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『Go!Go!チアーズ』 ミイラ取りがミイラになる<★3.8/5、2022年10本目>

<映画情報>
『Go!Go!チアーズ』 "But I'm a Cheerleader" 1999年
監督: ジェイミー・バビット

<1文内容紹介>
自覚がないまま同性愛矯正施設に送られたメーガンは、自分のセクシュアリティを自覚する

<ネタバレ感想>


これも日本では劇場未公開の作品。

メーガンはチアリーディング部に所属する女子高生、キスが下手な彼氏もいて順風満帆な生活を送っていた…と思っていたのは彼女だけで、周りはメーガンがレズビアンなのではないかと疑っていた。

決定的な証拠がないままメーガンは同性愛「矯正」施設に送られてしまう。そこには各地から子供たちが集まっており、メーガンは生活を通じて同性愛者としての自覚を持つようになる。

この施設の描写が面白かった。女子部屋は真っピンク。「セラピー」の一環として、典型的な性的分業に極端に忠実な生活を送らされる。

だが結局施設の誰も自分を偽ることはできない。施設が極端にポップに描かれているのに対して、皆が抜け出していくゲイバーが現実的な描写になっているのが良いコントラストを成していた。

「自分に正直に」というのは簡単だけれども、親や周りの期待を背負ってしまい、本当にあるがままに生きるのは難しい。

セラピーの最初の一歩として参加者は「同性愛者である」と宣言させられる。自分のアイデンティティに自覚的になることは、他のアイデンティティを被せる端緒となると同時に、本来のそれを保つきっかけにもなっている。

全体を通してコメディタッチで、シリアスになりすぎず観ることができる映画だった。

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