弁護士 藤原尚季

●弁護士(72期・第二東京弁護士会) ●東証プライム市場上場企業のインハウスロイヤー⇒…

弁護士 藤原尚季

●弁護士(72期・第二東京弁護士会) ●東証プライム市場上場企業のインハウスロイヤー⇒都内の企業法務系法律事務所 ●情報公開・個人情報保護委員会に所属 ●エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク正会員

記事一覧

固定された記事

フリーランス新法に関する覚書

1.はじめに 下請法が規制を及ぼす4類型以外の取引を行うフリーランスと資本金1000万円以下の事業者と取引を行うフリーランスについては下請法のような法整備がなされて…

1

クリプトキャッチ!釣り★スタ

私は暗号資産のSUIにも投資しているのですが、SUIとGREEとが提携して、「クリプトキャッチ!釣り★スタ」というゲームを開発しているようです。 タイトル的にplay to earn…

1

【日記】ブロックチェーン公開講座を受講してみた①

1.ブロックチェーン公開講座の参加の経緯等こんにちは。今回は日記のようなものです。 私、藤原は4月9日より東京大学で開講されているブロックチェーン公開講座に参加…

2

ガチャと賭博罪について

1.はじめに多くのスマホのアプリゲーム等においてゲーム内アイテムを獲得する手法としてガチャが採用されているが、ガチャについてはしばしば賭博罪(刑法185条)等の成…

システム開発におけるバグに関する裁判例

東京地判平成9年2月18日判タ964号172頁「コンピューターソフトのプログラムにはバグが存在することがありうるものであるから、コンピューターシステムの構築後検…

1

商標の類否判断に関する覚書

1.商標の類否判断を行う場面 商標の類否判断は①商標出願時及び②商標権侵害を理由に差止請求や損害賠償請求等を行う場面で行われ、商標登録の可否や商標権侵害の成否に…

弁護士藤原尚季の自己紹介

 簡単に自己紹介します。 名前 藤原尚季(フジワラナオキ)です。 職業 都内の法律事務所に勤務する弁護士です。 経歴 兵庫県出身です。  2018年に関西のロースク…

5

【司法修習】事実認定起案の型【刑裁起案】

 私が司法修習生だった頃(72期)、刑裁起案でA評価をとり,事実認定起案に関し,教官からも「おおむねできています。」との評価をいただきました。  さらに,教官や…

500
1

【司法修習】民裁起案の型

 以下でお示しする民裁起案の型は、私が司法修習生(72期)だった頃、講評後に起案を書き直し、教官にみてもらってOKをもらったものなので、参考になるかと思います。…

500
2

洗練された見た目の契約書を作成するために

 契約書審査をしていると、誤字や変換ミス等、形式的に洗練されていない契約書に出くわすことがある。  契約書の内容がきちんと対象の取引に即したものとなっていること…

100
1

外部送信規律に関する覚書

1.外部送信規律導入の経緯 令和4年6月13日、電通法の一部を改正する法律が可決・成立し、同月17日に公布された。令和5年1月16日には、電通法施行規則等の一部を改正す…

1

《新規事業の成功の鍵》新規事業に適用されるレギュレーションの調査方法

 新規事業を立ち上げる際には、その事業が適用される可能性のある法規制やガイドラインを十分に理解し、遵守することが非常に重要です。  適切なコンプライアンスは、事…

2

義務内容から整理する電気通信事業法

はじめに 今日、事業者の大半が自身のビジネスにIT技術を活用しており、登録・届出やいわゆるCookie規制等、電気通信事業法(「電通法」)の規制が適用されるか否かを…

100
1
フリーランス新法に関する覚書

フリーランス新法に関する覚書

1.はじめに 下請法が規制を及ぼす4類型以外の取引を行うフリーランスと資本金1000万円以下の事業者と取引を行うフリーランスについては下請法のような法整備がなされておらず、法的保護が薄くなっていた。

 そのため、フリーランスと事業者との間で、業務内容に関する認識の齟齬、報酬不払いや報酬の支払遅延等、様々な取引上のトラブルがしばしば発生し、フリーランスが不利な立場に置かれることが多いにもかかわらず

もっとみる
クリプトキャッチ!釣り★スタ

クリプトキャッチ!釣り★スタ

私は暗号資産のSUIにも投資しているのですが、SUIとGREEとが提携して、「クリプトキャッチ!釣り★スタ」というゲームを開発しているようです。

タイトル的にplay to earnでしょうか。

情報はこれから続々と出てくるかと思いますが、現時点で出ている情報としては以下のとおりです。

無課金でプレイできるようです。ただ、釣り竿はNFTとの情報も出ているのですが、釣り竿も無償でもらえるのでし

もっとみる
【日記】ブロックチェーン公開講座を受講してみた①

【日記】ブロックチェーン公開講座を受講してみた①

1.ブロックチェーン公開講座の参加の経緯等こんにちは。今回は日記のようなものです。

私、藤原は4月9日より東京大学で開講されているブロックチェーン公開講座に参加させていただいております。

Web3に関心を持ち、更には身銭を切ってクリプトに投資してみたり、Defiのサービスを利用してみたり、色々勉強したり体験したりしているものの、それらを支える技術であるブロックチェーンについてぼんやりとしか分か

もっとみる
ガチャと賭博罪について

ガチャと賭博罪について

1.はじめに多くのスマホのアプリゲーム等においてゲーム内アイテムを獲得する手法としてガチャが採用されているが、ガチャについてはしばしば賭博罪(刑法185条)等の成否が議論されるため、本稿では、ガチャとの関係で賭博罪の解釈について整理する。

2.賭博罪の構成要件賭博罪は「賭博をした者」に成立する罪であるが、「賭博」とは、
①偶然の勝敗により
②財物又は財産上の利益の
③得喪を争う行為であって、

もっとみる
システム開発におけるバグに関する裁判例

システム開発におけるバグに関する裁判例

東京地判平成9年2月18日判タ964号172頁「コンピューターソフトのプログラムにはバグが存在することがありうるものであるから、コンピューターシステムの構築後検収を終え、本稼働態勢となった後に、プログラムにいわゆるバグがあることが発見された場合においても、プログラム納入者が不具合発生の指摘を受けた後、遅滞なく補修を終え、又はユーザーと協議の上相当と認める代替措置を講じたときは、右バグの存在をもって

もっとみる
商標の類否判断に関する覚書

商標の類否判断に関する覚書

1.商標の類否判断を行う場面 商標の類否判断は①商標出願時及び②商標権侵害を理由に差止請求や損害賠償請求等を行う場面で行われ、商標登録の可否や商標権侵害の成否に影響を与える。

2.判断基準(1) 商標の類否

 商標の類否判断は、対比される2つの商標が同一又は類似の商品・サービスに使用された場合に、商品・サービスの出所について誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって判断される。

 そして、出

もっとみる
弁護士藤原尚季の自己紹介

弁護士藤原尚季の自己紹介

 簡単に自己紹介します。

名前 藤原尚季(フジワラナオキ)です。

職業 都内の法律事務所に勤務する弁護士です。

経歴 兵庫県出身です。

 2018年に関西のロースクールを卒業し、その年に司法試験に合格しました。

 そして、1年間の司法修習(72期)を経て、2020年1月より都内の事業会社にてインハウスロイヤー(企業内弁護士)としての勤務を開始しました。
 その後、2021年3月に一専門家

もっとみる
【司法修習】事実認定起案の型【刑裁起案】

【司法修習】事実認定起案の型【刑裁起案】

 私が司法修習生だった頃(72期)、刑裁起案でA評価をとり,事実認定起案に関し,教官からも「おおむねできています。」との評価をいただきました。

 さらに,教官や裁判官の講評や他のA評価起案から多くを学ばせていただきました。

 以下では,私が実際に起案で依拠していた,実務修習中,裁判官から教わった事実認定起案の型を紹介させていただきたいと思います。

第1 結論争点に対する結論を簡潔に示す。

もっとみる
【司法修習】民裁起案の型

【司法修習】民裁起案の型

 以下でお示しする民裁起案の型は、私が司法修習生(72期)だった頃、講評後に起案を書き直し、教官にみてもらってOKをもらったものなので、参考になるかと思います。

 ただし、起案の型も不変のものではなく、「このように書くべし」という起案のスタイルは変動する可能性はありますし、問題によっては下記の型を選択することが適当でないこともあり得ることをご了承ください。

 

主張整理に関する設問第1 小問

もっとみる
洗練された見た目の契約書を作成するために

洗練された見た目の契約書を作成するために

 契約書審査をしていると、誤字や変換ミス等、形式的に洗練されていない契約書に出くわすことがある。

 契約書の内容がきちんと対象の取引に即したものとなっていることが重要であることは言うまでもないが、筆者は契約書が形式的にきちんとしたものになっていることも同様に重要であると考えている。

 形式的にきちんとしていないと、その契約書を見た取引先に「この契約書はきちんと内容が練られていないのではないか?

もっとみる
外部送信規律に関する覚書

外部送信規律に関する覚書


1.外部送信規律導入の経緯 令和4年6月13日、電通法の一部を改正する法律が可決・成立し、同月17日に公布された。令和5年1月16日には、電通法施行規則等の一部を改正する省令が公布された。
 そして、改正電通法等は令和5年6月16日に施行された。
 この改正により新たに外部送信規律が導入された(電通法27条の12)。外部送信規律はCookie規制と称されることが多いが、規制対象はCookieの場

もっとみる
《新規事業の成功の鍵》新規事業に適用されるレギュレーションの調査方法

《新規事業の成功の鍵》新規事業に適用されるレギュレーションの調査方法

 新規事業を立ち上げる際には、その事業が適用される可能性のある法規制やガイドラインを十分に理解し、遵守することが非常に重要です。
 適切なコンプライアンスは、事業の成功だけでなく、法的リスクや罰則を回避するためにも不可欠です。
 本稿では、新規事業に適用される可能性のあるレギュレーションを特定し、その適用の有無を判断するための具体的な方法を紹介します。

1.適用可能性のあるレギュレーションの特定

もっとみる
義務内容から整理する電気通信事業法

義務内容から整理する電気通信事業法


はじめに 今日、事業者の大半が自身のビジネスにIT技術を活用しており、登録・届出やいわゆるCookie規制等、電気通信事業法(「電通法」)の規制が適用されるか否かを検討する必要があります。
 この点、電通法には、一定の事業者について主に次のような様々な義務が設けられています。

①登録(電通法9条)

②届出(電通法16条1項)

③通信の秘密(電通法3条)、検閲の禁止(電通法4条)、外部送信規

もっとみる