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#34 秋冬はダイエットのチャンス!?

パーソナルトレーニングジムSISEIの宮谷です。

例年よりも暖かい日が続いていますが、朝晩は冷え込みますね。
草木も色づき始め、秋冬の到来を感じさせます。

外気温が低下するとともにファッションも重ね着をするため、肌の露出が少なくなることから、どんどんダイエットへの意識が薄れる季節になってきます。

しかしみなさんのダイエット意識が高くなる春夏よりも、秋冬の方がダイエットの効率が良いことはご存知ですか?

今回は「秋冬のダイエット」についてお話しさせていただきます。


なぜ秋冬に太ってしまうの?

Image by yunmai from Unsplash

“秋冬はダイエットの効率が良い”と言いましたが、一般的に秋冬に太ってしまう人が多く、矛盾が生じるのはなぜでしょう?

まずは、秋冬に太ってしまう原因について見ていきましょう。



① カロリーオーバーしやすい

秋冬は忘年会やクリスマス、お正月などイベントが盛り沢山で、暴飲暴食をする機会が増えます。
高カロリー・高脂質な食べ物+アルコール摂取により、ついついカロリーオーバーしてしまうことも原因の一つと言われています。

また温かい室内でゆっくり過ごす機会が増えることで、テレビやスマホを見ながらついつい間食をしてしまってカロリーオーバーする人も多いですね。

② 空腹感を感じやすい

寒くなってくる秋冬は夏に比べると「空腹感」を感じやすくないですか?
夏と比べて身体の活動量が増えてカロリーの消費量が増えているわけでもないのに、なぜ「空腹感」を感じるのでしょう?!

これには諸説あります。

一つは「食べることで熱を発生させ、体温を上げるため」と考えられています。
体温を上げるために働く交感神経によって、空腹感を感じさせる“グレリン”という物質の分泌を促進させることが、マウスによる実験によって仮説が立てられています。

二つ目に「日照時間が短くなることで、幸福ホルモン“セロトニン”の分泌が減少するため」とも考えられています。
“Winter Blue(冬季うつ)”という症状があるように、日照時間が短くなると気分が落ち込みやすくなり、疲労感や無気力感を感じやすくなる人も…
この“冬季うつ”は一般的なうつ症状と異なり、過眠・過食・過体重傾向になりやすいと言われています。

寒さに負けて部屋に篭って活発に行動しなくなることや、外に出て太陽の光を浴びる機会の減少が、空腹感を感じやすくなる原因となるのです。

③ カラダの冷え

“冷え(冷え性)”とは何でしょう?

血液循環の不良から体内で作られた熱がカラダの隅々まで行き届かず、手足などの末端が冷えてしまう症状。
原因としては、貧血や低血圧、動脈硬化、姿勢の悪さ、運動不足などがあげられます。

女性に“冷え(冷え性)”を感じる人が多い理由は、男性に比べて体温を上昇させる役割を果たす筋肉が少なく、冷えるとなかなか温まりにくい性質を持つ脂肪が多いためです。

Image by Spencer Backman from Unsplash

特に女性に多い“反り腰”姿勢は股関節周りを通る動脈の流れを阻害してしまうことから、足先が冷えやすくなります。
また「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉が固まって弱くなることから、心臓から遠位にある足先の血液循環が悪くなってしまうことも原因です。

“冷え(冷え性)”は体温の低下によって基礎代謝量を下げてしまうことから、太りやすいカラダになってしまいます。
現代では夏に冷え性の症状を感じる人が増えていることから、外気温の低下が冷えの原因ではなく、運動不足による筋力の低下が大きな要因の一つとして考えられます。

④ 運動不足

寒くなってくると温かい室内に篭り、外出したり活動する時間や機会が減ってしまいがちです。
また“冬季うつ”症状にもあるように、暖かい季節には活動的だった人でも興味が無くなったりと無気力になってしまいやすくなります。

活動する時間や機会が減ると、比例して消費カロリーが低下してしまうため、摂取カロリーが上回ってしまうことで太ってしまうのです。

春〜夏にかけて目標をもってトレーニングや運動でダイエットやボディーメイクしていた人も、秋冬に薄着になる機会が少なくなるため、気が緩んで頻度が減少することも多く見られる傾向ですね。

また活動量やトレーニング、運動頻度が減ることから筋肉量が減少し、それに比例して基礎代謝量が低下することも太りやすくなる原因の一つです。



秋冬に痩せやすいと言われるのはなぜ?

Image by Tumisu from Pixabay

秋冬に太りやすい原因を4つ挙げましたが、では逆に痩せやすくなる根拠について2つお話しさせていただきます。



① 褐色脂肪が増加しやすい

皮下脂肪や内臓脂肪として脂肪を蓄える役割がある「白色脂肪」とは異なる機能を持つ脂肪、それが「褐色脂肪」です。
「褐色脂肪」は糖や白色脂肪を素早く熱エネルギーに変える性質を持ち、寒さに反応して増えることが証明されています。

例えば冬眠する動物たちは、多量の褐色脂肪を持っています。
冬眠中はジッとしてエネルギー消費を抑えて蓄え低体温で過ごし、冬眠から覚めたときに褐色脂肪でカラダを温めて活動します。

同じ動物である人間においては、赤ちゃんの頃は熱エネルギーに変える筋肉が育ってないことから、褐色脂肪が多く存在することが分かっています。
しかしカラダの成長とともに筋肉が育ち、温かい室内で過ごす生活環境で次第に減少していき、成人になるにつれて徐々に褐色脂肪は無くなってしまうとされていました。

ですが近年の研究で、成人でも褐色脂肪が存在することが確認されています。
温かい季節よりも寒い季節のほうが多く存在することから、寒さを感じると褐色脂肪が増えることも分かっています。

また痩せている人ほど多くの褐色脂肪が存在し、若者には約300gの褐色脂肪があります。
若い頃は太りにくい体質だったのに、ある年齢を過ぎてから太りやすくなる現象は、この褐色脂肪の有無も大きく関係していると思われます。

Image by Daniele Levis Pelusi from Unsplash


② “ふるえ”によるカロリー消費

人間には寒さを感じると、カラダを“ふるえ”させて熱エネルギーを生み出し、体温を上昇させる生理現象があります。
これを「ふるえ熱産生」と呼び、医学的にシバリング(shivering)と呼ばれています。
※ ちなみに先述した褐色脂肪による熱産生のことを「非ふるえ熱産生」と言います。

“ふるえ”は1分間に最大200〜250回にのぼる不随意運動で、じっとしているときの安静時に比べて最大で6倍の熱を作り出します。

この「ふるえ熱産生」は筋肉を動かして熱を生み出しますが、動筋と拮抗筋が同じように力を発揮するため、大きな動きではなくて細かい“ふるえ”としてカラダに現れます。
ふるえるときは筋肉を収縮させるので、エネルギー源としてATP(アデノシン三リン酸)が使われます。
※ ATPは糖質やアミノ酸(タンパク質)、脂質を材料として作られています。
 詳しく知りたい方は下記の記事で触れておりますので、併せてお読みください。

寒さを感じると起きる生理現象である“ふるえ”は、筋肉の収縮で多くのATPを使い熱を作り出すため、結果的に消費カロリーを増やすことにつながるのです。



“痩せやすい季節を逃さない”ポイント

Image by Rodolfo Sanches Carvalho from Unsplash

秋冬に“太りやすい原因”と“痩せやすい根拠”についてお話ししてきましたが、ここでまとめてダイエットのポイントについて見ていきましょう。

◆ 秋冬に太ってしまう原因のまとめ

外気温の低下や日照時間が短くなることで室内で過ごす時間が増え、無気力に過ごすことで空腹感を感じ、ついつい無駄な間食が増えカロリーオーバーしてしまう。
「寒いから…」という理由で外を出歩く機会や運動する習慣も減ってしまい、身体活動量の低下に伴う消費カロリーの減少や、運動不足で筋量低下による冷えや基礎代謝量の減少が原因として考えられる。

◆ 秋冬に痩せやすい根拠のまとめ

秋冬の外気温の寒さに身を晒すことによって褐色脂肪が増え、この褐色脂肪が熱産生するために糖や脂肪を燃焼する。
寒さを感じると起きる現象である“ふるえ”によって筋肉が収縮し、エネルギーとしてATPが消費するため消費カロリーが増える。



以上のことを踏まえ、“痩せやすい季節”である秋冬にダイエットを成功させるポイントをご紹介します。

① 寒さを味方にする

Image by Николай Оберемченко from Pixabay

褐色脂肪(細胞)を活性化するために、寒さにカラダを慣れさせる必要があります。

個人差はありますが、人が快適と感じる室温の目安は18~22℃です。
※ 環境省ではWARM BIZ(ウォームビズ)の考えに基づき、冬季の室内温度を20℃にすることを推奨しています。

寒いからと言って暖房の設定温度を上げすぎると外気温との差が大きくなることで、外出時にますます寒さを強く感じてしまいます。
その結果、外出したくなくなったり、過度な厚着で着膨れしてしまうことになるのです。
外出時は過度な厚着をしないで、寒いときこそ歩いたり自転車を漕いだりして、カラダを動かして温めることが大切です。

ですが体感温度には個人差がありますので、無理をして風邪をひかないように気をつけてください。
まずは暖房の設定温度を少し低くして、1日2〜3時間くらい暖房を入れない時間を作るところから始めましょう!

また外出時には脱ぎ着しやすいファッションに心掛けて、少し肌寒さを感じる服装で過ごす時間を作りましょう!
首やお腹、下半身を冷やさないファッション
をすれば、薄着をしてもカラダを冷やす心配はありませんよ。

② 高タンパク・低脂質な食事

ご飯を食べたときに、身体が温かくなるのを感じたことはありませんか?
この現象は「食事誘発性熱産生」と呼ばれ、食事で体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されるために起こります。

食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって異なり、タンパク質を摂取した場合は摂取エネルギーの約30%、糖質は約6%、脂質は約4%と圧倒的にタンパク質が代謝量を増やします。

高タンパク・低脂質食は代謝量を増やしやすく、また食事によってカラダを温めることができるのです。
ダイエット食として一般的にオススメされる理由には、この食事誘発性熱産生も関係しています。



またカラダを温める食品を使った食事を摂ることもオススメです。
発酵食品や香辛料などもカラダを温める効果が高いので、うまく利用してバランスの取れた食事に心掛けましょう。

引用 : ゆたか倶楽部


「カラダを冷やさないためにも、冬は冷たい食事や飲み物は避けよう」とよく目にしますが、これには諸説あるため正しいとは言いきれません。

確かに冷たい食べ物や飲み物は内臓を冷やすため、消化吸収能力を低下させて内蔵の基礎代謝を下げると言われています。
ですが逆に体温より低い冷たいものを摂取することで、体温まで上げようとしてカロリーを消費するという説もあります。

これに対し正確な答えはありませんが、体温に近い温かさの食事や冷やし過ぎていない常温の飲み物を摂っていれば問題はないと個人的には思います。

③ カラダを動かして温める

Image by greg rosenke from Unsplash

運動やトレーニングでカラダを動かすことは筋肉や体力をつけるだけでなく、エネルギーを消費してカラダを温める熱を生み出します。
運動やトレーニングだけでなく、日常生活においての歩く、階段を上るなどの身体活動も同様です。

寒い季節が暖かい季節よりも日常生活における身体活動量が減れば、もちろん消費カロリーは減少します。
また寒いからと言って動かなければ、それだけカラダを温める熱を生み出すことはできません。

日常生活でなかなか歩く機会のない人は、ジムでのトレーニングや外でのウォーキング習慣をつけることが必要になります。

太りやすい原因でも述べましたが、運動不足やそれに伴う筋量低下は、基礎代謝量を下げるだけでなく“冷え”の要因にもなります。

①でも触れましたが、まずは少し薄着な服装で毎日の通勤や通学を少しでも長い時間・距離を歩く、階段を利用するなど身体活動量を増やしてみましょう!

④ 褐色脂肪を増やす

“褐色脂肪を増やす”という点で寒さを味方にすることが必要であるとお伝えしましたが、実は運動やトレーニングにも褐色脂肪を増やす効果があります。

運動やトレーニングによって、筋肉が収縮することで分泌される「イリシン」というホルモンが存在します。
このイリシンというホルモンは血中を移動し、白色脂肪を褐色脂肪に変える働きをすることが分かっています。

褐色脂肪は首や肩甲骨、脇の下、腎臓周辺の背中側に存在します。

Image by アゲオカ from illustAC

肩甲骨や脇の下の筋肉を鍛える背中のトレーニングは、“褐色脂肪を増やす”という観点から有効であると考えられます。

寒さに背中を丸めやすい秋冬の季節は、特に肩甲骨の動きが悪くなってしまいます。
それでなくてもスマホやパソコン操作でうつむきがちな現代社会では、背中の筋力や柔軟性が失われてしまいがちです。

肩甲骨周りをストレッチで柔らかくし、トレーニングで動かして鍛えることが、秋冬にダイエットを成功させる秘訣になります。

先述したイリシンというホルモンは血中を移動しますので、もちろんカラダの他の部位のトレーニングも効果がないわけではありません。



野外でのウォーキングやランニング、スポーツももちろん褐色脂肪を増やすことができます。
寒さの中でカラダを大きく動かすことで、褐色脂肪細胞のスイッチがオンになると考えられるからです。

一番重要なことは、「トレーニングや運動をする習慣をつける」ということです。
毎日とは言いませんが、せめて週に3〜4日の運動習慣を身につけましょう!



最後に

寒い秋冬の季節にダイエットのチャンスがあるなんて、驚きの情報だったのではないでしょうか?
一般的に“秋冬に太ってしまって春夏に慌ててダイエットを頑張る”、そんな方が多いと思います。

「寒いことを言い訳に暖かい室内で温かい服装でグダグダ過ごす」、そんな習慣が太る原因であることはみなさん周知の事実ですね。
ではなぜ、分かっていることなのに改善できないのでしょう?

それは「普段からカラダを動かす習慣が身についていないから」です。
スポーツ庁の統計では、運動不足だと感じている現代人は約80%を占めるとデータが出ています。(令和2年世論調査による)

小学校でみなさん習っている「健康の三大原則」は、「栄養(食事)」「睡眠」「運動」です。
この中で一番の基盤は「運動」だと僕は考えています。

「カラダをいっぱい動かしたからご飯がおいしい」「カラダを動かして疲れたからぐっすり休めた」など、“カラダを動かす=運動”をするから健康なカラダを維持できると思います。

1年で一番のダイエットチャンスである秋冬をアクティブにカラダを動かして過ごし、新年をスッキリしたカラダで迎えましょう!



最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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また質問なども受け付けております。
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