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そのサッカーを疑え!

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#バルサ

バルサの敗戦に見る自前の組織で一流選手を育て上げる限界

バルサの敗戦に見る自前の組織で一流選手を育て上げる限界

 チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ最終第6週で、バイエルンに0-3で敗れたバルセロナは、あえなくグループステージで脱落した。本大会に出場しながらベスト16入りを逃したのは1998-99シーズン以来になる。

 それは、クラブの創立100周年にあたる年の出来事だった。その時、競り合った相手はバイエルンとマンチェスター・ユナイテッドで、この三つ巴の対戦は、実力伯仲のまさにスペクタクルな好ゲー

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0トップの元祖ロナルト・クーマンとメッシの親和性

0トップの元祖ロナルト・クーマンとメッシの親和性

 リオネル・メッシがバルセロナに残留する。メッシは移籍の意志を固めていたが、そのためには7億ユーロ(約878億円)という莫大な違約金の支払いが不可避という事実が判明すると一転、残留に方向転換した。

 一方で、来季以降、移籍にその違約金が伴わないこともハッキリした。メッシがバルサでプレーするのはあと1年。2020-21が最後のシーズンとなるメッシと、どう向き合うか。サッカーのやり方はメッシがいる、

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これって4−3−3? CLのバルサを見てジーコジャパン時代の4−2−2−2を想起した

これって4−3−3? CLのバルサを見てジーコジャパン時代の4−2−2−2を想起した

 チームは毎シーズン、メンバーが入れ替わる。監督もだいたい2、3シーズンに1度の割合で交代する。チームを取り巻く状況は毎シーズン変化する。成績は上がったり、下がったり。2部に降格することもある。地元ファンはチームの変化をそのつど、受け入れながら応援を続ける。そうした宿命を抱えている。

 その点、第3者的な立場のファンは気楽だ。嫌になったら止めればいい。いつでも心変わりできる。レアル・マドリーファ

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「ボール支配率の時代は終わった」の大いなる誤解。それを支える2大要素とは

「ボール支配率の時代は終わった」の大いなる誤解。それを支える2大要素とは

 ボール支配率の時代は終わった。ポゼッションサッカーでは勝てなくなっている。近頃そんな声をよく聞く。サッカーには様々な見方があるので、当然、様々な声が生まれてくるが、この言葉を耳にすると、その切り口について乱暴さを覚えずにはいられない。

 ボール支配率の上昇を最大の目的に試合を戦っているチームはない。ボール支配率が高くても勝ち点は伸びないし、フェアプレーポイントが上がるわけでもない。上昇させたと

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CL準決勝。バルサ、メッシではなくリバプールによって最大値が更新されたサッカーの魅力

CL準決勝。バルサ、メッシではなくリバプールによって最大値が更新されたサッカーの魅力

 バルセロナがリバプールに3-0で先勝したチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦を見て一番に何を思うか。リオネル・メッシは確かに凄かった。現在31歳。サッカー選手として下り坂にさしかかる年齢である。アタッカーにとってはなおさらだが、俊敏さと巧緻性はそのままに円熟味が増している印象だ。この試合の3点目のFKシーンでは、弾道のあまりの鋭さに震えが来たほどだった。まさにマンオブザマッチ級の活躍をしたメ

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CL準決勝バルサ対リバプールで、日本人がメッシ対サラーに注目したい理由

CL準決勝バルサ対リバプールで、日本人がメッシ対サラーに注目したい理由

 来週行われるバルセロナ対リバプール(チャンピオンズリーグ準決勝)。見どころはいろいろあるが、この試合の結果は、リオネル・メッシとモハメド・サラーの活躍度にそのまま反映するように思う。

 サッカーは11人対11人の戦い。個人の争いを強調することは本質から外れる恐れがあるが、この試合の場合、彼らの活躍なしに、それぞれのチームが勝利する姿を想像することは難しいので、あえてそう言わせてもらう。

 と

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Jリーグの外国人枠増を欧州に学ぶ。地方クラブは有利なのか不利なのか

Jリーグの外国人枠増を欧州に学ぶ。地方クラブは有利なのか不利なのか

 イニエスタと言えば、バルセロナの下部組織、ラ・マシア出身の生え抜き選手として知られる。チャビ・エルナンデス、グアルディオラ、現役ではジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケツ、リオネル・メッシもこの仲間に収まる。だが現役の3人はいずれも30歳を超えていて、その下の年代には見当たらない。バルサ以外でプロ選手になった選手はいるものの、育成組織がトップチームを支える機能を満足にはたしているとは言い難い状態だ

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バルサに忍び寄るアルゼンチン代表化

バルサに忍び寄るアルゼンチン代表化

 中4日のフランスと中3日のクロアチア。クロアチアは決勝トーナメントの3試合をいずれも120分間(計360分間)戦っている。90分の試合に換算すれば4試合分だ。フランスより実質1試合分多く戦っているので、消耗度も25%増しと考えていい。コンディション面だけを見ればフランス有利、クロアチア不利となる。

 しかし、モチベーションで勝るのはクロアチアだろう。優勝経験があるフランスに対しクロアチアは3位

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