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月の夜の共犯者

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物語をひとつにまとめています。 のちに有料化するかも…しれません
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2020年7月の記事一覧

月の夜の共犯者 15.

世の中をうまく渡っていく為にはそれしか方法はなかった。 「馨は花の香りがするね。その香り…

月の夜の共犯者 14.

シトシトと雨が降っている。 6畳1間の窓を開け、アパートの欄干から外を眺める。暫くすると小…

月の夜の共犯者 13.

朝になった。 僕と馨は部屋でサービスのモーニングを注文し、それを2人で分けた。 「ソウ……

月の夜の共犯者 12.

その日は、京都駅前にあるビジネスホテルに泊まった。 ふぅ…と部屋越しに窓の外に映る京都タ…

月の夜の共犯者 11,

今日はそろそろ中原さんが来る頃だな。 じぶんでも馬鹿みたいに心臓が高鳴っているのが分かる…

月の夜の共犯者 10.

くそっこんなつもりじゃなかった。 家に帰るとボストンバック片手に出掛けようとする馨と遭遇…

月の夜の共犯者 9.

京都祇園夜の街… 繁華街を通り抜け、花見小路を抜けたところに その高級クラブはあった。 ドアを開けるとカランコロンとベルが鳴る。 「あら、いらっしゃい。 山ちゃん久しぶりじゃないの。何年ぶり? 元気にしてた? でもねせっかく来ていただいたけど、まだお店はやってないの…」 高そうなしつらえの着物を着たママが出迎えてくれた。 歳の頃は40半ばか…。 「いや、ママ違うんだ。 今日来たのは客としてじゃないんだ。 ママ、少し前に働いていた奏音(かのん)という子を知らないかい?」

月の夜の共犯者 8.

ねぇ、わたしは何のために生きているの? 夜になるといつも思う。 こころの奥底に仕舞い込ん…

月の夜の共犯者 7.

新東名高速道路を西へ、そのまま伊勢湾岸道路を左に入り名神高速を目指した。 一度だけトイレ…

月の夜の共犯者 6.

車を走らせながら、僕は馨とのあの日を思い出していた。 その日、馨は夜遅くまでフロアに残っ…

月の夜の共犯者5.

「今日は会食で遅くなるから、飯はいらない」煙草を吸いながら馨にメールを送った。 ついてね…

月の夜の共犯者 4.

月が満ちる夜が明け、朝となった。 白く曇った窓ガラスの冷気に寒さを覚え、体を起こした。 む…

月の夜の共犯者3.

「お前は俺の言うことを黙って聞いとけばいいんだよ!!」 仕事帰りいつもどんな顔で彼が待っ…

月の夜の共犯者 2.

空高く登る月を2人でいつまでも見ていた。 座席のシートを少しだけ倒した車のなかで、蒼白く光る空を眺めた。 「ソウ…月が綺麗だね。」 「うん、とても綺麗だ」と僕は呟いた。 夜も更けて寒くなってきたのか、馨はクシュンとくしゃみをした。 「大丈夫?寒い?」 僕が来ていた茶色のジャケットを馨に渡そうとすると、馨は 「ありがとう…大丈夫だよ。」と言った。 「今日はどっかに泊まれなくてごめんな」 「全然大丈夫だよ。これからの事もあるから、ちゃんとお金残しとかなきゃ」 僕と馨は手