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人からの評価すらも素直に受け取れなくなってしまったみたいだ。



仕事を辞めたと報告すると、返ってくる反応は大体2つ。

辞めたと聞いて大袈裟に驚く人と、事情を知っていてお疲れ様と言ってくれる人

どちらも苦手だ。

大袈裟に驚かれると、少しの間気まずい雰囲気が流れる。
お疲れ様と言われても、僕が一体何を何のために頑張ったのか。仕事も満足に出来ずに日々摩耗しただけだ。お疲れ様は労いの言葉なのに、褒められることは何もしていない。

みんな誰かからの又聞きで僕の知らない間に知ってくれていればいいのに。そして何より、根掘り葉掘り理由を聞くのをやめてほしい。

退社した理由を説明するたび、当時のことがフラッシュバックする。話しているうちに、なんだか自分のとても恥ずかしいところを無理やり剥き出しにされる気持ちがしてくる。
少しでも笑い話に持っていけるように、必死に言葉や話し方を選ぶ。自分が笑うために。自分が泣きそうになるのをこらえるように。


・・・


僕は今、学生時代にアルバイトしていた居酒屋で週末にヘルプという形で働かせてもらっている。
給料は微々たるものだが、日中何もしていない僕は精神衛生上とても助けられている。

今日、元々同じ居酒屋で働いていた僕の先輩が、会社の人たちの飲み会で客として来ていた。学生時代の先輩を思い出す。アルバイトの女性全員から嫌われるほど女子ウケが悪い先輩だったが、僕はその人が面白くて好きだった。
僕の顔を見るなり嬉しそうに近づいてきて、世間話をした。去年の末に子供ができたらしい。幸せそうだ。



『そういえば、仕事、辞めたんだってね』

それまで楽しかった時間が僕の中で一瞬凍りついた。なんで先輩がそのことを知っているのだろう。どこまで知っているのだろう。今の僕を見てどう思っているのだろう。
様々な考えが頭をよぎる。

『そうなんですよ、しんどかったんでやめちゃいました〜。ブラックっすよブラック』

必死でぎこちない笑顔を作る。
心臓がいつもより激しく暴れ、手のひらに汗がじわりと滲む。
やめてくれ。理由を聞かないでくれ。お願いだ。僕を辱めないでくれ。



『そっかあ。うちの社長がさっき、行くとこないならうちにくればって言っていたけどどう?ピロリ君の人柄は俺も評価してるし、全然推薦してあげるよ。』


目が点になった。
人柄?僕の?評価?
推薦って…え?


いろんな言葉が飛び込んできて頭がクラクラしたが、僕はすぐに否定する。

『いやいや僕なんて…そんな評価されるようなヤツじゃないっすよ』

その後、そのうち今住んでいるところを出ようと思っていること。そのせいで彼女とも別れたこと。地元に戻るからオファーに応えられないことを話した。
先輩は残念そうにしていたが、また僕の人柄を褒めてくれて、連絡くれればいつでも推薦してあげると言ってくれた。
その後も、接客の隙を見つけては話しかけてくれた。


先輩は僕が辞めた理由を聞かなかった。それどころか僕を評価し僕のために道を作ってくれようとした。
嬉しかった。久しぶりに会ったのにそんなことを言ってくれる先輩をまた好きになった。
しかし同時に、断ってしまうことへの申し訳なさと、褒められたことを素直に喜べない自分への自己嫌悪が湧いてくる。

人柄を評価していると言われてまず最初に思ったのは、本当の僕はそんないいヤツじゃないよ、ということ。
実際の僕はネガティブだ。明るくポジティブなんてのは対極にある言葉だ。別に明るいほうでもなかったが、本当の僕はもっともっと暗い。本当の僕はなにもできないダメなやつなんだ。
そんな風に考えてしまった。

何故、他人からのプラス評価を素直に受け入れられないのか。いや、正確には受け入れられなくなったというべきだろう。
どんな時でも何を言われても僕のことを真っ先に否定してくるやつがいる。

“僕”だ。

僕は“僕”に否定されている。
そいつの常套句である『本当の僕は』って言葉をつけられると、僕は何も反論できなくなる。
“自分に克つ”という言葉があるが、それは自分の弱い部分に打ち克つということだと僕は認識している。
じゃあその弱い部分であるはずの“僕”が、僕より断然強い場合はどうやって戦えばいいんだろうか。

いや、そもそもなんで僕は“僕”と戦っているんだろう。
自分の1番の味方でいられるのは自分しかいないはずなのに。


強い部分も弱い部分も全てひっくるめて僕という人間なのに、弱い部分ばかり大きくなってしまって、自分自身を全て否定的に見てしまう。弱い部分が僕の全てだと思い、自分を嫌いになる。

それじゃいけない。愛するのだ。

強い部分も弱い部分もまとめて僕として愛してあげる。
そうすれば、他人からのプラス評価もマイナス評価もすんなり受け入れられるようになるはずだ。
そうして初めて、僕という人間が一歩成長できるのだと思う。

まずは、仕事の話になったときに自分が胸を張って話をできるよう、自分自身を変えていかないとな。



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