしっかりしています。

    • ただし、デカイです。

    • 新版(新編)は二色刷り、旧版は黒の一色刷りです。内容は同じです。

  • たちばな出版『世阿弥能楽論集』小西甚一 編訳,2004

    • 世阿弥の文書がほぼ網羅されています。

    • 収録 「風姿花伝, 花習(抜書), 音曲声出口伝, 至花道, 人形, 能作書, 花鏡, 曲付次第, 風曲集, 遊楽習道風見, 五位, 九位, 六義, 拾玉得花, 五音曲, 習道書, 却来花, 五音, 夢跡一紙, 金島書, 書簡」

    • 体裁は、ある程度の長さで原文が区切られ、

      • 原文が上段に、現代訳が下段に、そのあとに語注が記載されています。

    • プレミア価格になっていますが、余裕のある方はこの本が一番のオススメです。

    • 筑摩書房『日本の思想8 世阿弥集』(1970)の増補改訂版です。

副読本

  • 馬場あき子 『古典を読む 風姿花伝』 岩波現代文庫

    • 一緒に読むというスタイル。

    • 原文も記載されていますが、現代訳は添えられていません。

    • とはいえ、古文の素養がなくても、問題なく読めると思います。

    • 巻末に名言集がまとめられており、風姿花伝のダイジェストと使えます。この部分だけでもコピーしておくと便利。

さいごに: 結局どれがいいのか?

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