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おみくじの和歌を、神さまからのメッセージとして、人生に役立てる

競技かるたを描いたマンガ『ちはやふる』(講談社 末次由紀)の影響からか、小学生の間で『百人一首』を覚えるのが流行っているようで、友人のお子さんたちや私の甥っ子も夢中になって覚えている。

また、今回の改元では『万葉集』からその語句が選ばれ、書店にはたくさんの『万葉集』の本が平積みされている。

今、日本はある意味、和歌ブームなのかもしれない。

とはいいながらも、現代の日本の日常生活で和歌に触れる機会というのは、日本の古典が好きとか、短歌を作ることを生業や趣味としている人以外、そう多くはないだろう。

そこでおすすめなのが、神社仏閣のおみくじに書かれている和歌をよく読んでみること。

おみくじを引くと、つい「大吉」とか「小吉」などの「運勢」にばかり目が行き、それに一喜一憂して、木に結びつけて帰ってくるというパターンがほとんどかと思う。

でも、それではもったいないと、おみくじ案内人の平野多恵さんはいう。


おみくじは日本古来のコーチング?!

和歌の研究者でもある平野さんの著書『神さまの声をきく おみくじのヒミツ』(河出書房新社)によれば、おみくじにかかれている和歌は神さまからのメッセージであり、その昔、神さまがのりうつった巫女が、和歌をとおして神さまのお告げを人々に伝えたという。

その和歌には、運気をアップさせるカギや、今後の自分に必要な事柄のヒントが込められているので、その和歌ときちんと向き合えば、困難を解決したり、夢や目標を実現したりすることができるとし、本書では、「神さまのメッセージを自分のものとするための、3ステップ」として、そのコツを教えてくれる。

ステップ1 和歌を声に出して三回読む
ステップ2 キーワードを見つけて、その意味を考える
ステップ3 連想を広げて運気アップのカギを引き出す


『神さまの声をきく おみくじのヒミツ』(河出書房新社 2017年12月)70ページ

このステップにそって、私があるところでひいたおみくじの和歌から神さまのメッセージを読み取ったところ、こんな感じになった。

風吹けば 風ふくままに 港よしと 百船千船(ももぶねちぶね) うちつどいつつ

ステップ1:声に出して3回読むと、自分自身が、ゆったりとした穏やかな風に後押しされている船の一つになり、多くの船が集まる大きな港に到着したかのような気持ちになる。

ステップ2:キーワード「風吹くままに」と「百船千船(ももぶねちぶね)」に注目してみる。「風吹くままに」身体の力を抜いて、我をはらずに流れに身を任せている状態といえる。流れに身を任せていれば、たくさんの船「百船千船(ももぶねちぶね)」が集まる佳き港に到着する、つまり多くのご縁に恵まれる場にいくことができる、といったところか。

おみくじの「運勢」のパートを見ると、「恋愛 自我を抑えれば大吉」「縁談 自己主張を慎むこと誠意が相手に通じ大吉」とあるのだが、これを人間関係全般に敷衍して考えると、「私が、私が」という発想を抑えることによって、しかるべきご縁に恵まれるということになる。

ステップ3:船は風が吹いたとき、潮が満ちたとき、すぐ出発できるように、積荷をしたり、帆を張ったりしておく必要がある。つまり多くのご縁やしかるべきご縁にたどりつくため(運気アップ)には、ふだんからの準備がカギとなるのかもしれない。

神さまからのメッセージ
常日ごろからしかるべき準備を整え、「私が、私が」という自己主張を抑えることによって、数多くのご縁、しかるべきご縁に恵まれる。

これは必ずしも正解があるわけでもなく、和歌のキーワードをもとに自分が前向きな気持ちになるためのイメージを持つことが大切なのではないか。

本書の最後には、3つのステップで得た神さまからのメッセージを、自分はどう解釈し、どのような気づきを得たのかを記録する「おみくじ帖」がある。そこに書いた気づきを行動に移せば、困難の解決や夢、目標の実現はそう遠くはないはず。

私は各地で引いたおみくじを御朱印帳のようにファイリングしていて、和歌に託されたメッセージを経年で読み解くこともある。すると、自分の人生の浮き沈みその傾向と対策が見えてくる。

そう考えると、おみくじは日本古来のコーチングとも言える。『百人一首』や『万葉集』で鑑賞するのとは違った和歌の楽しみ方を、実践してみてはいかがだろうか。


このような和歌の楽しみ方を提供しているおみくじ案内人の平野さんには、『おみくじの歌 三十一文字と神仏のお告げ、そのルーツが鮮明に』(笠間書院 2019年5月)や、『歌占カード 猫づくし』(夜間飛行 2016年11月)といった著書、著作がある。

『おみくじの歌 三十一文字と神仏のお告げ、そのルーツが鮮明に』では、明治時代から現代のおみくじに載せられている和歌50首を取り上げて解説していている。目次に50首の和歌が掲げられているので、そのなかから、そのときピンときたものを一首選んで、先ほどの3つのステップを実践してみると、家にいながらにして全国の神さまからのメッセージを受け取ることができる。

『歌占カード 猫づくし』は、本邦初(たぶん)!和歌によるオラクルカード。神さまからのメッセージを誘引する呪歌と呼ばれる和歌を3回唱えて、神さまにたずねたいことを思い浮かべながら、8枚並べたカードの中から1枚を選ぶ。和風猫さんのイラストに癒される。

ちなみに、私はこのカードを引くと「ああ、やっぱりそうなんですね・・・」ということが多い。以前の投稿「背中をつついた一本のスティック」でも書いたが、オラクル(神さまからのメッセージ)とは、自分の外のどこからか来るものではなく、本当は心のどこかで分かっていたことを、しかるべきタイミングで意識にのぼらせるものなのかもしれない。

おみくじと和歌について興味を持たれた方は、ぜひ手にとってほしい。




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