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ミステリーズ運命のリスボン(2012年)【僕の名は映画感想。父と母を知らぬため神父様がそう名付けたのだ。とても個性的な名前だなと思いました】

前後半で4時間半に及ばんとするロングラン映画。
たまにこういうそれ自体がロングランな映画がある。

19世紀前半のポルトガル、フランスを主舞台にして、
愛を求めたがゆえに、苦しい人生を送る人々を3世代に渡って描いている作品である。

要するに不幸な恋愛をして、幸福にはなれず、ずっと苦しみ続けるという、
大雑把にいうとそういう話である。
カテゴリとしては失恋ものだろうか?

まず主人公の少年は孤児である。
親を知らない。名前しかない。
しかし熱病で苦しんだとき、謎の女性の来訪を受ける。
結局、その人があとで母親と分かる。

しかし母の結婚相手は父ではない。
母は未婚のまま自分を生み、
いたしかたなく今の結婚相手と結ばれたのだ。

まずは主人公が、自らの境遇を知るところから始まる。
そこから、母と父(我が子が生まれる前に死んでしまった父)の話が語られる。
語られると言うように、この映画では、物語の大部分が伝聞形式で描かれる。といっても映画なのでその場面のシーンがある。
母と父の話は、実質的に少年の親代わりである孤児院のディオス神父によって語られる。

そしてディオス神父が若いころ、
無頼者をやっていたころに知り合った暗殺者。
彼が、母の父(つまり祖父)の公爵の指示で、
娘についた虫を始末するように命じられたのだった。
しかしディオス神父は、金で息子の方を引き取る。
それが少年となる。

さらにその暗殺者がブラジルで成功して、
金持ちになって社交界にやってくるシーン。

母の結婚相手が死んでしまい、その際になぜ結婚したのかといういきさつを語るシーン。

さらにディオス神父の出生の秘密までも語られる(こちらはロココ時代の話)
ディオス神父もまた、とある貴族紳士と、別の貴族夫人との間にできた不義の子どもだったのだ。ただその男女は不幸な結果となり、ディオスは別の貴族の家に預けられる。
そして若きディオス神父は、同じ家で育った乳兄弟と一緒にナポレオン軍に従軍する。
そして同じ女性を好きになる。
だがその女性は兄弟のどちらでもなく、とある紳士に恋をしていた。
若きディオスは嫉妬するが、弟はもっと嫉妬した。
結局、弟がその女性と結婚するが、その家庭に愛はなく、不幸な結末になる。
その女性が産んだ二人の子どものうち、女の子の方は、後にフランスで名家の夫人となり、悪名高い存在になる。

例のブラジルで成り上がった暗殺者の男に対して、復讐心を燃やす彼女は、成長した主人公の少年(もう話がわからなくなってきた)が自分に思いを募らせるのを利用して、成金に復讐させようとたくらむ。

・・・・とまあ、どうも古典名作にありがちな、
複雑な話である。
感想を観ると、
貴族同士がすれ違うような複雑な関係を描いた作品、雰囲気が出ていた。
とか書いているけど、
人生の苦悩を、複雑な関係性を描写することで、描き出そうとした作品。

・・・・ではない!!!!

この映画、タイトルにミステリーズとついているのだ。

以降はネタバレかもしれない考察していくので、見たくない人はお引上げください。























以降は私が勝手に考察しているだけだが、
これは叙述トリックの映画なんである。

作中のシーンは、語られたものである。
だから語られたシーンが、映像としてはそう描いてあるのだが、
実際に事実なのかどうかは分からない。
いわば信用できない語り手なのである。
主人公はあくまで孤児だった少年であり、しいて言えば、作中で絶対確実と言えるのは、彼の視点のみである。
例えばディオス神父が八面六臂しているが、
この人の語りは正しいかどうかわからない。

よく考えると、ディオス神父の出生の秘密、
って本筋とまったく関係のない話なんである。
さらにディオス神父が少年を救ったのかも、明確に描いていない。
神父だから? いやその頃のディオスはただの無頼者だったのだ。
さらに、ディオスがもっと若かったころ。
乳兄弟と一人の女性を巡って争ったことも、本筋と関わらない。
確かにその娘が重要人物として再登場してくるのだが、
それだけ? 単にそこで関わって来るだけ????

そんなわけないだろう!!!!

これはミステリなんである。
そして答えをきちんと描いてない。
解答しないまま終わるタイプのミステリ。
後は勝手に考察してくださいタイプの話なんだよ。

これは私が勝手に考察してるだけなんだが、
少年の父親はディオス神父だろう。
それ以外に考えられない!
ディオスが愛していた人は、男女の双子を産んだのだ。
そして男の子の方は、成金に返り討ちにあって死んだそうだが。
この男の子がほぼ出てこない。
そしてこのお話では、もうひとり父親のいない男の子が出てくる。
そうだ、主人公だ。
もうお分かりだろう。

もちろん回答してないミステリである本作に、答え合わせはない。
ポルトガル語やフランス語で調べれば、この映画の考察も出てくるだろうけど、日本語ではまったくない。
だからもちろん、そうであるとは断言できない。
私が勝手にそう思っているだけなんである。

ああ、ネタバレしちゃった。
いや、ネタバレなのかどうか、不明だけど。
繰り返すが私の勝手な考察にすぎない。
あなたはどう推理するだろうか?

うーん、私の迷推理はワトソン級ですね。
本命の噛ませ犬にちょうどいい。
請う、名探偵登場!

あと、ロココ、ナポレオン時代、ルイフィリップ王の時代と、
3つの時代が出てくるので時代考証においても楽しめる。
ただ長い。耐えるんだみんな。眠くなりそう。
ただ欧州19世紀がスキだからしょうがない。

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