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永遠の命が似合う漢

昔、歯医者で長時間の治療を受けていた最中、歯医者さんとこんな雑談をした。


「センセイ、永遠の命が手に入るとしたら欲しいですか?」

センセイ
「欲しいです。未来が知りたいですから」

センセイのこの返答にはびっくりした。医療の現場に立つ仕事のひとだから、生命倫理や生命の冒涜みたいなのを考えて「限りある生命を大切に」とか言うと思い込んでいた。それにしても「未来が知りたい」というのはとても率直な欲望だと思う。
私は、生きる苦しみが延々と続きそうだから永遠の命なんてまっぴらだと思ってたけど、考えてみれば自分ひとりだけ永遠に生きるのでなく、人類全員が永遠の命を手に入れたら話は変わってくる。

まず仕事をしなくてもよくなる、食べることもしなくてよくなる、老いによる衰えも心配しなくて済む。
他にもメリットはありそうだが、私が日々悩んでることの大半は「永遠の命」があれば解消されるのでは?と気付いて、(永遠の命、悪くないじゃん…)と思い始めている。

ただ、もし人類全員が永遠の命を手に入れたら世の中さらにおかしくなるだろうな、とは思う。
木城ゆきとさんのSF漫画『銃夢 〜last order〜』という作品で、長寿医療技術の発達で寿命がなくなった人類が登場する。

実弾を使った戦争ゲームを楽しんだり、子供を産むと人口が増えすぎるせいで罪に問われて子供を食用にしたり戦争ゲームに出したりする、というエピソードがあった。長生きをするとそれだけ人間の業も深くなるのである。

だがしかし、寿命が短かったら短かいで問題はある。人生が短すぎると、「どうせ死ぬんだ!」というやけっぱちに似た人生観ができる。それによって戦争やドラッグ中毒が生まれたといっても過言ではなかろう。皮肉にも、戦争のおかげで科学技術が発達したし、ドラッグのおかげで素晴らしいロックンロールや映画が生まれたのだけど。

いま一度「永遠の命、欲しいですか?」と問われたら、私は世の中の流れに任せるしかないと思う。みんなが欲しがったら私も欲しがる、という、ちっせぇ決断力なのだ。
そう考えると、永遠の命第1号に立候補できる人はすげぇな。その人はたぶん、お金も欲もたっぷりある人だろうなぁ…。羨ましい。

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