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一方通行な乙女様!エピソード4     乙女たちの水族館     

望月:「あなたたち….ここで何してるのよ!?
    学校はどうしたのよ!?」

望月さんは驚いた表情で、僕たちに質問した。そう。今は紛れもない平日。僕たち学生は普通なら学校で授業を受けないといけない。しかし、僕らは今水族館にいる。平日、制服を着た学生が水族館に遊びに行くのを見かければ望月さんのような表情になるのは当たり前である。しかし、だ。望月さんも学生。本来であれば、僕たちと同じように、水族館にいるのはおかしい。だが、僕は、望月さんの連れを見て納得した。望月さんの連れは、家族だった。望月さんの家族は土日こそ忙しい仕事をしていると聞いたことがある。ということは、家族たちにとって、今日が一番都合がよかったから、久しぶりに家族で遊びにいきたいと家族の人は思い、わざわざ望月さんは学校を休んで、家族と水族館に来た。というところではないだろうか?

しかし、だ。望月さんの私服が可愛すぎる。これは目の保養になるな。しっかり、目に焼き付けないと….

望月:「ちょっと….なにジロジロとみてんのよ….
    恥ずかしいじゃない….」

おっと、まずい。望月さんの照れ顔で尊死するとこだった。

美咲:「….ねぇ….」

俺の隣にいた美咲がつぶやいた。

美咲:「今、私が彼女なんだよ!!??
    なのに、望月さんのことばっか見て!!
    私のことも少しは見てよ!!」

水族館の入り口に響き渡る美咲の声。平日だからか、人はいなかったため、あたりから変な視線をあびることはなかった。が
驚きの声を上げた人物が一人いた。

望月:「はぁああああ!!??」

それは、望月さんだった。当然だ。昨日別れたはずの彼氏が、今日あったら、可愛い彼女を作っているのだ。意味が分からなくなるのも当然だ。

美咲:「健太はあなたにフラれて、あなたのことが嫌い
    になったんですよ!いやー残念ですねー!」

望月さんの瞳が揺らいだ。
違う….俺は、望月さんのことを嫌ってなんか….
僕は否定しようとした。その刹那。

望月 父:「瞳~早くいくぞ~」

望月:「あ….は~い….」

望月さんはお父さんらしき人物に呼ばれ、望月さんはお父さんのほうに向かっていった。結局、僕は否定ができなかった。

美咲:「水族館。家族と楽しんでくださいね~!」

また煽り気味に望月さんに向って言った。しかし、望月さんは何も言わず、振り返らず、そのまま、家族と水族館に入っていった。

美咲:「さて!邪魔者はいなくなったし!水族館に
    行くわよ!!」

そう言って、美咲は水族館の入り口ゲートに楽しそうに向っていった。
僕は美咲の後を追った。
その時、地面に落ちていた、望月さんの涙を僕は忘れない。


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