リハ医の散文

仕事(研究や臨床)や雑感について, とある大学病院勤務のリハ医が書いてます.

リハ医の散文

仕事(研究や臨床)や雑感について, とある大学病院勤務のリハ医が書いてます.

マガジン

  • リハ科専門医試験

    リハビリテーション科専門医試験についての記事をまとめました.

最近の記事

  • 固定された記事

散文的に

前に書いていたブログは消してしまったので, ここにつらつらと書く. はじめはなんだか気を張って, いっぱい書こうとしてしまうけどそんなのはひとまず置いてこんなもんにしておく. 真面目なことばかり考えているようで実は何も考えていない. さんぶんてき【散文的】 ( 形動 ) ① 散文のようであるさま。 ② しみじみとした味わいや奥行が感じられないさま。また、まとまりのないさま。 「 -な風景」 大辞林 第3版

    • 退職

      医者の生活は異動が多い。 今の病院では3年連続勤務した。2年以上勤めたのは実ははじめての経験だった。2年と3年は大きく違う。飽きの部分が大きくなる。 もう少しセンチメンタルになるかとも期待したが、もう退職自体7回目である。自分のロッカーなどを片付ける作業もだいぶ慣れてるし、職場には必要最小限のものしか置いていない。 自分がこの病院に来た時にいた同世代の同僚はとうにいなくなった。気づけば中堅と若手のどっちつかずのポジションにいる。もう少しプレイヤーなのか、管理なのかをはっき

      • 悪いニュースの伝え方(もう少し総論)

        悪いニュースの伝え方について論じていく。あくまで自分の主観による部分が多いので、適宜コメントいただきたい。 リハビリテーション医療における悪いニュースの代表は「もうこれ以上機能が良くならない」である。 リハ医療に対する期待はとても大きい。たまに、とても大きすぎるとも感じる。動かなくなった手や足がまた動くようになる、元の生活に戻れるようになる。急性期医療で生命の危機をひとまず脱して、ある程度落ち着いた段階になるといろいろなことを考える。 回復期リハビリテーション病棟に転院

        • リハ病棟における病院総合医の可能性?

          Xで流れてきた「2024年度診療報酬改定で回復期リハビリ病棟に厳しい対応、リハビリの質低下、病院経営の悪化を強く懸念―日慢協・橋本会長」を眺めていた。 https://gemmed.ghc-j.com/?p=59795 診療報酬が実質マイナス改定という流れはもう分かりきっていたことで正直驚きはなかった。 その中で体制強化加算について、気になる箇所があった。 専従医の役割は 「リハビリチームのリーダー」 「総合診療医としての機能」 「専門医への連携機能」 ということらし

        • 固定された記事

        マガジン

        • リハ科専門医試験
          4本
          ¥300

        記事

          悪いニュースの伝え方(はじめに)

          リハビリテーション医療において、病状説明の重要性はあまり議論されていない印象がある。これはリハビリテーション医療の漫然さに問題があって、良くなれば良くなった風に、悪くなれば悪くなった風に話をしていく、そのダメさにある。これは医療者側にも患者側にも問題がある。 普段の私の拙い説明や経験から今回はpit fallを考えたい。 以前にも「面談考」として記事を書いた。 なぜ悪いニュースを伝える必要があるのか? 得てして、リハビリテーション医療において悪い知らせを伝えることは忌

          悪いニュースの伝え方(はじめに)

          春になったら

          来年度から久しぶりの異動となる。 今までも2-3年おきに異動となってきた。あまり長いこと一つの場所に留まれないのが大学医局の弊害である。しかし、いろんなことを経験できるのもまた良いと言える。 次は、また突飛な勤務先で、いわゆる医業は行わない。 外科医であれば「メスを置く」とでも言えるのだろうが、私は所詮リハ屋なのであまり格好の良いフレーズも思いつかない。 昨今の医療現場についてはいろいろ思うところがある。別に救急外来をやっているわけでもないが、なんというか「物分かりの悪い

          春になったら

          査読の依頼が多い

          査読をはじめて引き受けた時の記事 *** この記事を読むと、2022年にはじめての査読をしている。 そこから、2023年は6本の査読依頼があった。2024年も早々に1本。 慣れてくると一晩でおおよそのcommentが書き上がり、数日浅く読んで査読を終了している。1週間もあれば査読をきちんと終わらせるので納期を守る点では優秀である。コメントはイマイチであろう。 私への依頼は特定の研究手法に関わるものがほとんどであって、テーマとかよりも方法論の指摘に終始する。 誰がどのよう

          査読の依頼が多い

          とあるリハビリテーション科専攻医が専門医になるまで

          リハ医のキャリアパスが分からないという話をよく聞く。 自分も学生や研修医の頃にネットの中でリハ医の生態を探していた。 あの頃も情報はほとんどなかったが、今でも状況は変わらない。 誰の参考になるかは分からないが、ここまでどういう道だったかは振り返ってみる。 個人情報満載なので後半は有料記事にした。 1年目(駆け出し) 幸運!?にも、自分の母校にはリハ医学の講座があった。 特に迷うこともなく、自分の出身校の医局に入った。規模としては大学病院に勤める医局員は10数名おり、レジ

          有料
          300

          とあるリハビリテーション科専攻医が専門医になるまで

          研究環境

          あれこれ (実は、今年度で大きな異動となる。この話はいずれどこかで書こうと思っている。それに伴い、今行っている研究たちを手放すことになり、若干の勿体無さと多くのため息が生じているのでここにその想いを記そうというのが今回の裏テーマである。) 現職について、16本/3年の論文に携わってきた。半数は筆頭著者である。 たまに「どうしてそんなに研究してるの?/できるの?」と聞かれるので、私の研究環境をざっと説明する。 ただし、あくまで自分の業界の中では書いてる方かもしれないが、私

          リハ医は一人前になるのが早い?

          最近、ネガティブなことばかり書いていたのでたまには別の視点から考えよう。 リハの専門医のメリットの一つには「一人前になるのが早い」という言説がある。この書き方で今日も不穏が始まるのである。 * はじめに 多くの批判はあるかもしれない。覚悟はしている。 リハ病棟でリハ医をやるのはそこまで難しくない。 回復期リハで1人のリハ医が年間担当する患者数は100名前後が標準的だと推定している。常時20名の入院患者で週2人新規入院を受け持つと仮定した場合だ。専門医の資格を取得するま

          リハ医は一人前になるのが早い?

          リハ医のバイト

          リハ医は稼げるのか?永遠の課題である。 経験を基に、どのようなバイト先があるのかを振り返る。 設定:医局からの非常勤バイト(半日 or 1日) 1. 病棟管理 リハ病棟や療養病棟で病棟の管理をする。定期処方や発熱患者への対応、新規入院患者を取る、リハ総・目標設定等支援管理シートの説明である。 スキルはさほど求められない。稀に、常勤医師に頼みづらいことを非常勤に全振りしてくるところもあるが、「分かりましたー」と言うだけで高ポイントになる。常勤医師の態度が悪いほど仕事が増え

          リハ医のバイト

          人前で話す

          ここ最近、人前で話すことが多い。 正確に言えば、パソコン前だが。 学会発表は大体7分前後で終わる。しかし、当領域はほとんどと言っていいほど質疑応答が盛り上がったことがない。 そのため、言ったら言いっぱなしで終わる。 得てして、予演会の方が厳しい。 特に、コロナ禍の間は研修医で学会発表をする機会があった人は少ないと思う。本当は研修医の頃にそういう機会があるとまた臨床の視線が変わるのかもしれないとは感じる。でも、いろいろ制約があったから仕方がない。 どんな発表でも何回も何回

          リハ医のめんどくささ

          これまた, 突拍子もない話題だ. リハ医はとても面倒だ. 何をするにも多職種での議論からの意思決定, 拗れる患者・家族との出口のない話し合い… しばらくやって思うが, なんともすっきりしない医療である. 特に達成感はない. 手術とかであれば「お疲れー」的なムードもあるだろうが,リハ医療には達成感はない. 少なくとも私には. 正直なところ, 各科から転科してきた医師たちもたくさん見てきた. 昔は想像もしてなかったが, 転科の先生たちは早めにいなくなるパターンがある. そう

          リハ医のめんどくささ

          おやすみプンプン

          浅野いにおの「おやすみプンプン」がすごかった. 年に数本, とんでもない化け物作品と対峙する. その度に「人生は素晴らしい」と思える. しかし, この作品は「人生の素晴らしさ」を問うものではない. 限りなく壮絶な鬱漫画である. ** プンプンに掛けられた呪いは誰にも身に覚えがあるだろう. たぶん, 私もまだ呪いに掛かったままである. そして, その呪いは私も誰かに掛けたことがあるのかもしれない. 人は人と何かしらの相互作用を示し, 良くも悪くも傷がつく. それでも人

          おやすみプンプン

          論文10本超えた

          ついこの間, 2年かかった論文がようやくpublishされた. Researchmapを更新しようと思い, 眺めると, 筆頭論文10本目だった. 症例報告もいくつか含むし, PubMedで見れないのも, 和文のもあるけど, 筆頭で書き上げたものがようやく10本になったのはちょっと感慨深い. と同時に, 10本書いても全然分からんなーとも感じる. ++ 次は, 本を書きたい. テーマは決まっている. そのためのネタ作りでこの散文も続いている. 目的はしっかりあるのである

          論文10本超えた

          Corresponding authorの役割?

          常々思う, 「Corresponding authorってなんの責任を取るの?」って話. 原稿を書いて, 共著者の確認を取って, 投稿用のサイトからCover Letterやらなんやらをuploadして, 最後の承認用のPDFを隅から隅まで確認して, 送信ボタンを押す. 基本的には, 自分が筆頭のものはぜんぶ自分で行なっている. その後の校正までもぜんぶ転送で飛んでくる. まぁ, 別に良いのだが. 論文投稿でいえば, これだけでも誰かマニュアル本を書いて欲しい. 研究不

          Corresponding authorの役割?