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【新作童話】ディセンダント/後編

神は間もなく裁きを与える。
それは心と言葉と行いであり、風は見えなくとも
風車は回る。音楽は見えなくとも心に響くように
それは人間の後ろにいつでも着いて来るものだから。
星が落ちて月が流れる頃、神は現れたーー。

数時間前ーー…
「死亡通知書」
アルタイルに渡されたのはその一枚の紙でした。
突然その事実を知ったアルタイルは暴れ出して、
高次の人々の中にも私どもで言うような
ポリスのような係の者がおりまして、その館へ
連れられたアルタイルの元へ、保護者として
ナビが駆けつけました。

「ナビ、俺死んじまったのか?無になっちまったのか?」

「無?無になんかならないさ!
魂は永遠だもの!!
人はみんな死んだら青い蝶になるの。
そしてひとつの青い照明を創る。
その照明は人々の心を照らし、
希望を与えるの。それは
僕らが望んだこと。僕らが決めたこと。
君がこれから決めること。」

「だけど、信じられないんだよ!せめて本当か
確かめられたら…」

ナビはフーと息を吐いたかと思うと、
「仕方ないな、宇宙預金も貯めたいし…
“時間戻しのクロノス”(時計)を
使う日が来るとは…」

時間戻しのクロノスとは、時空をいじくることで
時間を戻すことの出来る時計のことで、
ナビが宇宙預金を貯めて手に入れた
ナビのオプションです。

「ナビ!タイム・リバース(時間逆行)モード!!」


突然、アルタイルとナビの天地が逆さまになりました。リバース、つまり2人は
逆位置になったのです。

南中点にあった太陽がすっかり海に落ちた
あの日に2人は戻っていました。夜勤のアルタイルはせっせと星の乳をタンクに積んで、その光に
酔いながら、そして急に頭に血を昇らせて
エンコーダーをばらばらに床に落としつけてやりました。

「全部あの星のせいだーー‼︎‼︎」

するとアルタイルはドクンと左胸に手を
当てて、泡を吹きながら倒れてしまいました。

心臓発作でした。

そしてそのまま夜が明けた頃、明朝にやって来た
天空台の所長が慌てて通報しましたが
既に死亡した後でした。

タイム・リバースの早送りモードで
その後も確認しましたが、
やはりもうアルタイルは亡くなったのでした。

うなだれるようにしたアルタイルはポツンと、

「ナビ、甦ることは出来ないのか?」

私どもは生まれる時それぞれに
出生図(ネイタル)というホロスコープを持って
生まれてくるのですが、宇宙というのは実は
それぞれの速度で公転し続けています。

ホロスコープという平面では惑星たちは
12ハウスの中をぐるぐる回っているように
見えても、実際の宇宙は銀河の中を太陽系ごと
猛スピードで回る訳で、二度目、三度目に戻って
来る時には宇宙空間の中では同じ位置ではないのです。

星は螺旋階段を歩いているという訳です。

ですから、私どもの持って来る
出生図(ネイタル)は、宇宙空間の中では
一度だけの星との約束なのです。

何億年後も、全く同じホロスコープなんて
無いのですから。

「ホロスコープを返してもらえなきゃ、
甦ることは出来ないよ。だって僕らは
ホロスコープの元に生まれてきたんだもの。」

アルタイルは、このディセンダントへ
やって来たガイド、そうグリーン・ブライトが
空に流れた瞬間、目を瞑って祈りました。
俺を生き返らせてほしいと。

目を開けた時、そこには神がいた。
神は裁きを与えた。
「愚者0」のカードを与えた。

星も神も、そんな祈りは叶えなかった。
自分のための祈りなど、叶えるはずもなかった。

しかし、愚か者と呼ばれた者は諦めなかった。

彼には、もう一つ、たったもう一つだけ
まだ出来る事が残されていたのだから。

アルタイルは、その身から、ミントグリーンの
光を放って、この大宇宙(ホロスコープ)の中を
駆け抜けて行きました。

「ウーッシッシッシッシッシッシッシッシッシッシッシッシッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

光速で自身の身が擦れる度、
痛くてそんな不思議な声を放ちました。

そして流れながら、こう祈りました。
妻と娘を生き返らせてほしいと。
流星が自身に祈り、流れました。

そして、また神が現れた。
神は「世界21」のカードを与えた。

そのカードの中から、光が現れて
星は出生図(ネイタル)をベガとチューリップに
与え、その2人は地球という星に甦るのでした。

どうせ、星に捧げた命だもの。
俺は、あの時乗った流星に祈った。
毎日、毎日、仕事帰りに見た流星に祈っていた。

「元気で、可愛い子が生まれてきますように。」

チューリップ、父さんが恋しくなったら、
星を見るんだぞ。星は永遠に回り続け、
世界に影響を与え続ける。
そしてその灯りはひとつの青い照明になって、
人々の心に灯りを灯し続ける。

空には星が、胸には誰かが。
あなたがその人を、忘れない限り。

〈完〉

審査員の先生方、読んで下さいますように…!

PS
最後までお読み頂きありがとうございました☺️
アルタイルもベガもチューリップも喜んでいます。
ご感想頂けますと、励みになりますので、
是非よろしくお願い致します🥺
リクエストも受け付けますので、
読んで下さった皆さま、是非ぜひ❣️
コメント残して下さると嬉しいです🥺
(フォローして尚且つコメント残して下さった方は
フォロバ返しておりますよ〜❣️🥺)

来週は少しお休みして、

今月22日は詩の更新をします❣️

その後の更新予定日は詩の更新の度に載せます❣️

ただ今絶賛新作童話を描いています!
今後のモチベーションになりますので、
是非ぜひ皆さまコメントお寄せ下さい❣️💕🥺
もしかしたらコメントのおかげで早く新作童話が
完成するかもしれませんよ〜❣️🥺

それでは、いつもご閲覧ありがとうございます❤️
それでは、22日にお逢いしましょう❣️

六花💌

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