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読書日記・それが正解であるかのように

11月27日(月)

今週からもう12月だよ、と子どもたちに朝から教えられ「え?ほんとだ!もう年末じゃん!!」とビックリしたのに、この日の夜「今週から12月だね」と夫に言われて「え??ほんとだ!もう年末じゃん!!」と同じことを口にした。人の話をサラリとしか聞いていないので、私にはいつでも新鮮な驚きが訪れる。

11月28日(火)

『沈黙の果て』の上巻を読み終わる。この人なんかあやしくない??? と思っていた人物が逮捕された。やっぱり!!と思いながら下巻を読み始めたら、思っていたのとはどんどん違う方向へ話が進みだしたので、私は事件を大きく間違えているのかもしれない、と思い直す。いい意味で、作者に振り回される読者。ミステリー小説は、だまされたり振り回されるのが醍醐味。

11月29日(水)

『沈黙の果て』は面白いんだけど、空気がずっと重いので息苦しくなるときがある。ちょっと息抜きに別の本でも読もう!と、手に取ったのは岸政彦さんの『にがにが日記』

本当は家にこもって猫を撫でていたい。贅沢は言わないから、猫を撫でて年収500万円にぐらいになる仕事はないだろうか。だが、一日中猫を撫で続けることは猫にとっても大きな苦痛なので、一日にだいたい合計して30分ぐらいしか撫でられない。さすがにそんなに短い労働時間で月30万くれとは言いづらい。

『にがにが日記』より引用

この部分を読んで、「わかる!!猫を撫でるだけで年収500万円とか欲しい!!」と共感しようとして、いや待てよ? 岸さんは1日に合計してだいたい30分ぐらい猫を撫でているとのこと。え????30分も撫でられるの???天国じゃん!!! と思うぐらい、私は犬と触れ合えない。私が犬を撫でても怒られないのは1日に1分もない。いいなぁ岸さん、うらやましい。

11月30日(木)

11月も終わり。なんだかんだと今年もよくがんばったよ!と、一人で2023年に幕をおろそうとして気づいた。まだ12月が残ってる。気分は2024年だった。はやい。

『モヤ対談』を読み、ヨシタケシンスケさんの言葉が心に残る。

未来を予測する────つまり、統計学的に未来はひどくなるというようなデータを正しく子どもに伝える本を描いてほしいという依頼があって。でもそれはなんか違うだろう、という思いがありました。あくまで統計上の話であって、実際の未来がそうなるとは限らない。
 悪いことだけ伝えて、覚悟しておけと言う側は「教えてやった感」で気持ちいいでしょうが、受け取る側のことを考えていない。予測は外れるものだし、社会がよくなる可能性も同時に伝えないと嘘になると思ったんです。それに、社会が不幸になるということと個人が不幸になるというのは別の現象ですし。

『モヤ対談』より引用

「悪いことだけ伝えて、覚悟しておけ」と言う側に私はいる!!と気づき、この「教えてやった感」って本当に気持ちが良いんだよね!!と痛感した。

ヨシタケシンスケさんの言うとおり、「社会が不幸になることと個人が不幸になるのは別の現象」なんだから、悪いことだけを指摘して、それがさも正解かのように口にするのは浅はかさだよね。反省。

こういった対談本を読むと、狭い視野でしか物事を見つめていない自分がむき出しにされるので、私はとても面白いと思っている。本を読んで自分に嫌気がさすことのほうが多いので、落ち込むことも多いんだけど、でも本を読んで気づきを得るほうが素直に心にひびく。誰かに心の狭さを直接指摘されたら、素直に受け取るどころか反発したくなるし、反省する気持ちも薄れてしまう。だから本を読んで自戒できることに、私はまだ救われている。はず。


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