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除け者の3番手(小説)

私は部活で3番手だった。
2番手と1番手でバチバチだった3月末、
3番手の私はその競争についていけなかった。
1と2に実力差をつけられすぎた私は、陰口をたたかれていた。
テニス部だった私は、回転や球の速さが段違いに差があったのだ。
そんな陰口に心を折られてしまった私は、しばらく部活を休んだ。
勿論気にかけられていなかったのだろう。
少しは気にしてほしかったものだ。
毎日、毎日、あいつらはボールの速さを求めていた。
最近、あいつらと遊ぶことが少なくなった。
部活に来ない奴よりは、4番手と遊んでた方が楽しいようだ。
「俺はもう必要のない存在なのか…」
メンヘラのような言葉を吐いた。
びっくりした。諦めた。
だが、自分が昔からそういう性格なんだと、昔から少し実感していた。
ある日1,2番手が話をかけに私のクラスまで来た。
「お前そろそろ部活来いよ」
「聞いちゃいけない理由があると思って聞かなかったんだぞ?」
私はハッとした。
「必要とされていなかったんじゃなかった!」
その時はうれしくて、嬉しくて、たまらなかった。
「何もなかったよーw」
「捨てられたかと思ったよ~w」
流暢にしゃべった。
その時の私は相当きもかった。
あとから聞いた話では、めちゃくちゃ真似されていたらしい。
嫌われてるのかな?
あの時の私が聞いていたならメンヘラのようなことになっていただろう。
その後、私には好きな人ができた。
学年でトップ5に入る美女に私は惚れた。
こんな精神状態の私がまともな恋愛ができるわけもなく、
気色の悪い行動に出た。
典型的なナンパ陽キャのような行動に出ていたのだ。
「そういえば○○ってさー」
「そんなに可愛いのに~w」
元々、少し好かれていることを自負していた私は、
グイグイ行っていた。
かなりきもかった。
私の性格は、20歳まで戻ることがなかった。
勿論、きもい性格になった私は同窓会や、2次会に呼ばれなかった。
1次会でもあまり絡まれず、誰かにずっと自分から声をかけていた。
私が声をかけた奴は他の奴に声かけ、逃げていった
そういう感覚がまだあったのだ。
メンヘラのような面倒くさいようなかゆいような感覚
最後までかゆかった
だが最後に私が陰キャでと思っていた奴にこそっと言われた。
「きもいですよねw昔からw」
垢抜けしていた。
私は久々に相手からかけられた声がこんな声で、ショックを受けた。
みんな垢抜けしていて、でもため口だったのに、
何にも変わっていない私に対して、敬語で他人と話しているように
ふるまっていた。

ショックだった。みんなに好かれていると思ってたのに…           

人間は哀れむべきものではない。      尊敬すべきものだ。

自負するな。讃えられたことのみを誇れ。

このことを何人が自覚しているのか…
これが本当に正しいのか…


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