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#38 ストレスは悪いもの?

姿勢改善パーソナルトレーニングジムSISEIの宮谷です。

みなさん、明けましておめでとうございます。
本年も地道に更新していきますので、どうぞよろしくお願い致します。

新年早々のテーマは「ストレス」です。
“ストレス社会”と言われる現代社会ですが、みなさんはストレスを感じていますか?
「日頃、ストレスを感じている」と思った人は、付き合い方や解消方法は何かありますか?

ストレスは目に見えない分、非常に厄介な問題です。
自覚症状がないだけで、実は大きなストレスを抱えているというケースもあります。

“ストレスはカラダにとって悪いもの”として一般的に捉えられていますが、本当にストレスは必要ないのでしょうか?

今回は、そんなストレスのあれこれについてお話ししていきます。


ストレスとは?

まず、ストレスとは一体なんなのでしょう?
ストレスの定義から見ていきましょう。

外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと。
その原因となる外的刺激(ストレッサー)と、それに対する私たちの心身の反応(ストレス反応)とを合わせてストレスと呼ばれることもある。

出典 : e-ヘルスネット(厚生労働省)

外部からの刺激=外的刺激(ストレッサー)と、その刺激に対する心身の反応(ストレス反応)のことを、総称してストレスと呼ぶようです。
「ストレスを感じる」と「ストレスが溜まる」では、たしかに同じストレスでも意味合いが違いますよね。

この「ストレスを感じる」原因である外的刺激(ストレッサー)には、さまざまな種類があります。

【外的刺激(ストレッサー)の種類】

●物理的ストレス
寒冷、高温、騒音、放射線など
●化学的ストレス
薬物、大気汚染、酸素の欠乏や過剰、栄養不足など
●生理的ストレス
感染や炎症、睡眠不足、飢えなど
●心理的ストレス
精神的な苦痛、怒り、不安、憎しみ、緊張など
●社会的ストレス
人間関係、家庭の問題、仕事上の問題など

一般的には、「心理的・社会的ストレス」をストレスと呼んでいる傾向にありますね。

物理的・化学的・生理的なストレスは肉体的ストレスであり、肉体的健康に関わっており、心理的・社会的ストレスは精神的ストレスであり、精神的健康に関わっています。
これには相互関係があり、肉体的健康を害することが精神的ストレスにつながり、精神的健康を害すると肉体的ストレスにつながります。

ストレスが生じると、体内ではそれを解消しようとする防御反応が働きます。
この防御反応がストレス反応であり、これが「ストレスが溜まる」という受け止め方になるのです。

ストレスに対する対処法は個々によって異なりますが、受け止める側の受け止め方や感受性によって、“良いストレス”になるか“悪いストレス”になるのかが変わります。

“良いストレス”“悪いストレス”については、例を出して解決します。


例えば、トレーニングです。

Image by Sven Mieke from Unsplash

トレーニングとは、筋肉(肉体)に負荷をかけてストレス(刺激)を与えることで、筋肉を鍛えたり体力増進させたりを目的としています。
トレーニングをすることは、心を安定化させる働きをもつ「セロトニン」や「エンドルフィン」というホルモンが分泌されることから、トレーニングにはストレスの軽減や解消効果があると言われています。

ですが、カラダを動かすことが好きな人にとっては「スッキリした」「気持ちいい」と受け止められ、肉体的健康を高める良いストレスになりますが、逆に苦手・嫌いな人にとっては「キツイ」「痛い」「苦しい」などの心理的ストレスを感じさせる悪いストレスになってしまいます。

医学的にも肉体的・精神的健康に良いとされているトレーニングですが、受け止める側にとって良し悪しはさまざまです。


仕事でのトラブルも、受け止め方で大きく変わります。

Image by Luis Villasmil from Unsplash

例えば、仕事の不手際でミスを犯して、上司から注意されたとしましょう。

自分が犯したミスを素直に認め、「次はミスをしないための教訓だ」「この経験を成長につなげよう」と受け止めれば、自分の更なるステップアップのための良いストレスになります。
一方で、「最悪だ」「ツイてない」「自分の責任だけじゃないのに…」などと負の感情で受け止めれば、それは悪いストレスとなるでしょう。

上司の注意の仕方などにもよりますが、前向きに捉えられるか否かで、ストレスの良し悪しは変化します。


このようにストレスは、受け止める側の身体的な特徴や感情、価値観、環境などさまざまなファクターによって、その良し悪しが変わることが難しい問題です。
相手が良かれと思って言ったことも、本人が気分を害してしまうと「ストレス」に含まれてしまうのです。


肉体的ストレスと精神的ストレス

肉体的ストレスと精神的ストレスに相互関係があると前述しましたが、もう少し詳しくお話しします。

Image by NEOヤジ1970 from photoAC

日常生活における肉体的ストレスには、どうすることもできない不慮の怪我や疾病を除き、不適切な食習慣による栄養不足や肥満、睡眠不足による疲労の蓄積、座りっぱなしの生活による運動不足など、自分の意識で改善できるものもあります。

この生活習慣を改善しないとストレスが溜まり続けることで、首こりや肩こり、腰痛、頭痛などやさまざまな不定愁訴を引き起こし、その痛みに耐えたりかばうことで精神的ストレスを感じていきます。
生活習慣が深く関わる生活習慣病(ガン、心臓病、脳卒中など)が発症したら、ストレスと言ってられないほど深刻な状態になってしまいます。

一般的にストレスと言われる精神的ストレスは、イライラして怒りっぽくなる、気持ちが沈む、やる気が出ない、自己肯定感が低くなるなど心の健康を害す原因となります。
この精神的ストレスは、眠れない、食欲低下や暴飲暴食、倦怠感、疲労感などの肉体的ストレスを伴う病気を引き起こします。
うつ病や自律神経失調症、適応障害、パニック障害などがそれに該当します。


肉体的・精神的ストレスが疾病につながるのには、自律神経が深く関わっています。
ストレスがかかると、自律神経のうち交感神経の働きが高まります。

交感神経には筋肉を緊張させる作用があり、こうした状態が続くと筋肉がこわばって筋疲労を招き、痛みを生じさせるため、カラダの不具合を起こします。
これが“筋肉のコリ”となって、肩こりや腰痛の要因となる一つです。

また交感神経には心拍数を高め、血圧を上昇させ、呼吸を浅く速くさせる働きがあり、カラダを興奮状態にさせるため、リラックスできずに睡眠障害を起こします。
横になって休んでいるときでも、カラダが興奮状態だと疲れが取れるわけありませんよね。

Image by Adrian Swancar from Unsplash

他にも、胃腸の消化吸収能力を低下させる働きが交感神経にはあるため、食事から摂取した栄養素が上手く吸収できず、便秘や下痢になり、栄養不足の状態になってしまいます。


みなさんの日常生活における肉体的ストレスには、悪い姿勢や、長時間同じ姿勢を続けることも含まれます。
長時間のデスクワークや運転、ながらスマホ、ソファーでゴロゴロしながらのテレビ鑑賞などが当てはまります。

悪い姿勢や同じ姿勢を続けることにより、筋肉や関節に物理的な負荷がかかり、その負荷が蓄積すると筋肉や関節などが緊張した状態で固まり、やがて炎症が生じて痛みを感じるようになります

さらに、疲労や睡眠不足などの肉体的ストレスが加わると、精神的ストレスも感じるようになり、もっと悪化することになります。
この状態が続くと、筋肉のバランスが崩れて不良姿勢のまま戻らなくなり、新たな痛みや疾患を引き起こす原因になるという、負のスパイラルに陥ることもあります



ストレスの解消方法とは?

さまざまな肉体的ストレスや精神的ストレス、また相互関係についてお話ししてきましたが、解消させる方法はあるのでしょうか?

「肉体的ストレスの解消方法」と「精神的ストレスの解消方法」と分けて解説していきます。

① 肉体的ストレスの解消方法

疲れや寝不足、疲労感などの肉体的ストレスの主な原因には、生活習慣が大きく関わっています。
生活習慣には、食事や運動の習慣を始め、喫煙・飲酒・睡眠などが含まれます。

特に食事・睡眠・運動は「健康の三原則」と呼ばれていて、心身の健康には欠かせない因子と言われています。

 【食事】

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正しい食生活に大切なのは、「質」と「量」の見直しです。
栄養のバランス、腹八分を心掛ける、1日3食摂るなど、今更お伝えしなくてもみなさんご存知だと思います。

菓子パンやファストフードで簡単に済ませたり、甘い飲み物やスイーツを過剰に摂取したり、3食食べなかったり食べすぎたり、意識しないとついつい悪習慣に…。

まずは、この3つの意識から始めてみましょう。

不足しやすい野菜類から、食物繊維やビタミンをしっかり摂る
肉や魚などからタンパク質をしっかり摂る
なるべく間食を控え、3食の食事をしっかり摂る

 【睡眠】

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睡眠に大切なのは、就寝前の準備です。
運動前の準備運動のように、睡眠にも準備が必要なのです。
寝なきゃいけないことは分かっているが、スマホやテレビを観ていたらついつい就寝が遅くなり、寝不足になりますよね。

最適な睡眠時間は成人の場合、6〜7時間だと言われています。
多少の個人差はありますが、寝なさすぎも寝過ぎもカラダには良くないとされています。

「このくらい寝ているのに、睡眠不足に感じるんだけど…」という人は、「時間」よりも「質」が問題かも知れません。
そんな方は、この3つを実践してみてください。

就寝の1〜2時間前には、スマホの使用を控える
就寝の4〜5時間前には、カフェインやニコチン(喫煙)を摂らない
就寝の2~3時間前までに、入浴は済ませる

睡眠の質を高めるには、自律神経の副交感神経を高めて、心身ともにリラックスさせることも大切です。
就寝の1時間前には布団に入り、深呼吸(腹式呼吸)をしてリラックスさせることもぜひ試してみてください。

 【運動】

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一番疎かになるのが運動です。
運動は好き嫌いがありますが、カラダにとっては良いストレスです。

日常生活で長時間座りっぱなしや同じ姿勢で過ごす人は、筋肉が緊張でコリ固まってしまいます。
座りっぱなしで常に負荷がかかるお尻の筋肉の緊張は、腰痛の原因になってしまいます。
お尻の深層筋(インナーマッスル)である梨状筋には坐骨神経が通っていますので、緊張でコリ固まることによって神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こします。

痛みが出てくると苦痛を感じてしまうので、精神的ストレスが増してしまいます。
ストレスを軽減するためには、痛みを感じる前の「ダルい」「重く感じる」状態での事前の対応が重要になります。

固まってしまった筋肉は、動かすことでほぐれます。
ストレッチももちろん効果がありますが、コリ固まりすぎた筋肉には、まずは動かすことで血流を促すことが大切です。
まずは、この4つから始めてみましょう。

●通勤時に少し長めに歩く習慣をつける(ながらスマホはNG、歩幅は大きくを意識)
●エレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使う習慣をつける
毎晩お風呂にしっかり浸かる習慣と、入浴後にストレッチをする
週に1〜2回の運動習慣を身につける(無理をしないで、続けられるメニューで)

あくまで、無理なく続けられることが一番大切です。
“習慣”にすることがもっとも重要であり、無理してカラダを痛めては余計にストレスを抱える原因になってしまいます。

まずは意識して毎日続けることから始め、それが当たり前になってきたら距離や時間を増やしていきましょう。



② 精神的ストレスの解消方法

精神的ストレスの解消は、すごく難しい問題です。
それは人間それぞれが、性別や年齢、性格、思考など十人十色の特徴を持ち、置かれている環境やそれに関する出来事など、まったく同じ条件の人が存在しないからです。

Image by  ACworks from photoAC

世の中には「ストレスなんてまったくない」という人もいれば、「ストレスが溜まってる」という人もいます。
一般的にストレスというと、悪い意味で捉えられることがほとんどです。
ですが、「ストレスなんてまったくない」と捉える人は、ストレスを悪く捉えていないはずです。


この「ストレスの捉え方」について、米スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴガル氏は、ストレスは体に悪い”という思い込みが心身の問題を引き起こす」と言っています。

米エール大学の研究によると、「ストレスを害だと思っている人」は、「ストレスがポジティブな力になり得ると思っている人」よりも、気分が落ち込む傾向があることが明らかになっています。
「ストレスにも良い面がある」と気づくことが重要なのです。

ストレスが集中力を高めるのに役立つとか、ストレスの多い状況を経験することで自分を強くすることができると思っている人は、より健康的で、幸せで、仕事でもいい結果を収めています。
ストレスにさらされている状況で、「ストレスのメリット」を見つけることができたら、深い不安を感じたり、気分が大きく落ち込んだりすることを防げる可能性が高くなるのです。
ストレスは避けられないものだと理解し、ストレスは普通のことで必ずしも悪いことではないと捉えることが大切なのです。


ストレスは「重要な役割を果たそうとする時や、意義のある目標を追い求めた時に、必然的な結果として起こるもの」と言えます。
ストレスを感じることは「あなたの生活に何らかの問題がある」というサインであるというよりはむしろ、「個人的に意義のある役割や人間関係、目標に、どれだけあなたが関わっているか」のバロメーターになり得るのです。
ストレスという苦難を通して、意味を見いだそうとする本能と許容力が、「意義を見いだそうとする欲求」を生むきっかけになります。

「人生の意義」はストレス環境そのものにあるわけではなく、私たちの内に呼び起こされる、個人の成長、精神的な探索、魂の探求を触発するというプロセスにあるのです。「人生に意義を見いだすこと」は、ストレスに反応した結果です。
だからこそ、ストレスのある状況が往々にして「人生の意義」を生み出すのです。

出典 : 日本経済新聞「NIKKEI STYLE」
引用 : ケリー・マクゴニガル著『スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』

「ストレスなんてまったくない」という人は、「ストレスのメリットに気づいている」人なんですね。

ストレスとの付き合い方で、「ストレスを受けるような状況を避けようとする」「ストレスについて考えないようにする」「飲酒やテレビ鑑賞、ゲームで遊ぶことでストレスの感覚から逃れようとする」といった方法をとる人もいます。
ですが避ける方法を続けた人は、「10年間でうつになっている傾向がより強かった」と、アメリカの調査で発表されています。

ストレスがゼロという世界はどこにもありません。

「ストレスの良い面」を見つけ出し、ストレスが自分自身の人生を有意義なものにさせる「人生の意義」として、前向きに付き合うことが改善方法となるのです。

Image by Joel Mott from Unsplash



最後に

ストレスって色々とありすぎて、ストレスと感じるものも人によって異なるため、本当に難しいテーマだと思います。

トレーナーとして、「トレーニングでストレス解消しましょう!」と言いたいですが、それだけですべてのストレスが解消されるとは思いません。
それはトレーニング(運動)習慣があるトレーナーの僕でも、仕事や人間関係の悩みなど精神的ストレスをまったく感じないわけではないからです。

心理的ストレスである不安や怒り、社会的ストレスである人間関係や仕事上の問題など、精神的ストレスをまったく感じないとはなかなかできないと思います。

ですが、肉体的ストレスが原因で痛みや苦しさを感じるような体調不良を抱えることは、運動習慣で軽減できることは事実です。
現にここ数年、僕は体調不良で病院や治療院に行ったことはありません。

健康上の問題によるストレスは、運動習慣・生活習慣の改善で軽減できるのです。
少しでも精神的ストレスを軽減させるためにも、肉体的ストレスになる要因はすべて解決するべきだと思います。

「トレーニングや運動によって、ダイエット・ボディメイクができた」という成功体験も、自己肯定感を高めることでストレスを軽減できます。
「自分に自信を持つ」ことが、“ストレスとより良い付き合いができる”きっかけとなると信じています。


最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

コメントにて、みなさんのストレスに対する考え方や付き合い方を教えていただけたら嬉しいです。

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