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【うた#9】「初めましての恋」

初めまして 私はあなたに恋をした者です
笑顔を名刺代わりにして 春が始まる

目覚まし時計よりも早く
目覚められた特別な朝
どこまでも羽ばたいていける
そんな気がした

駅の自販機で買った水
手を離れて転がっていく
プラットホーム 時間が歪む
風の果て あなたがいた

初めましての気持ちが この心臓から発車した
胸の中に響く鼓動のベルを合図に あなたの元へ
初めまして 私はあなたに恋をした者です
笑顔を名刺代わりにして 春が始まる

散りゆく未来のこと 寂しく思わないよ
咲いてる今が綺麗だから 
あなたに出逢えたから 輝く今があるから
明日も会えるといいなって 青空に祈った


――――――――――


初恋は、どう定義できるだろう?
初めて好きになること、
初めて好かれること、
初めて付き合うこと……?

小学生のときに付き合っていた子がいた。
恋人というより友達の延長線上の関係で、
1年以上付き合ったけど手を繋いだ記憶もない。
それでも頻繁に手紙のやりとりをしていたし、
一緒にいて楽しかった。
小学校卒業をきっかけに自然と消滅した。

中学生のときに自分から好きになった子がいた。
よく話すし、よく一緒にいたけど、
気持ちを渡したときに、優しく破られた。

前の恋がどうとか、どうせいつか別れるとか、
過去や未来のことを言い訳にして、
今の気持ちに素直になれないことがある。

でも、
どんな過去も
思い出色に染まったら輝くものだし、
未来を憂えたことで
今の幸せを取りこぼしてしまったら
いつまでたっても幸せになれない。

たとえ散りゆく未来があったとしても、
また春が来れば花開く桜のように、
新しい関係が始まることもある。

実際、
大学生になってからそれぞれと再会して、
思い出話を肴に飲み語り合った。

初恋をしたときのように、
真っ新な気持ちで、
今ときめく方へ発進すればいい。

何度目だろうと、
次の相手とは初めましての恋。

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