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199.発明報酬が23万円なんてやってられないねえ。このままでは、企業の職務発明は滅んでしまいますよ!

※注 この著作権noteは2004年からの事件を取り上げ、2005年、2006年と取り上げ続け、現在は2007年に突入。今後はさらに2008年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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1.キヤノン再生インク勝訴!エプソン再生品インクは勝訴!ついに再生インク訴訟でエプソンが敗訴確定。



2008年11月9日、使用済みインクを再注入して販売するのは特許侵害だとして、「セイコーエプソン」(長野県)が再生品販売最大手の「エコリカ」(大阪市)に販売差し止めなどを求めた訴訟の上告審で、最高裁第二法廷は、エプソンの上告受理申し立てを受理しない決定をくだした。

エプソン敗訴の一審、二審判決が確定。インクカートリッジの再生品をめぐっては、キヤノンがリサイクル業者を相手どった訴訟の判決で、最高裁は8日、キャノンの特許権を認めて新たな基準を示したが、エプソン訴訟では、一、二審とも「特許自体が無効」として、特許侵害の判断はしなかった。

エプソンの場合はカートリッジのインク漏れを防ぐフィルムなどの特許権を主張していた。

どちらにしろ、消費者側には嬉しい判決ともいえる。なぜならインクカートリッジはやむ得ないかもしれないが、再注入は問題無し(特許侵害は認められない)リサイクル業者の再生品にめぐっては特許権を認めた。それにインクは、消耗品、すぐになくなり、費用も高いもの。そんな背景から再生品の使用が認められたことは良いことかもしれない。

エプソンは敗訴、キャノンは勝訴。その大きな違いは何だったのだろう。もう一度内容を振り返ってみる。

この問題、メーカー対リサイクル業者の壮絶な戦いでもある。

エプソンは、プリンター用の使用済みインクカートリッジのリサイクル販売は特許侵害にあたるとして、長野県に本社を置く、「セイコーエプソン」がリサイクル販売の最大手「エコリカ」(大阪)を相手取り、リサイクル製品の販売禁止などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷は、11月9日にセイコーエプソンの上告した特許侵害を認めず、エプソン側を敗訴とした知財高裁が確定した。

エプソンは2001年、カートリッジのインク漏れを防ぐフィルムなどの構造に関する技術の特許を取得したが、一、二審判決は「エプソンの発明は新規性がなく特許は無効」と判断した。

そのためリサイクル製品が特許権を侵害していないとした。

では、キャノンの場合はどうだったのだろう。

プリンター用の使用済みインクカートリッジにインク再注入して販売するのは特許侵害にあたるとして「キャノン」(東京都 ) がオフィス用品販売会社「リサイクル・アシスト」(豊島区)に販売差し止めを求めた。

この日、最高裁は、リサイクル会社に販売禁止を命ずる。

キャノンのインクカートリッジ訴訟で最高裁は「環境保護」などの観点から注目が集まっている再生品について 「 特許侵害があれば許されない」という基準を初めて示した。

ここがキャノンとエプソンの勝敗を決めたようだ。

HP C310c & ENVY100_056 / TAKA@P.P.R.S

しかし…2020年~


2.ワープロ特許対価2億6000 万円!

あいかわらず、企業の技術者の発明評価が低い。2008年12月7日、仮名漢字変換など日本語ワープロの基本となる技術を発明した大手電機会社の東芝 (東京都)を相手取り、元社員の天野真家湘南工科大学教授が、特許譲渡の対価として東芝に約3億6000万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。

この発明は、日本語は同意語が多いため、仮名と漢字が交ざってしまうため、仮名漢字変換は1970年代当時は不可能とされていた。


書院「セリエ MR-2」ワープロの参考イメージとして

この発明は現在もほとどの日本語ワープロソフトの基礎となっているものだ。

天野教授は、東芝総合研究所に在職していた1974年〜8年に入力したかなを前後関係から判断して、漢字と仮名の交ざった文章に変換する「二層型仮名漢字変換」と、意図しない同意語が出てくるのを減らすために一度使った漢字を優先的に出すようにする「短期学習機能」を発明した。

この発明によって、仮名を適切に感じに変換できる確率が飛躍的に向上し、発明協会から表彰を受け、特許庁長官賞を受賞したりするなど高い評価を受けている。その技術は現在も携帯電話のメールなどにも応用されている。

しかし、この発明によって天野教授が会社から得た報酬はわずか23万円だったという。

東芝はこの発明を社内規定により特許出願のため権利を継承し、1977年と78年に天野教授ら4人の連名で特許を出願。

東芝では、その後特許譲渡の対価は支払っていない。

特許権は、出願してから20年で権利が消滅する、特許料収入は少し後まで支払われるが、支払い後10年たつと民事訴訟での請求権を失われるため、天野教授にはまだ権利が残っている。1996年、97年の2年分でこの2年間に得たと思われる特許の利益は少なくとも26億円と試算。このうち10%が天野教授の貢献分とし、請求する。

天野教授は、「訴訟を通じて、発明から生ずる権利は技術者のものだと訴えたい」とコメント。

さて、世の中に一石投じることができるだろうか? 発明報酬が23万円なんてやってられないねえ。このままでは、企業の職務発明は滅んでしまいますよ!


東芝「Rupo JW-R1」(IPSコンピュータ博物館より)



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