向田奈保

介護、福祉、医療界隈の物書き+ヘルプマン。 1983年埼玉生まれ、香川在住。高齢者住宅…

向田奈保

介護、福祉、医療界隈の物書き+ヘルプマン。 1983年埼玉生まれ、香川在住。高齢者住宅新聞社記者を経てフリー。 コミュニティ、まちづくり、場のチカラ、建築、空間、風景。旅と南米。organic。

マガジン

  • 新米ヘルプマン!

    福祉・介護関連の取材を10年以上→やっと現場へ。 夫(49)は15年以上の介護福祉士、私(39)、超新米ヘルプマン! ケア×人類学×建築(場のチカラ)で、本書きたい。

  • 「余白」を考えるための「余白」。

    「余白」って大切だよね。その理由を言語化してみたい。タネとなりそうな雑記帳。

最近の記事

「介護3.0」をダンスフロアへ ー”いいね”で終わらないための方法論ー

 介護3.0を提唱する横木淳平さんを講師に、香川県三豊市で定期的に行われてきた暮らしのライフセーバー講座。 (暮らしのライフセーバー講座、介護3.0の具体的内容については上記の記事を読んでいただけたらと思います。) 介護3.0が”インフラ”になって欲しい  2024年度も継続が決まっています。講座のパワーアップへ向けて、横木さんや講座のファシリテーターを勤めてきた金児大地さんたちが1月下旬、三豊へフィールドワークに訪れました。ちょこっと同行させてもらうつもりでしたが、隙

    • ダイアログ・イン・サイレンスー「身体をつかう」を思いだす

       忘れられない体験・DID  東京・竹芝にある「対話の森―DIALOG DIVERCITY MUSEUM」。2年前に私はここで“ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)を体験しました。光ゼロの真っ暗闇の空間で、視覚障害のあるアテンドのもと、数人でさまざまなワークや体感をしていくというもの。 これが本当にいろんな気づきがあった忘れられない時間で…。  IN THE DARKだけでなく、音のない空間での体験・IN SILENCEもあると知りました。今回、上京するタイミングで体験

      • 豊島(てしま)―ARTの島、ではない面に触れて。

        編集者・藤本智士さんと。  香川県・豊島(てしま)と聞いたら、ほとんどの人が「瀬戸芸の…アートの島」という回答をすると思います。私ももちろんそのひとり。瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)に合わせ、これまで二度、訪問したことがありました。   さて、とても尊敬している編集者・藤本智士さんが「豊島に行く」と仰ったのが12月下旬のこと。   藤本さんはnoteで「ごみ」について次のように言及しています。  「ごみ」と「編集」の相対性についても…  このnoteを追っていくと…

        • ともに、ということ。【1】

           私はこれまで何度も、横木淳平さんが提唱する“介護3.0”を熱を込めて語ってきました。  2023年、幸運だったと感じるのは、私が暮らす香川県で、三豊市と「瀬戸内暮らしの大学」が連携し、横木さんが講師を務める“くらしのライフセーバー講座”が開催されてきたこと。  “横木マインド”に触れる機会が定期的にあったことは、1月から介護現場で新米介護士として仕事を始めた私にとって、講座を受けるたびマインドセットされたし介護にまつわることを熟考するとてもいい機会になっていたので。  一

        「介護3.0」をダンスフロアへ ー”いいね”で終わらないための方法論ー

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        • 新米ヘルプマン!
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        • 「余白」を考えるための「余白」。
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        記事

          だから『介護3.0』でいこう。

          確信  高齢者施設で介護の仕事を始めて早10か月が経った。最初はすべてにドギマギしていたけれど、オムツ交換、食事介助、入浴介助など、一通りのことはだいぶできるようになったと思う。一方で、渦巻く思いが常にある。  縦型導線の施設で、入居者さんたちが寛げるスペースがほとんどない。さらにスタッフが「徘徊」「尿汚染」「慰問」など、カタい名詞ばかりで状況を表現することが多い場では、お年寄りはHappyになれないのでは?と感じてきた。いろんな経験を積み、長年生きてきた人たちの最期の生

          だから『介護3.0』でいこう。

          「介護3.0」でいこう ②

          6月17日、暮らしのライフセーバー講座の2回目が行われました。 前回の記事はこちら。  今回2回目は… 前回、大雨の影響で横木さんは直接香川に来られずオンラインでしたが、この日はリアル。響いてくるものがさらに濃くなるというか。 介護技術の実践もあってすごく充実した時間でした。 介護を暮らしに返す     さて、横木さんがこの日最初に話したことが「介護を暮らしに返す」。  どういうことかというと…  と横木さん。  たしかに!!!!!    かつては家族が介護を担って

          「介護3.0」でいこう ②

          「介護3.0」でいこう。

          暮らしのライフセーバー  香川県三豊市。今や「日本のウユニ塩湖」として超有名になった父母ヶ浜のある町です。  それだけじゃない。  ユニークな人たちも集まって来て、最近何やら、ワクワクすることがたくさん行われているもよう。  「瀬戸内暮らしの大学」も。  今回綴る「暮らしのライフセーバー講座2023」は大学講座のひとつ。  地域で暮らす一人ひとりの「視点」や「小さな行動」が地域の共助の仕組みとして根付いていくことをめざしている、といいます。  暮らしのライフセーバーの目

          「介護3.0」でいこう。

          しょうぶ学園を訪ねて(下)

          しょうぶ学園訪問記の続きです。(上)は以下に。  いよいよ見学も終盤。あっという間に時間が経過していきました。  木の工房の脇にある小道を通り抜ければ、住宅地へと続く道。   周囲はとても静かです。  私は飯山さんに尋ねます。  「門扉もなく、施設に鍵がかかっているわけでもないですよね。利用者さんが外に出ていってしまったり、いなくなってしまったりなんてことはなかったんですか?」  「昔はありましたけど、今は年に1回あるかないかのレベルです。出ていった利用者さんから連絡が来

          しょうぶ学園を訪ねて(下)

          しょうぶ学園を訪ねて(上)

          ずっと行ってみたかった場所  ものづくりを柱としながら障害者支援事業を行う「しょうぶ学園」を知ったのはもう10年前のこと。偶然、地元の本屋さんで手に取った雑誌『チルチンびと』(2013年11月号)がきっかけでした。”コミュニティ建築”という言葉が目に留まりました。”ケアと建築”に従来から深い関心があった私は迷わず購入。すぐにでも行ってみたい!と思ったものの、未知の鹿児島。「遠い」というイメージもあって実際の訪問に至らないまま。  (福祉界隈の物書きの仕事をしていて“どこか

          しょうぶ学園を訪ねて(上)

          「生きてて良かった!!」を聞きたいんだよ。

          ヘルプマンのつぶやき 勤め先の施設にいる長寿な100歳のIさん。 まだまだお元気で、食事は普通食。排泄もポータブル。大してボケてもいない。 ただ、【安全上】という名のもと、見守りが欠かせなくて常に職員の机のそばに【座らせられている】。 ボーっと、ただ。目の前に雑誌が置かれるくらいだ。←視力もよいのです。 午後「しんどいなぁ…」とつぶやいたのが聞こえた。 「しんどいですか?ベッドに横になりますか?」と尋ねると 「することがなくてしんどい。どこっちゃ行けんし」。

          「生きてて良かった!!」を聞きたいんだよ。

          介護3.0がいい。

          横木淳平さんの提唱する「介護3.0」に圧倒される。私もケアの仕事をしているため、今回はグーンと実感をもって迫ってきた。 以前取材させて頂いたときの記事は↓  「香川で今週末こんなイベントがあります。タイミング合えば是非」と横木さんからメッセージをもらった。  「瀬戸内暮らしの大学 暮らしの保健室」。  福祉のベーシックインフラ事業として、地域に“暮らしのライフセーバー”を広めようと、同大学と三豊市共催で、横木さんの講義が行われることに。 ※瀬戸内暮らしの大学…2022

          介護3.0がいい。

          新米ヘルプマンの気づき:余白と尊重

          3月に入って。 いやぁ、7日間中6日間勤務はキツいです!!! (カレンダーをきちんと見ながら希望休を入れないと、キツいシフトになることに気づいた) 労働時間が6時間とは言え、休憩は30分(正味20分ないくらい)。その前後は家事でけっこうバタバタ動いているもんだから、疲れるってごくごく自然。 腰も痛いよ~! 人が不足しているし、みんな忙しいからって頑張ってしまうのも、そこそこにしないとナ。 自分を大切にすることも(ちゃんと)していかないとナ。 (ストレスが溜まって、家族に

          新米ヘルプマンの気づき:余白と尊重

          新米は「日々、奔走」。

          介護士として、今の施設に勤務を始めて一か月が経過しました。  いやぁ…オムツ交換がスムーズにできた日は気持ちが軽くて、 便まみれのオムツ交換(衣類交換・選択)に何十分もかかってしまった日は気が重くて…。   他の介護士さんの考えもやり方も様々。 そりゃ人によって考え方も異なるから当たり前なんだけども、 それに応じて動かねばならぬ新人はそれがけっこうツラかったりするもので。 マスト、で動き続けている介護士さん。 本人もしんどそうだし、周囲もその姿勢に引っ張られてしまってしんど

          新米は「日々、奔走」。

          福祉施設は、地域に溶けてなきゃダメだ!

          介護士始めて、一か月弱。 挫けそうになった日もあったけど(いわゆる荒ぶるボケや、匂い等に)慣れつつある。腰はイタタな日々だけど、6時間勤務でヘトヘトだけど、ひとつ壁を超えられてホッとしている。 40人近い利用者さんの顔と名前と雰囲気を覚えつつある。 (とはいえまだまだヘナチョコです。移乗もオムツ交換も) が、車椅子を机につけて待ってもらう行為ひとつも、見方を変えればなんだか軟禁行為にも思えてくる。 怖いなぁ。 色んなことが”慣れてしまう”感覚も怖いなぁ。 緊張感があっ

          福祉施設は、地域に溶けてなきゃダメだ!

          “探求する”―問い、を手元に

           西田卓司さんを知る 「やりたいことなんてなくても困らないし、自信もリーダーシップも主体性も不要だし、ただ、自分が溶け出せる『場』があればいい 西田卓司」    これは、友人のnote記事で引用されていた言葉です。読んだ瞬間、ハッとしました。  西田さんて?  すぐさま引用元をクリック。西田卓司さんの言葉に、私は「あっ!」。    「場のチカラって言ってる!!!」    しかもです。  西田さんのblog(読書日記 20代の宿題)を読むと、また驚きが。  私が読んできた本、

          “探求する”―問い、を手元に

          新米ヘルプマン 迷走中。

          腰イタタ 特定施設で新米介護士を始めて14日目が経とうとしています。 利用者さんの顔と名前、覚えつつあるのだけれど、担当フロアが変わるとパニックになって、部屋と名前の一覧表をにらめっこする日々。 食事介助は慣れたのだけども、 体位交換とオムツ交換に四苦八苦してます。 男性は簡単(便が出ていなければ)! 女性でも体重が軽くて拘縮もない人はきちんとできるのだけど、 拘縮があったり、重くてお腹が少し出ていたりする方は… あ~オムツの中心がズレとるやん! ズボンがきちんと上が

          新米ヘルプマン 迷走中。