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難病「膠原病」患者の妊娠出産をどうするか考えたら、産まずとも「子どもと関わる人生」を夫婦で選ぶことになった

この記事は膠原病患者のわたしが妊娠出産を考え、決断をするまでの1年間の心境の変化を記録として残しておきます。ちなみに膠原病患者が妊娠・出産を望む場合、必ず主治医と相談し計画的に取り組む必要があります。

ちょっとでも子ども産む可能性があるなら

ちょうど1年前くらいにブライダルチェックに行きました。子どもを産む選択をする可能性が少しでもあるなら、まずはブライダルチェックを受けるところから始まります。
都内で男女一緒に受けられるクリニックが意外となくて『新宿アンジェリカクリニック』を見つけました。待ち時間も少なくサクッと終了。ふたり一緒に話を聞けたのはよかったです。

そこで医師に告げられたのは、「子どもが欲しいなら、今すぐにでも妊活をはじめること。35歳になると妊娠率はグッと下がりますからね。」と。

結婚して仕事が落ち着いて、5年後くらいかなぁとぼんやり考えていたのですが、「それでは遅い」と医師に半ば呆れられました。

あと35歳で妊娠出産をするには、3年ほどしかないことに、余命宣告を受けるような気持ちになりました。

また子どもを何人産みたいかによって、何歳から妊活を始めるべきかが変わるそうです。2人産むなら34歳には妊活をスタートするのが望ましいというデータも。

そのほかにも栄養の取れた食事・150分/週の運動習慣や葉酸の摂取・ワクチン接種・アルコールを控える・歯のケアなど、要するに健康に気を遣う必要があります。

このように、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを『プレコンセプションケア』というそうです。

そして経済的な問題もありました。わたしは自営業ですから、産休育休がないのです。出産前後の時期、わたしの収入はゼロになります。

女性経営者やフリーランス女性の出産育児ハードすぎませんか? と思ったのもこの頃。
そのためこの1年はひたすら貯蓄・投資に励むことに決めました。

まずは「オカネコ」に相談だ


まず計画的に貯蓄をし、セルフで産休育休中にお金が捻出できることを目標にして、エクセルで事業計画書を作りました。これは例えではなくマジの事業計画書です。

それを元にFPさんに相談。週に1度面談をしました。合計で3回くらい打ち合わせをしたかな。

『オカネコ』を運営する株式会社400Fの田嶋ひかりさんが担当でしたが、とてもいい方でした。適当なポートフォリオだったiDecoも、このタイミングで相談して整理できました。知識欲も満たされました。

FPの資格だけではなく、IFAや証券外務員の資格を持ってる方を選ぶのがオススメです。就業不能保険や生命保険も勧められましたが、持病のため審査に落ちてしまいました。

その後膠原病患者のオフ会で、2名の方から「『アクサダイレクト』なら生命保険に入れた!」というナレッジ共有があり、今後入るなら『アクサダイレクト』一択だと感じています。

さて話が脱線しましたが、FPさんに作っていただいたライフプランシートを元に、さらに細かく年単位の予算実績管理のシートをつくり、毎月確認をしています。

そのエクセルは「ヤシマ作戦」と名づけ、エヴァンゲリオンのサントラをかけながら更新をしています。

めちゃくちゃ作戦感があって楽しいので、BGMはだいじです。

子育てのために貯蓄のペースをあげるべく家賃を下げる引越しもしました。両親宅との距離の近さと、保育園くらいまで過ごせたらなぁと思っての引越しでした。

そんな矢先、身近な人に妊娠出産というイベントが発生しました。

ベビーベッドを組み立て、続々と届く赤ちゃん用品を整理し、入院用のパッキングをお手伝いしていて気づいたのは、いまのわが家の間取りでは赤ちゃん迎えるのは無理だということ。

「子どもが小さいうちはいけそうだね」と義理の両親に言われていたので「いけるかな?」と思ったけれどそんなことはないと悟りました。

小さな人を迎え入れるのには、かなりのモノとスペースが必要なようです。聞くのと見るのとでは全く違う妊娠出産育児の様子に、わたしには無理かもという気持ちが浮かんできました。

「金銭的に月6万円余裕があれば子育てできるよ」と言っていた人もいるのですが、子どもの発育に十分な広さの家、栄養バランスのいい食事など、暮らしのベースをぐんとあげる必要があり、そんなことしたらアキレス腱切れるよ……という気持ちに。

子どもの成長を間近で見るのは驚きの連続で、子を持つ喜びを理解できました。ですが、定期的にふれる「他人の家の育児」でじゅうぶん満たされてしまったのもこの頃です。

膠原病と妊娠・出産

ブライダルチェックから1年が経った頃、NPO SERLA主催のウェビナー『膠原病と妊娠・出産』に参加しました。

筑波大附属病院と聖路加病院の医師による病気と妊娠についてのセミナー。患者で育児をされている方々によるトークセッションからなるウェビナーでした。

・1年かけて薬や病気の調整が必要なので、必ず計画妊娠をすること。
・シェーグレン症候群は妊娠中に症状が悪化すること、抗体持ちは特別な診察が必要なこと。
・それでも病気を理由に家族計画を諦めないで

という点を学びました。
そして患者当事者のトークセッションでは、産後なにもできなくて1ヶ月目は実母に来てもらい、それでもよくならず2か月目は義母に来てもらい、3ヶ月目もどうにもならず行政に電話するも助成にも上限があって、かといってシッターを頼めるほど金銭的に余裕がなく辛かった……という話。

関節が痛くて子どもが抱けないといった膠原病ならではの悩みも、いままで想像の及ばなかったことでした。

ウェビナー後に、パートナーとふたりで「ここまでして子どもが欲しいか?」と聞かれたら「ちょっと違うね」という会話をしました。

子どもを産んで育てるよりも、産まずとも子どもと関わる人生を選ぼうという決意をしました。

健康な人でも大変な妊娠・出産を、とてもわたしの身体では耐えられないと感じたのです。

「技術的には可能です」というエンジニアの言葉を信じて作ったサービスの運用が無理ゲーで、サービス終了してしまうような感覚が想像できました。
産後うつにも容易になりうると思います。人生のサービス終了はすなわち死を意味するので、なんとか生きていく方向で頑張りたいと思います。


ここまで1年かかりましたが、子どもを持とうと奮闘したことで、将来について計画がたてられ、貯蓄もできたのは結果プラスでした。

毎週noteを更新するのも、育休後に仕事が戻ってこなくなることを恐れて準備として始めたことでした。

子どもがいない分、老後の資産形成、2拠点生活や学び直しが今後の目標になりました。里親制度も夫婦ならできます。そのためにはやはりそれなりの住環境と経済状況が必要です。

子どもがいないから子どもと関われないとも思っていなくて、ベビーシッターや里親などサポートを必要としている方に、提供できることはあります。

なので決して後ろ向きではなく、前向きな決断でした。

これが1年間かかった心境変化の記録。


これから子どもがいない夫婦が仲良く老後を迎えるために、やった方がいいことも積極的に学んでいく必要があります。周りにいるDINKSの夫婦に話を聞いたり、本を読んだりしていきます。そして子どもがいない分、婚前契約書と遺言状をしっかり作っておかないとなと、また1年くらいかけて準備したいと思います。里親制度についても調べるつもりです。

妊娠と出産は大きな決断ですので、夫婦ふたりで決めていくことが大切だと思います。人生を周りに決めてもらうのではなく、自分たちで決断できたことが何よりもプラスです。

最近読んでいる本


いつも読んでいただきありがとうございます。しゃけ(ねこ)にチャオちゅーる買わせていただきます。