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効率化してるのに仕事が増えるみなさん

コロナ禍で仕事観が揺らぎに揺らぎ、この本を読んでもっと揺らいだ。
読まなきゃよかったと思うほどに。

ブルシット•ジョブの定義

被雇用者の本人でさえ、その存在を正当化するしがたいほど、完璧に無意味で、不必要で有害でもある有償の雇用形態。

腑に落ちるまで時間がかかるタイプの本。
さすが岩波さん。深くて一度じゃ理解させてくれないぜ。

1930年ジョンメイナードケインズは20世紀末までに、イギリスやアメリカのような国々では、テクノロジーの進歩によって週15時間労働が達成されるだろうと予測していた。彼が正しかったと考えるには、十分な根拠がある。テクノロジーの観点からすれば、これは完全に達成可能なのだから。

世論調査では、自分の仕事が世の中に意味のある貢献をしていると確信している人間は、フルタイムの仕事にある人々の50%しかおらず、37%の人々は貢献していないとはっきり感じていた。

実態のない(無意味)仕事によって人は忙しく働き、心も疲弊している。
テクノロジーの発展によって効率化を進めながらも、減るはずだった仕事は膨れ上がる労働矛盾。薄々みんな気付いてるやろ?この違和感に?

ケインズの予測は嘘っぱちだったのか?
テクノロジーの発展は足らなかったのか?
仕事が減る未来は来るのか?
自分の仕事は胸張って貢献できていると言えるのか?
労働、仕事ってそもそもなんだ?

めちゃくちゃ考えさせられます。
共感するポイントが多ければ多いほどブーメランの如く自分に問いが返ってくる。

この本はビジネス書ではなく哲学書です。

自分の仕事はブルシットジョブとは関係ないねと思う人ほど読んでほしい。
逆に仕事に思い悩んでる人やブルシットを感じてる人は変な感じで背中を押すことになりかねないのでオススメしません。

刺さった言葉

周知のように、仕事は、ますます生産的労働と見なされているものから、遠ざかる一方、ますますケアリング労働に接近していると言うことである

ケアリング労働とは、一般的に他者に向けられた労働とみなされており、そこには常にある種の解釈労働や共感理解が含まれている

一番ゲキ刺さりポインツ。
ケアリング労働、僕は自分の仕事がまさにコレの比率が上がっている。
上司や部下、会社と顧客も全て互いにケアしあっているとすら感じる。

創造的な成果をもたらすのは、欲望よりも必要性

多くの仕事は演技を必要とするものだ。程度の差こそ、あれほぼ全てのサービス業にはそれは見受けられる。

人を心底、うんざりさせるものは、強迫性と欺瞞性である

ドストエフスキーは考えられる限りで、最悪の拷問の理論を発展させた。それによれば、最悪の拷問とは誰の目にも意味のない作業をいつ果てるともなく強制することである。

無意味さが退屈を悪化させる場合もあれば、不安を悪化させる場合もある

最後にこの本にはこう書いている。

本書の主要な論点は、
具体的な政策提言を行うことにはない。
本当は自由な社会とは、実際にどのようなものなのかの
思考や議論に手をつけ始めることにある。

この本を読んだ後のパワーは職業非難や今の職場批判に使うのではなく、
労働と社会の在り方を考え、自分はどうするかに充てよう。

労働観に根が生えないように半年に一度は読み返そ。
読んだ人と感想をダラダラ話したくなる本でした。

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