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レッテル貼りに利用される精神疾患

新年早々、日本列島を大きな地震が襲い、例のごとくTwitterは大騒ぎとなった。そんな中、一人の国会議員の行動がTwitterで波紋を広げた。そう、れいわ新選組代表の山本太郎氏である。

政府や石川県が能登半島への不要不急の移動を自粛するよう呼びかけ、また与野党の代表も会談で、被災地への視察を自粛する申し合わせをした直後に山本太郎氏は被災地でボランティア活動を実施した。このことがSNSで拡散され山本太郎氏の行動に対し賛否の声が相次いだのだ。

私はこの山本太郎氏の行動が正しかったか否かについては言及しない。そんなことよりももっと気になったことがあったからだ。それは、れいわ新選組支持者に対して「境界知能だ」という言葉が飛び交ったことだ。

ある保守系の言論人がTwitterにこのような投稿をした。

山本太郎を支持するツイートが意外に多い。彼らは批判を意に介さない。れいわの支持者はIQ85以下の境界知能なので、彼らに受ける派手なパフォーマンスをする。境界知能は14%いるので、政権は取れないが議席は取れる。賢いマーケティングだ。

ある保守系言論人の投稿

このツイートを発端に「境界知能」がトレンド入りした。これはれいわ新選組支持者はもとより、明らかに境界知能、精神障害、発達障害当事者に対する差別である。自分たちの気に入らない勢力に対してレッテル貼りをするために障害を利用しているし、また勝手に精神科医でもない者が「境界知能」と呼ぶのは問題である。

今回の件に限らず、以前から自分たちが気に入らない人たちやコミュニケーションが苦手な方に対して「アスペ」と侮蔑する行為が横行していた。しかし、このようないじめのような言動を影響力のある大人がしてしまうのは大変衝撃的だった。

少し話題がずれるが、この「境界知能」という単語が広まったのはおそらく『ケーキの切れない非行少年たち』がきっかけだっただろう。もとはこの本は、非行の背景には境界知能や発達障害が潜んでいるので、彼らには刑罰だけでなく治療が必要であり、また幼い頃からの支援も必要であるという趣旨で出版されたと思う。

しかし、実際には境界知能・発達障害当事者に対して「犯罪者予備軍」というレッテル貼りだけが広まってしまったのではないだろうか。本当に残念なことである。精神障害の認識が広がることと、それがポジティブな意味で理解されることとは、全く別のことであることを思い知った。

おそらく人間の本音は変わらないし、Twitterは匿名なのでそのような醜い本音が受けやすいのだろう。私には解決策が思いつかない。

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