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外国人観光客にとって日本の「大相撲」はどこが面白いのか考えてみました

両国国技館で大相撲初場所を観戦してきました。

3年前から大相撲のチケットがネットで簡単に取れるようになったので東京で開催される本場所(1月、5月、9月)は毎回見に行くようになりましたが、今回はいつもよりも外国人観光客の姿が目立ちました。

見たところ国技館にいる観客の1割強が外国人観光客という感じで、多くは欧米人の方々ですが、中東系やアジア系の方もいらっしゃいました。

昨年9月あたりから水際対策が緩和された影響もあるかと思いますが、調べてみると以前から大相撲観戦が外国人観光客に大人気のアクティビティであり、それがようやく元に戻ったということです。

ちなみに外国人観光客向けに「大相撲観戦ツアー」なるものがありますが、結構なお値段にも関わらず今場所に関しては既にほぼ完売です。
(通常5000円の席が通訳ガイド付きで13000円です)

さてこの大相撲の面白さを日本人に説明しようとしてもなかなか難しいのですが、それがなぜ言葉も文化も異なり、予備知識もほとんどない外国人を引きつけるのか?

相撲のことを何も知らない人の気持ちになって考えてみると、個人的には「わかりやすい」と「訳がわからない」の両立が外国人から見た相撲の魅力ではないかと思っています。

まず相撲の「わかりやすい」部分から挙げてみますとこんな感じです。

ルールがシンプル

相撲の勝ち負けは至ってシンプルで、土俵の外に出るか、足の裏以外の部分が地面に着けば負けなので初めて見る人でもわかります。

これが柔道になると今の技は「一本」なのか「技あり」なのかは素人には判断しにくいし、わざわざ説明してくれません。

更にボクシングのように勝敗に「判定」がある競技だとどっちが優勢かは素人にはまずわかりません。

見た目のインパクトが個性的

世界中に様々な格闘技がありますが、相撲ほど見た目が「奇特」な格闘技はありません。

まず「力士」の見た目のインパクトが強烈で、江戸時代のような「まげ姿」もそうですが、身につけるものは「まわし」だけでほぼ裸で戦います。

ちなみに「力士」は「太っている人」と思われていることがありますが、両国駅でお相撲さんに遭遇するといわゆる「太っている人」とは全然違うことがわかります。

ちょっと乱暴な絵ですが、イメージはこんな感じです。

体重が常人の2~3倍にもなるので、動物園で「虎」や「熊」を見るような感覚に近いものがあり、戦ったら絶対勝てない自信はあります。(その前に力士にケンカを売る気すら起きないぐらい圧倒的な存在感はあります)

そのほかにも行事の装束や様々な所作など、とにかく見た目のインパクトが強いので初めて見る人にとっては興味をそそられます。


一方で相撲には「訳がわからない」ところがたくさんあります。

まず「勝負を始めるタイミング」が初めての人には訳がわかりません。

通常の格闘技のようにゴングが鳴るわけでもなく、互いの呼吸を合わせて立つので初めて見る人は「いきなりぶつかったぞ!」とビックリすることがあります。

他にも土俵上は女人禁制など”宗教的なタブー”も数多くあり、「なんで?」と言われても「それが伝統だから」としか言えずうまく説明できないことがたくさんあります。

そのような相撲界の訳がわからない”伝統”がときどき負の部分として現れることもありますが、外国人にとってはそういう「訳がわからない」ところが却って「神秘的」に見えるのかもしれません。


「わかりやすい」と「訳がわからない」は相反する要素ではありますが、人間もこれといった欠点のない「普通の人」よりも長所と短所が際立っている「クセが強い人」のほうが魅力的だったりしますので、あえて矛盾を抱え込んだほうが唯一無二の魅力につながるような気がします。

最近は何かと「日本人は個性がない」と言う人もいますが、日本の伝統文化である大相撲が世界的に見て「個性的すぎる」のは確かであり、それが文化の異なる相手を引きつけるのであればどんどん自分たちの個性を表に出しても良いかもしれません。

以上、大相撲を観戦した個人的な感想でした。

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