Vol. 161 ウィル・スミス暴行事件に見る本場アメリカ・ポリコレの本気度

ウィル・スミスがクリス・ロックを殴った。

これはもう飽きるほどニュースになっている。
誰もがその瞬間を見たと思うので詳細は省く。

「奥さんを侮辱され殴ったウィル格好いい!」
「いやいやそれでも暴力はいかんよ」


こんな議論もあちこちで燃え上がり、私は辟易としてしまった。そんなの別にどっちでもいいじゃん。殴った事実は変わらない。どっちが悪いかは(決めたいならば)司法が決めること。なにせ訴訟大国アメリカ、当人が望めば裁判を起こすだろう。現にクリス氏はそれに関し言を濁している。

で、私がこの動画を見た瞬間思ったのはただ1つ

 〝あ〜どっちも黒人で良かったな〟


だった。
不謹慎だがこれに尽きる。

もしウィルが白人でクリスが黒人だったらこれ大変なことになっていただろう。オスカー像剥奪どころの騒ぎではない。暴動が起き家族にも危害が及んだと思う。それほどアメリカにおける人種問題は根深い。

ちなみに「JB press」社の記事によるとアメリカの世論調査では

世論調査では、スミスを支持する人は52.3%、支持しない人は47.7%だが、「スミスからオスカー像を取り返すべきだ」と答えた人は42%になっている。

●ウィル・スミス支持派→52.3%
●ウィル・スミス不支持派→47.7%

だ、そうな。
非常に僅差である。

しかしこれで「どっちもどっちよね〜」と拳を下ろすアメリカ人ではない。今も手を替え品を替えポリコレ合戦が続けられている。

《注:ポリコレとは、「ポリティカル・コレクトネス(political Correctness)」の略称。直訳すると「政治的正しさ」という意味を持ち、特定のグループに対して差別的な意味や誤解を含まぬよう、政治的・社会的に公正で中立的な表現をすることを指す。》


では現在のカードを見てみよう。

【①人種カード】
どっちも黒人だから使えない。ウィルの奥さんも黒人。はい同点。

【②フェミカード】
ウィルの奥さんが唯一の「被害者」なのでウィルに軍配。 

【③ルッキズムカード】
人の容姿をネタに笑いをとるのはいくらコメディアンでもNG…という強カード。
いや、でもクリスって元々そういう芸風だしそんな彼を起用した主催者が一番悪いのでは? という意見もあるがちと弱い。やはりウィルに軍配。


という訳で劣勢が続く中、クリス氏側が新たなるカードをブチ出した。

障害者カード


である。

Newsweekによるとクリス氏、「非言語性学習障害(NVLD)」なんだって!!!

〈空気を読めず、周囲の人から冷たい反応をされることに悩んできた、とロックは語っていた〉

要は
あんなジョークを言ってしまったのも障害のせい。許してよ。え? マイノリティを非難するの? キーッ‼︎   ・・・という事である。

流石はポリコレの本場、アメリカだ。
使えるカードはなんでも使う。
そしてそれに乗っかり〝弱者の味方〟をアピールする輩が大量発生する。

テレビで法律問題のコメンテーターとして活躍するエイミー・ダッシュも29日、ツイッターに「クリス・ロックにとっては、非言語性学習障害の診断を受けていることや、それが対人関係に与える影響について、世間に関心を持ってもらういい機会だ」と投稿した。
プロデューサーのホリー・ソレンセンも28日、こうツイートした。「クリス・ロックは非言語性学習障害を抱えている」「これは神経学的な病気で、人の気持ちを読んだり適切な応対をすることがうまくできない」


さぁ、「フェミ票」「ルッキズム票」で遅れを取ったクリス氏が「障害者票」で巻き返してきた。どっちが勝つか!? 

もはやこれはウィルvs.クリスではない。
アメリカ・ポリコレ文化の戦いなのである。




【猫ムスメより】
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