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決戦!本能寺 (葉室麟・冲方丁 他)

(注:本稿は、2018年に初投稿したものの再録です)

 新聞の書評欄で紹介されていたので手にとってみました。

 「決戦!」シリーズになっているんですね。
 本書は「本能寺」を舞台に、“変”に関わった人物7名を7人の作家がそれぞれの視点で描いていきます。伊東潤(織田信房)・矢野隆(森乱丸)・天野純希(島井宗室)・宮本昌孝(徳川家康)・木下昌輝(細川幽斎)・葉室麟(斎藤利三)・冲方丁(明智光秀)といった具合です。

 なかなか面白そうな企画だと期待して読んだのですが、かなり拍子抜けで私には全く合いませんでした。残念!

 歴史小説といえば、司馬遼太郎・海音寺潮五郎あたりの「古典的」なものをイメージしてしまう世代でもあるせいでしょうか、こういった超短編の場合、どの作品も如何せん中途半端な印象は拭えません。

 ある程度のボリュームなら、そのストーリーの中で、自然と登場人物の出自やその他の人物との関わりが語られていくのですが、本書のような短編になってしまうと、それらの背景や伏線がいきなりストレートに「説明」されてしまうのです。
 これでは、それぞれの作品が、歴史上のエピソードの解説文にちょっとしたオチがついたようなものになってしまうのも無理からぬことだと思います。

 「豪華メンバーがみたび集結!乱世の英雄・織田信長を、討った男、守った男、そして、何もできなかった男たち――。その瞬間には、戦国のすべてがある。」という宣伝文が躍る本ですが、かなり?ですね。



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