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連続小説「龍神さまの言うとおり」

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かつて高校時代に龍神さまから聞いたお告げが、いま現実に・・・。 それは、ごく普通の中年サラリーマンに巻き起こった奇想天外なラブストーリーだった。
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記事一覧

龍神さまの言うとおり。(第1話)

七月も末となった、土曜日の午後一時。 高層ビル群が建ち並ぶ新宿副都心からほど近い、西新宿…

龍神さまの言うとおり。(第2話)

「では、予めお配りしている本日の保護者会スケジュール表二番目の項目、夏休み中の補習授業に…

龍神さまの言うとおり。(第3話)

私立青雲高等学校の保護者会。 教壇に立つ男性教諭の話しによると、PTA役員は、ひとクラス…

龍神さまの言うとおり。(第4話)

「あの・・・、これ読んでくれる、かな?」 二人しかいない放課後の教室で恭子は、そう言いな…

龍神さまの言うとおり。(第5話)

二十六年ぶりに再会した高校時代の同級生である恭子は、隣の机に座る洋介を見つめながら、落ち…

龍神さまの言うとおり。(第6話)

二人が校舎の外に出ると、グリークラブの歌声は、よりクリアに聞こえてきた。そして伸びのある…

龍神さまの言うとおり。(第7話)

「ずいぶん濡れちゃったね。大丈夫?」 突然のスコールの中を、急いで駆け込んだ地下鉄の入り口で、洋介はズボンのポケットからハンカチを取り出し、恭子の腕や背中、そして髪に降りかかった雨水を拭おうと軽くはたいた。 「ありがとう。三河くんだってズブ濡れじゃない」 恭子はそう言って、ショルダーバッグからタオル地のハンカチを取り出し、洋介の頭や背広の雨水を拭った。 「なんだか、あの時と一緒だな・・・」 そう言った洋介は、濡れたメカネをハンカチで拭きながら、二十六年前の夏を思い出

龍神さまの言うとおり。(第8話)

都営大江戸線、牛込柳町駅の入り口で、黙ったまま互いを見つめ合う洋介と恭子であったが、先に…

龍神さまの言うとおり。(第9話)

上海で偶然にも再会した洋介と恵子は、ホテルのラウンジにあるソファーに座った。そこで洋介は…

龍神さまの言うとおり。(第10話)

二十六年前・・・。 愛媛県の八幡浜港と、その沖合にある大島を二十分ほどで結ぶ小型の高速フ…

龍神さまの言うとおり。(第11話)

愛媛県、八幡浜市の沖合にある大島。それは、合計五つある島々の総称である。北から、粟ノ小島…

龍神さまの言うとおり。(第12話)

新宿中央公園の上に広がる青空を見上げながら、洋介は二十六年前に愛媛県八幡浜市の沖にある大…

龍神さまの言うとおり。(第13話)

新宿中央公園にあるカフェのテラス席。洋介は、二十六年前の高校時代を思い出しながら、改めて…

龍神さまの言うとおり。(第14話)

愛媛県、八幡浜高校内にある生徒会室の入口ドアが、ゆっくりと開いた。 「お邪魔しま~す」 そう言いながら俯き加減で恥ずかしそうに部屋の中へ入ってくる恭子の仕草は、いつ見ても愛くるしい。洋介はそう感じた。 「これ、ダンスのタキシードに仕立てた学生服。もう元に戻したから、ついでに持って来ちゃった」 「ありがとう」 体育祭の演目であるダンスタイムに着る衣装は、クラス毎に恭子を含む複数の女子生徒たちが仕立てていた。その中でも、男子学生達が着るタキシードは、黒の詰襟学ラン服に白