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123 天文台通りの下町翁     雑記帳~ペルー映画    「マタインディオス、聖なる村」(2018年・作)~

123 天文台通りの下町翁     雑記帳~ペルー映画    「マタインディオス、聖なる村」(2018年・作)~

ペルーのシネ・レヒオナル(地域映画)と呼ばれる首都リマなどではなく、地方の町村を舞台にした映画作品。司祭役のプロ役者1名を除いて、監督2名のうちの一人の故郷、リマから南西に離れた山村のワンガスカル村に暮らす親族など村人たちが登場しているのだそうだ。 スペイン、ポルトガルによる先住民の植民地化の歴史や、それ以前の社会、文化に関心を持ち続けてきた小生でも理解が容易でない。さすがは寓話、暗喩、神話、宗教

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123天文台通りの下町翁  雑記帳~映画「アンデス、ふたりぼっち(ペルー、オスカル・カタコラ監督、2017年作品)~

123天文台通りの下町翁 雑記帳~映画「アンデス、ふたりぼっち(ペルー、オスカル・カタコラ監督、2017年作品)~

アンデス山脈ペルー、ボリビアと境を接する5,000メートル級の山岳高地で暮らす二人の老いた夫婦の日常を撮り続けた劇映画。全編が千年言語と呼ばれるスペイン植民化前から生きる先住民の言葉アイマラ語でやりとりされる。主役の二人、夫役の老人が2021年11月に今回の作品につづく2作目の長編映画撮影中に34歳で夭逝してしまったオスカル・カタコラ監督の母方の祖父。妻役の老婆は友人の紹介で演じている。二人とも半

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123天文台通りの下町翁 雑記帳~ラナ・ゴゴベリゼ監督 映画「金の糸」(2019年)

123天文台通りの下町翁 雑記帳~ラナ・ゴゴベリゼ監督 映画「金の糸」(2019年)

1968年に開館し、今年7月末には54年の幕を下ろし閉館となる神田神保町・岩波ホールでジョージアの女性映画監督の劇映画作品を鑑賞。ウクライナへのロシア軍侵攻、戦争をきっかけに、にわかに旧ソ連を構成していた国々の民族、歴史、文化に目が向き、カザフスタンが舞台の「スターリンへの贈り物」を江古田のギャラリー古藤で見た後、この作品を鑑賞。舞台はアジア、中近東、ヨーロッパをつなぎ交わる地域、ジョージアの首都

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123天文台通りの下町翁 雑記帳~映画「白い牛のバラッド」(監督: ベタシュ・サナイハ&マリヤム・モガッダム)

123天文台通りの下町翁 雑記帳~映画「白い牛のバラッド」(監督: ベタシュ・サナイハ&マリヤム・モガッダム)

イランの首都テヘランが舞台。一度だけ、会社員時代、1989年の5月半ばから6月初めにかけてテヘランで医療機器関係展示会に出張に出かけたことがある。イスラム革命を指導したホメイニ師が6月3日に亡くなり、国挙げて喪に服すということで展示会が延期となって、宿泊していたホテル・アザディ(イスラム革命前のパフラヴィー皇帝時代は米資本ハイアットホテルだった)で待機の形となっていた。そんなホテルの外壁に”Dow

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123天文台通りの下町翁  雑記帳~ 俳優 瀧内公美の魅力~

123天文台通りの下町翁 雑記帳~ 俳優 瀧内公美の魅力~

渋谷の映画館での春本雄二郎・監督「由宇子の天秤」予告編を見て、主役・瀧内公美の目力に惹かれ、公開後その本編も2度見た。それから彼女の主演、脇役含めて過去の出演作品を見漁る。見ていくうちに、ここまで表情が変えられるものか!とその役者魂というのか、演技力にたまげる。デビューした出演作「グレイトフル・デッド」(内田英治・監督)での孤独な人を観察することに悦びを感じる若い女性役、映画前半で見せた孤独っちを

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123天文台通りの下町翁 雑記帳 ~大墻敦・監督 ドキュメンタリー映画「スズさん~昭和の家事と家族の物語」

123天文台通りの下町翁 雑記帳 ~大墻敦・監督 ドキュメンタリー映画「スズさん~昭和の家事と家族の物語」

大田区南久が原にある「昭和のくらし博物館」(http://www.showakurashi.com)は今や登録有形文化財になっていて公開されているが、ここの館長・小泉和子さんが家族で暮らした家であった。彼女のお母様、スズさん(1910年〈明治43年〉~2001年〈平成12年〉享年91歳)が一家を支えた家である。映画の軸になるのはスズさんと一家が太平洋戦争時の米軍による1945年5月29日の横浜大空

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123天文台通りの下町翁  雑記帳~坂上忍 監督 刑務所三部作@ポレポレ東中野~

123天文台通りの下町翁 雑記帳~坂上忍 監督 刑務所三部作@ポレポレ東中野~

2月の座高円寺ドキュメンタリーで見て印象強かった「プリズンサークル」を含めた坂上忍監督の特集を頻繁に出かけるポレポレ東中野でかけるというので見に出かけた。アメリカの無期囚を撮った「ライファーズ」、同じくアメリカで演劇の演者になることで魂に向き合う女性囚に密着した「トークバック」、どの作品も、よくぞここまでに内部を取材し、撮影できたものだと驚嘆する。よほど時間をかけて人間関係を作り、意志疎通を図って

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123天文台通りの下町翁 雑記帳 ~映画三昧な日々 イントロダクション 【第12回座高円寺ドキュメンタリーフェスティバル】から~



見たい映画をひたすら見る、たまっていた本を手当たり次第読み出してみる、日々一万歩、時間にして1時間半強以上を歩くのはやり通せているから、同じように見る、読むも日課にして頭と心に刻みつけていこうとしている。感じたことを残してみようと思うが見る、読むペースには到底追い付いていけない。

そんな中でも強く頭に残り、再度、見てみたい、同じ監督の別作品を見ていきたいと思うことがある。今年2021年2月1

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