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展覧会レポ:キヤノンギャラリー S「キヤノンギャラリー50周年企画展 綴プロジェクト作品展<高精細複製品で綴る日本の美>」

【約2,300文字、写真約20枚】
品川にあるキヤノンギャラリー Sで「綴プロジェクト作品展<高精細複製品で綴る日本の美>」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、作品数は少ないものの、品川に来た際は是非寄るべきだと思いました。良かった点は、❶普段はガラス越しでしか見ることができない日本画の名作を間近で見られること、❷キヤノンの素晴らしい高精細複製品の技術や取り組みを知ることができたことです。

展覧会名:キヤノンギャラリー50周年企画展 綴プロジェクト作品展「高精細複製品で綴る日本の美」
場所:キヤノンギャラリー S
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023年10月11日(水)~11月16日(木)
休館日:日曜・祝日休館
住所:東京都港区港南2丁目16−6 キヤノンSタワー 1F
アクセス:品川駅から徒歩約5分
入場料(一般):無料
事前予約:不要
展覧所要時間:約20分
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:すべて撮影可能
URL:https://canon.jp/personal/experience/gallery/archive/tsuzuri-50th-sinagawa


▶︎訪問のきっかけ

キヤノンギャラリーSの入り口

偶然、美術手帖のXの投稿を見た時、普通の展覧会と違う趣を感じました。その後、銀座で用事があったついでに、わざわざ品川まで見に行きました。

曽我蕭白そがしょうはく《雲龍図》:外から見える場所に配置
入り口の外に置かれているボード

銀座のキヤノンギャラリーは公募がメインです。一方、品川のキヤノンギャラリーSは、キヤノンの所蔵作品を中心にした展覧会を開催しています。カメラの会社が、ある程度の費用と編集をしているため見る価値は高いです。

▶︎「キヤノンギャラリー50周年企画展 綴プロジェクト作品展<高精細複製品で綴る日本の美>」感想

展覧会の風景

本展は、キヤノンと特定非営利活動法人 京都文化協会が共同で行う「綴プロジェクト」の技術を用いて制作した、文化財の高精細複製品を展示する作品展です。(略)キヤノンの先進のデジタルイメージング技術と京都の伝統工芸の技の融合により、オリジナルの文化財を忠実に再現しています。(略)日本美術の巨匠が描いた名宝8作品の高精細複製品を展示します。(略)オリジナルの文化財では難しい、ガラスケース無しでの展示や、作品に描かれた世界を音と映像で楽しめるプロジェクションマッピングを実施し、日本の文化財を身近に感じる鑑賞体験を提供します。

公式サイトより
狩野山楽《竹に虎図襖》
《竹に虎図襖》のアップ

以下は、キヤノン(株)のサステナビリティ推進本部によるこの展覧会の紹介動画です。キヤノンギャラリーはキヤノンマーケティングジャパン(株)が運営しています。会社間で、どのように業務を分担しているのでしょうか?しかも、なぜサステナビリティ推進本部の方?「綴プロジェクト」は社会貢献の要素が強いため、サステチームが担当しているのでしょうか🤔

この展覧会は、有名な日本画を撮影し、屏風に印刷した作品が8点展示されています。要はスーパーコピーです。このような高精細複製品は、色校正が大変そうです。どのレベルで誰がokするのか、実務が少し気になりました。

菱川師宣《見返り美人図》:有名なのに国宝でも重要文化財でもないことを初めて知りました

通常であれば、ガラス越しに遠くから見なければならない作品を、間近で見られることが、この展覧会のウリのようです。

プリンティングとイメージングを本業とするキヤノンの強みを体現した展覧会だと思いました。全8作品のキュレーションからメッセージは感じらせません。また、印刷されているため、マチエール(絵肌)も観察できません。

俵屋宗達《風神雷神図屏風》:この後ろに尾形光琳の《風神雷神図屏風》が置いてある。最初に宗達が作った後、光琳が似せて描いたらしい
《風神雷神図屏風》のアップ:掠れやひび割れなどが忠実

それぞれの作品の良し悪しよりも、キヤノンによる複製技術の素晴らしさ、意義を伝えるための展覧会だと思いました。このような技術は、これからのアートなどの方向性に新しい可能性を与えているのではないでしょうか。

実際、これらの複製物を展示、イベント、教育プログラムなどで使用したり、企業へ貸し出しています。さまざまな団体から人が集まる重要な会議に《雲龍図》《風神雷神図屏風》などがあると、場が盛り上がりそうです。

菱川師宣《江戸風俗図屏風》

作品数は多くないものの、無料の開催は大変ありがたいです。そのおかげもあってか、訪れている人は多かったです。原美術館が閉館した今、品川に来る用事はほぼないですが、もし、品川に来た際に是非訪れたい場所です。

酒井抱一さかいほういつ《夏秋草図屏風》
伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》

▶︎まとめ

《雲龍図》のアップ

いかがだったでしょうか?作品数は少ないものの、普段はガラス越しでしか見れない有名な日本画を間近で見られることに加え、キヤノンの素晴らしいプリンティングとイメージングの技術を知ることができました。品川に来た際は、是非、キヤノンギャラリーSに立ち寄ることをおすすめします。

▶︎今日の美術館飯

伊右衛門カフェ 品川店 (東京都/品川駅) - フルーツのスフレ (¥990)、抹茶ラテ (¥495)

▶︎近くの公園情報

キヤノンギャラリーS付近に、公園らしい公園はありませんでした。橋を渡った先にある港南和楽公園は、ブランコなどはないものの、ある程度の遊具が充実していたため、子供連れにはおすすめです。


品川付近のライトアップ
港南和楽公演の近くにある御楯橋

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