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[理系による「映画」考察] 陽のあたる場所(1951) ➡ストーリー自体は悪だが、演出に宗教的な要素を絡ませているので、結果、感情がうまく処理できず、なんとも後味が悪い…

なんとも後味が悪い映画で、これほど後味の悪い映画はデヴィッド・フィンチャーの"セブン"以来でした。

が、"セブン"もそうでしたが、後味が悪い分、印象に強く残ってしまい、一生忘れることができなくなりそうな映画です。

ざっくりした流れは、下記となります。
1. 社内恋愛は禁止であることを事前に認識しているはずなのに、平然とそのルールを破り、妊娠させる。
2. 出世と、身分の高い・より美しい女性との結婚のため、妊娠した女性が邪魔になる。
3. その女性を殺そうとするも、事故か他殺か分からない状況となる。
4. 結局、自己破滅。

まとめてしまうと、主人公のお前が全部悪いんじゃん!、の身も蓋もない話になるのですが、演出が非常にうまいです。

具体的に、演出の1つの要素は"キリスト教"です。

というのは、教会で積極的に奉仕する母が演出上何故出てくるんだろう?と不思議でした。さらに、意味不明なのは、殺人を犯したかもしれない男性を愛し続けることのできるヒロインです(実際にそんな女性は存在しない)。

しかしこの2つの疑問を"キリスト教"から捉えると合点がいきました。

まず、愛を継続して惜しまないヒロインは、"マリア"と捉えると合点がいったような気分になり(日本人なので本質的には分かりませんが)、いきなり"マリア"を出すと演出的におかしいので、母で"キリスト教"の前フリをしていたのか、と思うと、納得できました。

また、自身がとても感心した、事故か他殺かが分かる瞬間の演出ですが、それも神父からの問いかけから分かるようになっており、その辺も"キリスト教"の前フリが合った方が、がぜん良いです。

と、ストーリー自体は悪ですが、演出に宗教的な要素を絡ませているので、結果、感情がうまく処理できず、なんとも後味が悪い…

そういえば、"セブン"も、上記と同様に
"ストーリー自体は悪だが、演出に宗教的な要素を絡ませているので、結果、感情がうまく処理できず、なんとも後味が悪い…”、
と文字に起こすと、全く同じや!!!、と気づけた映画でした~。




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