アイデアについて、思うこと。 #毎日投稿130日目。
先日、知人と話していたところ、こんな質問をされた。
「よくこんなにいっぱい書くことがあるっすね。自分で飽きたり、つまんなくなったりはしないんすか?」
彼の名前を、仮にMくんとしよう。
Mくんは、僕の好きな柳楽優弥という俳優さんに似ていた。
彼は質問の内容以前に、言葉選びがちょっと威圧的だった。
しかし僕は萎縮しまいとして、なんとかこんな感じのことを答えた。
「僕にもよくわからないけど、とにかく思いついたアイデアを自分で否定しないように、ということだけは気をつけてる」
言いながら僕は結構いい返答をしたんじゃないか、とめずらしく自分を褒めたくなった。
アイデアというのは食品に似ているかもしれない。
彼女と買い物に行くと、よく二人で原材料名の記載を見ることがあった。
「この『/』で区切られたところから先が、食品添加物なんだよ」
彼女はそういうところを、マメに気にしていた。
年中貧乏な僕は、今までそのことを知らなかった。
「安いほうがいいじゃん!」とのんきに構えていた。
高いほうを買う人は、きっと社会的に成功をおさめた人たちなんだろうな、と思った。
心の奥で嫉妬と悔しさをにじませながら、震える手で商品をカゴに入れていた。
しかし最近は、彼女に手料理を振る舞うことが多くなり、やっとそのことを自分でも気にするようになった。
なるべく国産のものや、無添加のものを手に取った。
値段は高くなってしまうが、外食やレトルトに頼っていた以前の食生活に比べれば些細な違いだということに気づいた。
僕にとっては、アイデアも同じようなものだった。
「こんなもの、面白くないだろう」
「ここからは何の学びもない」
「コスパ悪いな」
そういうのは添加物と同様、混ぜれば混ぜるほど自分の中の価値は下がっていく。
自分の畑で採れてしまったものなんだから、なるべく素材の味を楽しんでほしい。
物書きとして、そのための努力は惜しまないようにしたい。
少なくとも僕はそう思った。
ということをMくんに伝えようとした。
「ふうん、そうなんすね」
しかしMくんの、興味があるんだかないんだかわからないその反応に萎縮した僕は、その考えをそっと自分の中にしまった。
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