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夏のおわり、やりのこしたこと。

きびしい残暑も、ようやく落ち着きをみせはじめたこのごろ。

思い返してみると、僕はずっと部屋にこもっていた気がする。

夏っぽい思い出といえば、彼女と一緒にいった近所のお祭りくらいなものだ。

他には『呪術廻戦 懐玉・玉折』というアニメーションのOP『青のすみか』によって捏造された、偽りの夏っぽい記憶か。

そもそも僕たちは二人とも、暑かったり、人が大勢いたりするのが苦手だから、涼しくなった夜道をアイス片手に散歩するのが性にあっているのだった。


そうは言っても、悔やまれる。

今になって「もう少し夏っぽいことをしておくべきだったかも」という後悔の念が、毛ほどではあるが、あるにはある。

まず海に行っていない。

ゆえに水着も買いに行っていない。

かき氷も食べていない。

考えはじめると、やっていないことだらけだ。

蝉のぬけがらを集めてもいないし、カブトムシを捕まえるために、木に蜜を塗ってもいない。

蚊取り線香を炊いたりもしていないし、流しそうめんだってしていない。


夏の星座にぶら下がって上から花火をみおろしていない。

キミが胸を焦がすから夏が熱を帯びていかない。

夢じゃない。あれもこれも。その手でドアを開けていない。

この長い長いくだり坂を君を自転車の後ろに乗せてブレーキいっぱい握りしめてゆっくりゆっくり下っていない。

見つめあうと素直におしゃべりできない。

君と夏のおわり、将来の夢、大きな希望、忘れない。

ABC、続かない。そんなんじゃダメじゃない。だってココロの奥は違うんじゃない。おれの青春そんなもんじゃない。


しかし、まあ。

できなかったことを、いちいち悔やんでもしかたがない。

「来年こそは充実した夏がおくれますように」と願うほうがよっぽど意義がある。


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夏の思い出

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