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case ネグレクトメンヘラカップル

今でも忘れない。
その人は私の人生で一番私の人生に関わろうとしてくれた男だ。

私はまだピッチピチの二十歳だった。
私はフリーターで、彼は一つ年下の大学生だった。
そして例によって彼には彼女がいた。←病?

その頃の私は絵に描いたようなメンヘラで、それを自覚していないタイプのそれだった。
ちょっと気が強くてちょっと落ち込みやすくてちょっと気性が荒くてちょっと貞操観念が低めなだけでそこまで異常だとは思っていなかった。多分。

彼はいかにもチャラそうな雰囲気で、イケメン、長身、極度の腰パンのオラオラ系であった。
最初は彼女持ちのチャラ男なんて絶対無理だと思って敬遠していたが、気付けばバイト後に夜のドライブによく行く謎の浮気相手と化していた。

彼の家はとても複雑で親御さんがちょっと特殊な会にハマっていた。
その会に子供の頃から強制的に入れられていた彼は大学生になるのを機に自分に意思で脱会した。無神論者の私には理解できない世界だが、脱会すると家族とも話せないらしく彼は家の中で空気のように扱われていた。

2世帯住宅でバラバラに暮らし必要最低限の話は家の内線でしていた。

おはよう、おやすみも言わない。ごはんは与えられるが一緒に食べてはいけない。
もちろん誕生日も祝われない。

そう、無視ってやつ。

私もほぼ似た環境だったため(私の場合は宗教的なものではなかったが)その辛さは容易に想像でき、その憎悪や悲哀もお揃いであった。

彼は見た目のオラオラと彼女持ちの浮気野郎、と言うことをさて置くと、とても繊細で脆くて優しい人間だった。

今の私なら彼を支えたり包んだり諭したりもできたかもしれないが、その当時の私は自分のことばかりですっかり彼に頼りきり依存していた。

お互いにお互いしか理解者がいない、甘えたり怒ったり泣いたりできる相手がいないと言うような日陰の依存関係が1年くらい続いた。

そんなある日、実は結構前に彼女とは別れていた、と言う旨を告げられた。

「え、あ、へー、それは私は昇格するんですかね?」

「そうなんじゃん」

「(・∀・)」テッテレー♪日陰卒業♪

そんなこんなでメンヘラカップルが正式に誕生した。
この人と生きていく!
この人を守る!親の分まで愛してあげる!
そんな誓いを立て、仲睦まじくお付き合いをしていた…はず…だった。

諦めません、勝つまでは、の精神で勝ち取った彼は、その後まんまと私の友人(彼氏持ち)と浮気をする。←病

その時の恐ろしい制裁の話はまた今度にしようと思う…

necoco

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