小林竜二【URA・TTO】

【活動分野】大学技術移転(URA・TTO)のあれこれについて記事にしております。 【免…

小林竜二【URA・TTO】

【活動分野】大学技術移転(URA・TTO)のあれこれについて記事にしております。 【免責事項】記事の内容は所属組織とは一切関係のない個人的見解であり,所属する/した組織のいかなる営業秘密等を含みません.

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  • 大学技術移転業界のあれこれ(URA・TTO)

    University Research Administration(URA) / Technology Transfer Organization(TTO)に関する記事をまとめています.

最近の記事

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知的財産価格設定 -大学技術移転現場への適用-

はじめに 記事の内容は全て、下のPDFと同じ内容です。PDF版の方が読みやすいかもしれません。  また、本手法に基づいて、パラメータを記入していくだけで知財価格算定が完了するエクセルシートを作成しています(最下部、付録ご参照下さい)。ご興味の方には提供可能ですので、お問い合わせください。 序文 本レポートは、大学から生まれた知的財産権の売買やライセンスを行う大学技術移転業務に従事する者が適切な取引価格の設定を行えるよう、実践的な知財価格設定手法をまとめたものである。本レポー

    • 【産学連携と技術移転の話】インバウンド営業とアウトバウンド営業

      はじめに 前回の記事では、我々技術移転担当の「商材」となる発明を、発明自体の特性から日々の活動の方向付けを目的に分類してみた。  今回は、技術移転の契約に至るルートを「インバウンド or アウトバウンド」というマーケティングの概念を通じてみてみようと思う。そのうえで、ルートの成果に影響するドライバー毎に施策に触れてみる。 おお、何かそれっぽい。 技術移転に至るルートの整理 まずは下の表を見て頂きたい。技術移転契約の相手方は、製品・サービスを提供している企業になる訳だが、こ

      • 【産学連携と技術移転の話】技術移転対象の発明を整理しよう

         技術移転現場では色々な発明を扱うことになる。良い表現かどうかはさておき、技術移転担当者にとっては発明が商材となる。研究者のおかげさまで日々商材が生まれている訳だが、ストックされている商材をしっかり整理・把握せずにいるのは良くないし、場当たり的に目に入った発明だけを積極的に扱うというのはあまりにも雑だろう。  ということで今回は、技術移転担当者が日々の活動を方向付けられるような分類を考えてみた。あくまで私が日々業務を行う上で使っている分類でしかないが、なんとなくフワっと仕事を

        • 【産学連携と技術移転の話】技術移転担当者としての個人売上目標を考える ~AUTM Licensing Surveyをベースに~

          はじめに 今回は、米国の技術移転機関の最大の業界団体、AUTMが発行する「AUTM Licensing Survey 2022」を読み解きながら、これをベンチマークとして技術移転担当者(=ライセンス・アソシエイト)の個人売上目標について触れてみた。個人的には、技術移転には①大学発技術の社会実装という公益的目的、②TTOとしての利益の追求という私益的目的の二つがあると考えており、今回は②のみに着目した一面的な記事であることをご容赦頂ければ幸いである。  まず、同サーベイのデー

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        知的財産価格設定 -大学技術移転現場への適用-

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        • 大学技術移転業界のあれこれ(URA・TTO)
          12本

        記事

          【産学連携と技術移転の話】共同発明の取り扱いに決着をつけたい

          はじめに  企業と大学で共同研究の成果である共同発明の取り扱いを協議する場合、双方の立場の違いから主張が嚙み合わず,その条件決定は難航することが多い.この点については既に様々検討や議論がなされて論文化されたりしているのだが,実はこの問題,現場レベルで見ると本当に真剣に考えている人は稀だと思っている.実際,同業界の人々とこの話題についての議論を何度も試みたが,「大学と企業は立場が違う.大学の立場を理解・尊重してもらうように頑張る」という思考停止な論しか出てこなかった.そんなのは

          【産学連携と技術移転の話】共同発明の取り扱いに決着をつけたい

          【産学連携と技術移転の話】営業とマーケティング②

           今回は、「大西晋嗣(2017), 関西 TLO の目指す産学連携, 産学連携学Vol.13, No.2, 2017」を拝読しての感想文を書いてみます。自分事でもあるため過熱してしまい、各方に失礼な箇所もあるかと思いますが、ご容赦下さい。また、初めに申し上げると私はTLO側の人間なので、そちらに偏った(むしろそちらに厳しいような?)ものになっています。  いつもながら、感想文といいながら、どんどんと本(論文)の内容から離れていくことがある点、ご容赦下さい笑。 【免責事項】記

          【産学連携と技術移転の話】営業とマーケティング②

          【産学連携と技術移転の話】発明の質と営業

           今回は、技術移転目線での発明の分類とそれに基づく営業方針について思った切り口を雑文にて。  まず、技術移転の基本形とされる『研究者から発明が生まれる→それを営業しに行く』という業務フローを考えたときに、その発明を、発明が生まれた際の「事業化までの計画の明確さ」と「技術の注目度」の2軸で切ってみる。 ①導出計画が不明確 × 技術の注目度は高い  技術移転担当者冥利に尽きる発明。発明者としては明確にどこの企業といつまでに何を作る、といったところまで検討出来ていないが、明ら

          【産学連携と技術移転の話】発明の質と営業

          技術移転業界のキャリア -海外有力機関を調査 -

          はじめに 本記事では、米英の主要TTO(技術移転機関)であるOxford University Innovation、Cambridge Enterprise、Stanford OTL、Harvard OTDの4つのTTOのメンバーの過去キャリアを調査・分析し、Findingを得ようと試みた。後述の通り分析の精度の問題はあるものの、ある程度の示唆は得られたのではないかと思い、第一弾として記事にしたものである。同じテーマで深堀調査を行うと、さらなる気づきが得られる手ごたえも感じ

          技術移転業界のキャリア -海外有力機関を調査 -

          【産学連携と技術移転の話】営業とマーケティング①

          読書感想?と書籍紹介  ファミリービジネスのための産学連携のススメ,という本を読み,頂いた刺激と視点を元にした読書感想としての記事です.毎度のことながら,読書感想といいつつ自分の言いたいことを書いているだけになっていて,感想内容と本の内容が乖離している点,ご容赦ください笑.  この本は,産学連携を成功(=企業の技術と大学の技術を融合したユニークな製品の開発と上市に成功)した経営者と,その経営者と大学の仲人として活躍したコーディネーターが活動について語っている本です.ファクト

          【産学連携と技術移転の話】営業とマーケティング①

          技術移転担当者(URA・TLO)の推薦図書

           この記事ではURA/TLOへの推薦図書をまとめてみました。この分野に限らず、大学をクライアントにする案件や大学の先生を参与やアドバイザーとして迎え入れるような案件を担当している企業等の皆さんにとっても、いくつかについては有用なものではないかと思っています。   以下で,下記5分野についての推薦図書をご紹介します。 大学の経営について 技術戦略について PMOについて Valuationについて 知的財産について 大学の経営について  URA/TLOの仕事は、そ

          技術移転担当者(URA・TLO)の推薦図書

          URA TLO 新規案件アサイン後のキャッチアップ方法

           URAやTLOの業務では,自分が全く知らない技術や業界の案件にアサインされることがありますよね。しかもアサインからすぐに稼働するようなケースもあり、「は?そんな短期間でクライアント(研究者や企業人)と話できるようになる訳ねえだろ」と思いつつも、URAやTLOたるものこの場合でも第一回の打ち合わせから専門家と喧々諤々議論が出来ることが期待されています。  URAやTLOの業務で少々特殊なのは、カウンターパートが教授や研究員等、大学の研究者であることです。このため、業務内容的に

          URA TLO 新規案件アサイン後のキャッチアップ方法

          コンサル必読 業界動向把握手法 -特許文献の利用法-

           今回は、特許文献は業界動向のさわりを簡単に把握するのに使えるよ、という話をします。  特許文献を読み慣れている人にとっては、こしあんよりも粒あんの方が美味しいよ、というくらい当たり前の情報しかなく、物足りないと思いますがご容赦ください。    この記事には具体的な作業ステップを記載しており、すこし間延びしてしまいましたので、結論を先に書いておきます。 結論:特許文献から得られる業界動向の一例 前提知識:特許は発明のご褒美ではなく技術発展のためにある さて、あまり今回の記

          コンサル必読 業界動向把握手法 -特許文献の利用法-