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戦争にチャンスを与えよ(著:エドワード・ルトワック)【ワレワレハ読書紹介ニテnote作家諸勢力トノ戦闘状態ニ入レリ】

どうも左派系の方が多そうなnote作家人の中で、これを読書紹介したら阿鼻叫喚の悲鳴が響き渡るだろうな、と思うので・・・
やはりやってみたいと思います。
もはや宣戦布告。

というか弁明させていただければ、論の立て方においては、まず極論を立てて、挑戦者を募らないと言論バトルが始まってくれません。
知識人の名を高めるためには、言論デスバトルに参戦して「あのモノノフはいずこの武士ぞ」などと言われなければならないのです。
ひっきょう、知識人として功名を建てる大望を持つものはこういう狂気じみた論をやらんとあかんのです。
日本の知識人の方々も、ここであえて名を出しませんが、左右老若男女問わず、それぞれ物議をかもす本とか出して、有名になってきた道があるわけなのです。

では本論に入りますが、戦争にはデメリットばかりが多いものの、ではメリットは少しでもあるのか?というと、あることもないではないというのが本書の結論になります。
科学技術の進展? ノンノン。

それは、白黒決着つけることにあります。
つまり勝ち負けが明白につくことによって、そのあとはその問題で同じような戦争が起こらなくなる、というのが戦争のメリットになります。

では朝鮮半島とかイスラエルとかどうなんだ?と言われると思うのですが、

そうです。核が存在するようになってから、戦争のこの機能はダメになりました。
核の脅威によって超大国といえども及び腰になり、中途半端に終わることになったのです。おかげでその時点での戦死者は少なくなりましたが、
その代わりいつまでたっても終わりが見えず、延々と続きます。

ルトワックは作中で、仮にの話として、

もし日本とアメリカが1944年ごろにお互いに核保有をしてしまったり、あるいは途中で平和維持軍みたいなのが宇宙から降りてきてムリヤリ停戦させられたら、という架空例を出してます。

その場合、1944年の時点で戦線は凍結されます。
フィリピンや中国はふたつの勢力に分断され、いまだにしばしば戦いが起こります。
統一国家などは良くも悪くも当然ながら作れません。
マラッカ海峡は通行できないので、西回り航路は使用できません。
現在のような東アジア諸国の経済成長も起こりません。
日本は冷戦時代のソ連のような痩せたオオカミのままでしょう。
いつまでたっても貧乏な戦時生活です。
アイドルもマンガもアニメもゲームもあるわけないです。
決着がつかなかったせいで、何十年も対立が続き、本来ならもたらされるはずの平和とか経済成長などは、どこかに消えてしまいます。

もちろん決着がついた世界では日本は焼け野原になってしまいますが、その結果として日本人も敗北を受け入れ、おとなしくアメリカの軍門に下りました。
そして戦後には安定した平和と爆発的な経済成長がやってきたのです。

果たしてどちらが幸福なのでしょうか?

ルトワックは架空の例ではなく、実際に起こった方の例として、ボスニアの例もあげています。

ボスニアでは、厳密な意味での戦争は終わっていません。
ボスニアヘルツェゴビナは、今日において欧州でもっとも経済成長が遅れた国です。
なぜならば、この国は平和維持軍によって強制的に停戦させられた二つの国、セルビア人共和国とボスニア連邦との、合同国家なのです。
敵国同士が決着をつけることなく合同させられてるのですから無理があります。
ひとつの国家という体裁ではありますが、実質的にこの二つの国は次の戦争の準備をしているだけです。
何も終わってはいません。
敵対状態だからこそボスニアでは何も政策として決められないし、平和も経済成長も起こりません。
永遠に引き延ばされた敵対関係があるだけです。
まだセルビア人共和国の方では多少は街がキレイだという点があるそうですが、ボスニアの方は将来が不安定だからか、街の整備とか何もありません。
合同国家全体を通して投資案件ひとつなく極度に貧しいままです。
多くの住人は他の欧州に出稼ぎに出て、その稼ぎを家族に仕送りして生活しています。
めぼしい産業も当然ながらありません。

ルトワックは特に平和維持軍の逆効果性を強調します。
平和維持軍が派遣されるせいで、戦争がかえって長期化して住民を苦しめている。
国連は基本的に何も解決せず、せめて片方の側にエコひいきして決着をつけるとかならまだしも、両陣営を平等にあつかい、つまり問題を先送りにするだけなので、いつまでたっても戦争が長期化されるだけで、平和も経済成長も何もない状態におかれると。
これはムゴい。

もし白黒決着つけてしまえば、敗者側はその時点では悲惨かもしれませんが、すぐに復興が始まり、あきらめるべきものはあきらめて戦後の再建が始まる。
ところが中断されるだけなので、それすら起こらないと。

(ただこれは平和維持軍のせいというより、核兵器によって重みがされた世界になったから、という影響の方も大きいかと思われます)

ルトワックは、イラク戦争やアフガン戦争においても、米国を厳しく批判します。
侵攻するなら100年でも200年でもその土地に居座って過激派だろうが山賊だろうが断固として討伐を続け、平和が完全に回復するまで統治するべきだと。
アメリカが実際にやったのは、独裁国家なりになんとか安定してた両国をぶち壊し、収拾がつかなくなった時点で無責任にもほったらかしたことでした。

古代の征服王たちの方が、基本的に領土として併合するために攻めてくるので、まだマシだったのでしょう。後片付けをちゃんとやらないと帝国領に編入できないわけですし。

とまあ、こんな感じで挑戦的な論を立てている本です。
議論という名の戦いに熱量を感じてしまう人は、一読してみるのはいかがでしょうか?

私自身の感想は?と言われれば、まあケースバイケースだな。と思います。
結局はそれかい!という感じで恐縮です。

などというところで本文を閉めたいと思います。
先制攻撃即離脱!

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