龍神さまの言うとおり。(第7話)
「ずいぶん濡れちゃったね。大丈夫?」
突然のスコールの中を、急いで駆け込んだ地下鉄の入り口で、洋介はズボンのポケットからハンカチを取り出し、恭子の腕や背中、そして髪に降りかかった雨水を拭おうと軽くはたいた。
「ありがとう。三河くんだってズブ濡れじゃない」
恭子はそう言って、ショルダーバッグからタオル地のハンカチを取り出し、洋介の頭や背広の雨水を拭った。
「なんだか、あの時と一緒だな・・・」
そう言った洋介は、濡れたメカネをハンカチで拭きながら、二十六年前の夏を思い出