水円 岳

あらかんの怠け者のおっさんです。俳句から超長編小説まであらゆる文章を書きます。恥も冷や…

水円 岳

あらかんの怠け者のおっさんです。俳句から超長編小説まであらゆる文章を書きます。恥も冷や汗もかきますが、デリカシーにはかけます。作話は画像連想式です。

マガジン

  • てぃくる

    長編小説『ぐりーんふぃんがーずくらぶ日誌』の幕間繋ぎ用に書き連ねてきた小ネタ集を、独立させました。画像と短い文章の組み合わせ。内容は雑多です。

  • アナウンス&作品紹介

    自作小説の新作アナウンス、公開済み作品の紹介などをつらつらと。

記事一覧

固定された記事

せるふ いんとろだくしょん ……てか?

 えーと。水円 岳と申します。  せるふ・いんとろだくしょんをぶちかましておこうと思います。 せ 性格は明るいと思いますが、怠け者で、気は利きません。 る るっ…

水円 岳
2年前
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てぃくる 1000 千

千の花が咲く 千の花のどれ一つとして 同じものはない 千の花が咲く 全て違う花でも千集まると 一つの景色となる 千の一つとしての私 千集めた私のかけら 私はどこにい…

水円 岳
3日前

てぃくる 999 まだかいな

「もうだいぶいろんな木々の葉が開いてるようなんだが。俺らはまだかいな」 「まだだ。俺たちは眠の木だからな」 違う! 合歓の木だよ!  マメ科の樹木は南方系のものが…

水円 岳
6日前
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てぃくる 998 競演

「あなた、わたしと張り合おうっていうの? そのきったない色で?」 「余計なお世話だ。俺は見た目より量で勝負なんだよ。マッチングが風まかせだからな」 「ふふん。わ…

水円 岳
8日前
1

てぃくる 997 嘘

 がんばって嘘を吐こうとしてみたんだけどさ。  嘘しか吐いたことがないからできないんだ。  本当のことを言えよって言われるけど。  誰が本当のことを知っているんだ…

水円 岳
11日前
1

てぃくる 996 役に立たない誘導灯

「普通さあ、誘導灯って、飛行機の進路に沿って並ぶもんじゃないの?」 「しゃあないだろ。俺らに並ぶっていう概念がないんだから」 「航空機事故のもとになるんちゃうの…

水円 岳
13日前
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てぃくる 995 バターを濡らしてはいけない

「バターを濡らしてはいけないんだよ」 「どうして?」 「バターがバターらしくなくなっちゃうからさ」 「バターはバターらしくなくちゃいけないの?」 「さあ。それはバ…

水円 岳
2週間前
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てぃくる 994 連れ星

小さな星は 一つだと見つけてもらえない だから たくさん寄り集まって 連れ星になる 連れ星になって 初めてわかる 連れ星の中だと どれが僕かわからない それで いい…

水円 岳
2週間前
1

てぃくる 993 全然似てない

「なあ。俺、すっごく悩んでるんだ」 「なにに?」 「俺、全然似てないんだよ」 「親に?」 「勝手に騒動のもとを作り出すな!」 「ちぇ。つまらん」 「そうじゃないっ…

水円 岳
2週間前

てぃくる 992 明暗

全き葉なら その下は暗い 欠けているから 光が通る 欠けた分だけ 明るくなる でも 全部欠けたら 僕がなくなる  普通の葉だと影に変化がありません。明るいか暗い…

水円 岳
3週間前

てぃくる 991 食べ方が汚い

「いやあ、確かに食われてなんぼではあるんだけどさ。もうちょっときれいに食えないのかね」 「なんか、齧ってみただけって感じだよな」 「中途半端に食べ跡残されると、ま…

水円 岳
3週間前
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てぃくる 990 骨

夏の終わりに 生まれ出で 秋には 月の埃を箒き 秋の終わりに 冬毛を纏う 冬に抗う間に 痩せて 今は膝抱く 骨ばかり それでも俺は 生き切った 春まで待てず 斃れる…

水円 岳
3週間前

てぃくる 989 キャラじゃない

「なあ。俺たち、こういうキャラじゃないはずだよな」 「そうだよ。暖か、ふわふわ、しっとり、もこもこ。それが俺らのキャラだが……」 「どう見ても、その正反対だよな、…

水円 岳
1か月前
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てぃくる 988 未だ

花の便りは 聞こえてきたが 俺の花は 未だ夢の中でしか咲かない 残り少ない 去年の栄華が 寒空の下 かさりと寝返りを打つ 撫でる者待ちて揺れゐる猫柳 (2023-02-26…

水円 岳
1か月前
1

てぃくる 987 減らないなあ

「もう正月はとっくに過ぎてるよなあ」 「いつの話をしている。もうすぐ三月だぞ」 「いや、俺たち減らないなあと思ってさ」 「己を安売りしないだけだ」 「でも今はとも…

水円 岳
1か月前
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てぃくる 986 なんだ、君は!

「いきなり出てきたらびっくりするではないか!」 「去年の秋からずっといるよ」 「気味が悪いからさっさと退去してくれ!」 「そうはいかない。出番はこれからなんだ」 …

水円 岳
1か月前
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せるふ いんとろだくしょん ……てか?

せるふ いんとろだくしょん ……てか?

 えーと。水円 岳と申します。
 せるふ・いんとろだくしょんをぶちかましておこうと思います。

せ 性格は明るいと思いますが、怠け者で、気は利きません。

る るっくすは年齢相応のおっさん……というか爺さんです。

ふ 服装を考えるのが面倒なので、年中同じような格好をしています。

いん 印象的なものを見たり、聴いたり、感じたりするのは好きです。

と とにかくいろんな文章を書き散らします。超短文

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てぃくる 1000 千

てぃくる 1000 千

千の花が咲く
千の花のどれ一つとして
同じものはない

千の花が咲く
全て違う花でも千集まると
一つの景色となる

千の一つとしての私
千集めた私のかけら

私はどこにいる?
私は何になる?

 ということで。とうとうてぃくるが千になってしまいました。総記事数が四千数百なので、まだ本編を上回ってはいないんですが、話数で見るととっくに本編を追い越してます。本末転倒ですね。とほほ……。
 でも、本編が

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てぃくる 999 まだかいな

てぃくる 999 まだかいな

「もうだいぶいろんな木々の葉が開いてるようなんだが。俺らはまだかいな」
「まだだ。俺たちは眠の木だからな」

違う!
合歓の木だよ!

 マメ科の樹木は南方系のものが多く、ネムノキもそのご多分に漏れません。しっかり暖かくなってからじゃないと動き出さないので、まだ枯れ木モードです。

 莢だけはいっぱいぶらさがってますけどね。
 いつ裂けて種が落ちるんだろ?

春眠と云ひて昼夜を問はづ寝る

(20

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てぃくる 998 競演

てぃくる 998 競演

「あなた、わたしと張り合おうっていうの? そのきったない色で?」
「余計なお世話だ。俺は見た目より量で勝負なんだよ。マッチングが風まかせだからな」

「ふふん。わたしの花を見に来てくれる人がいっぱいいるのよ。あんたは無視されるでしょ」
「その代わり、秋は俺の方がどんぐり豊作で目立つからな。その頃あんたは老ぼれだろ?」

 満開のソメイヨシノと競い合うように、クヌギの開葉が始まりました。もう少しした

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てぃくる 997 嘘

てぃくる 997 嘘

 がんばって嘘を吐こうとしてみたんだけどさ。
 嘘しか吐いたことがないからできないんだ。

 本当のことを言えよって言われるけど。
 誰が本当のことを知っているんだろう?

 真実を上回れる嘘はないって言うけど。
 嘘を上回れる真実もないと思うんだ。

 人を傷つけない嘘なら吐いていいの?
 人を傷つけない真実があるって以上に嘘くさいね。

 嘘で世界を手玉に取れると豪語する人も。
 自分は永遠に

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てぃくる 996 役に立たない誘導灯

てぃくる 996 役に立たない誘導灯

「普通さあ、誘導灯って、飛行機の進路に沿って並ぶもんじゃないの?」
「しゃあないだろ。俺らに並ぶっていう概念がないんだから」

「航空機事故のもとになるんちゃうの?」
「事故らないよ」

「どして?」
「俺らの灯りは昼にしか見えないから」

「灯りの意味ないね」
「飛行機には、ね。俺らには意味あるんだからそれでいいじゃん

「そっか」
「んだ」

 一筋の飛行機雲の下。
 トサミズキの無数の誘導灯

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てぃくる 995 バターを濡らしてはいけない

てぃくる 995 バターを濡らしてはいけない

「バターを濡らしてはいけないんだよ」
「どうして?」
「バターがバターらしくなくなっちゃうからさ」

「バターはバターらしくなくちゃいけないの?」
「さあ。それはバター次第だと思うけど。でも、あたしはバターらしい方が好きかな」
「ふうん。濡れたくらいでバターらしくなくなるとは思えないけどなあ」

「そうかい? バターは泣いたり、汗をかいたり、水泳をしたりしないだろ」
「うん。だって、バターだもん」

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てぃくる 994 連れ星

てぃくる 994 連れ星

小さな星は
一つだと見つけてもらえない

だから

たくさん寄り集まって
連れ星になる

連れ星になって
初めてわかる

連れ星の中だと
どれが僕かわからない

それで
いいのかな?

 キュウリグサの小さな花。ものすごくいっぱい咲いているんですが、小さな花ゆえにあまり見てもらえません。これだけ集まっても地味なのですから、ましてやその一つでしかないのなら。

 たくさんの花の中の一つになった今、自

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てぃくる 993 全然似てない

てぃくる 993 全然似てない

「なあ。俺、すっごく悩んでるんだ」
「なにに?」

「俺、全然似てないんだよ」
「親に?」

「勝手に騒動のもとを作り出すな!」
「ちぇ。つまらん」

「そうじゃないって。名前に」
「おまえに名前なんてあったのか」

「ひでえ。そこまで言うか」
「ちょー地味じゃん」

「まあ、そうだけどさ。でも、地味でも名前と外見くらい一致してないと、ますます埋没するからよ」
「ふむ」

「俺は雀には似てないし、

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てぃくる 992 明暗

てぃくる 992 明暗

全き葉なら その下は暗い

欠けているから 光が通る

欠けた分だけ 明るくなる

でも

全部欠けたら 僕がなくなる

 普通の葉だと影に変化がありません。明るいか暗いか、ですね。その分、意識は葉そのものにしか向きません。
 でも、病葉になると一転、影がとてもおもしろくなります。画像の葉もいろいろと置き場所を変え、葉の欠け落ちた部分からどのように光が通り、どのように影が落ちるのかを堪能しました。

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てぃくる 991 食べ方が汚い

てぃくる 991 食べ方が汚い

「いやあ、確かに食われてなんぼではあるんだけどさ。もうちょっときれいに食えないのかね」
「なんか、齧ってみただけって感じだよな」
「中途半端に食べ跡残されると、まずいって感じ百パーセント増量になっちまうじゃん」
「実際、まずいし」
「自分で言うなっ!」

「それにしても、食べかけってのは見た目もよくないよなあ」
「齧られなくても、最初からよくないよ」
「自虐ネタ、さんくす」
「だいじょぶだー。最後

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てぃくる 990 骨

てぃくる 990 骨

夏の終わりに 生まれ出で
秋には 月の埃を箒き
秋の終わりに 冬毛を纏う
冬に抗う間に 痩せて
今は膝抱く 骨ばかり

それでも俺は 生き切った
春まで待てず 斃れるが
それでも 俺は生き切った

 様々に姿を変えながら、ずっと被写体になってくれたススキの穂が、そろそろ終焉の時を迎えます。
 枯れ穂の足元ではすでに新芽がスタンバイ。旺盛な成長を始めるのは初夏になってからですが、また今秋も勢いよく穂

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てぃくる 989 キャラじゃない

てぃくる 989 キャラじゃない

「なあ。俺たち、こういうキャラじゃないはずだよな」
「そうだよ。暖か、ふわふわ、しっとり、もこもこ。それが俺らのキャラだが……」
「どう見ても、その正反対だよな、冷徹、こちこち、べっしょり、ごりごり。やだなあ、こんなキャラ。どうする?」
「待つしかねえよ。融ければ元のキャラに戻れるはず」
「枯れたままだけど……」
「言うなっ!」

 霜が降りると、地上の生物たちの様態が一変しますね。
 普段は和ま

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てぃくる 988 未だ

てぃくる 988 未だ

花の便りは 聞こえてきたが
俺の花は 未だ夢の中でしか咲かない

残り少ない 去年の栄華が
寒空の下 かさりと寝返りを打つ

撫でる者待ちて揺れゐる猫柳

(2023-02-26)

てぃくる 987 減らないなあ

てぃくる 987 減らないなあ

「もう正月はとっくに過ぎてるよなあ」
「いつの話をしている。もうすぐ三月だぞ」

「いや、俺たち減らないなあと思ってさ」
「己を安売りしないだけだ」

「でも今はともかく、これからどんどん見た目がぼんぼろりんになっていくよなあ。男前のうちに嫁に行きたいじゃん」
「男が嫁に行ってどうする!」

「まあた、そんな前時代的な価値観に凝り固まってー。だから食ってもらえないんだよー」
「食ってもらえんのはお

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てぃくる 986 なんだ、君は!

てぃくる 986 なんだ、君は!

「いきなり出てきたらびっくりするではないか!」
「去年の秋からずっといるよ」

「気味が悪いからさっさと退去してくれ!」
「そうはいかない。出番はこれからなんだ」

「徒党を組んで、人を脅そうっていうのか!」
「驚いてるのはあんただけだよ。俺らは静かなもんだ」

「なんだ! グロいのは見かけだけか!」
「ふふふ。少しずつでかくなるから、もっとグロくなるぜ」

「こいつ……でも、こけおどしに過ぎんの

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