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研究の手前

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『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とその周辺作品についての備忘録
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良くも悪くも本音で過ごしてきたので、隠されたものに弱い。

物語についても、文字で示されたものだけを受け取っていた…のかもしれない。

メタファーのしくみをより理解しただけで、隠されていたものが姿を現す。そして以前のようには物語を楽しめないこともある。

ステレオグラムのようだ。

日曜日に『街とその不確かな壁』を読み終えてしまった…。

少しずつ読んでいたのは第一部だけで、あとは一気に読んでしまった。

何日か経ったが、なんとも言えない気分だ。

物語を読んでいたはずなのに、なぜか現実世界の仕組みが透けて見えていたような気がする。

もう一度読む。



『街とその不確かな壁』を少しずつ読んでいる。

昨日、第一部を読み終えた。

もう一度読み返してから進むか、そのまま第二部へ進むか、思案中。

案内人と一緒に、物語の世界に入り込んでいるような感じだ。

時々、何かを発見した気になって、ひとしきり一人で盛り上がるのがとても楽しい。

『街とその不確かな壁』を、一日ひとつずつ読んでいる。

ブレーキをかけつつ、読んでいる。

読んではいけないものを読んでいるような気もする。

私が私なりに辿り着こうとしているものが、ここに書いてしまっているのではないか…。

けれど、もう、止めることはできない。少しずつ、読む。

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が好きだ。

その中で「影」の存在を考えることが多い。

よく「光と影」と言うけれど、影は光から生じるもの。
古語では「影=光」だったりする。

そうすれば、光と対になるのは闇。

『ゲド戦記』にも、光と影と闇が出てきたな。

ちょっとした移動時間に、ついに読み始めてしまった。
『街とその不確かな壁』を。

一行目から、くらう。
読み進めるにつけ、悶える。

いつもなら早く結末を知りたくて一気に読み進めるところだが、今は少しずつ味わい尽くしたいと思っている。

あくまでも、今は。
先のことは分からない。

あぁ、どうしよう。
村上春樹の新作のタイトルを知ってしまった。

長編小説が発表されることは知っていたが、あえて、知らんふりをしていた。

『街』とか『壁』とか。
「決着をつける」だとか…。

少しずつ解いていこうと思っていたのに。

でも。
そんなの読まずにはいられないよな。

影

今日『ダンス・ダンス・ダンス』を読み終えた。

何度か読んでいるけれど、前に読んだ時よりも好きになっていた。
なんとなく、他の作品よりも好きになれないというか、読み返す回数が少ないものだった。

この作品でも、やはり「影」が出てきた。
影が気になって、読み返している…というところもある。

今日少しだけ図書館で過ごした。
心理学の本を読んでいると「影・シャドウ」について書かれていた。

これまで「

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『       』

『       』

最近すっかり村上春樹初期作品のとりこになっている。

そして、しばらく聴いていなかった佐野元春の曲を昨日から聴いている。

佐野元春は、中学生になる頃知った。
中学、高校の頃、ずっと聴いていた。

久しぶりに聴くと、村上春樹の小説と重なる部分があるなと思った。
私は、こういう感じが好きなんだな。

今朝、歩きながら思い出した。
中学の卒業文集のことだ。

私の中学では、一人ひと言ずつ紙に書き、それ

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絶望と自由とビール

絶望と自由とビール

『風の歌を聴け』を読んだ。

面白かったけれど、何度も再読したいけれど、所々引っかかるところがあった。

インターネットで検索してみると、いろいろな人が考察していた。
「なるほどな」と思う。
私が漠然と思ったり感じたことを、しっかりと形にしている人がいる。
すぐに答えを知りたがる私は、つい検索してしまう。

何人かのサイトを巡って、自分の中で考える。
そして、もう一度読んでみようと思ったけれど、『

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僕と鼠と羊

僕と鼠と羊

昨日『羊をめぐる冒険』を読み終えた。

面白いか、面白くないかといえば、とても面白かった。

最後は、本当に羊をめぐる物語だったけれど、冒頭の話も私は好きだ。
死んでしまった女の子と、去って行った妻。
耳の彼女が登場し、羊や鼠が出てきてからは冒頭部分の印象が薄くなってしまったけれど、振り返ると気になる。

ピクニックについてのエピソードも良かった。

とりあえず、本棚に『風の歌を聴け』があるから、

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山辺の羊

山辺の羊

『海辺のカフカ』をもう一度読もうと思って読んでいた。

なんとなく本棚を見たら『羊をめぐる冒険』があったので、手に取った。
読み始めた。
何度も読んでいるので、ぼんやり覚えているけれど、とても新鮮だ。
旧い友だちに会ったようだ。

いちいち、気づかされるなぁ、と思う。

以前、読んだときの私は私で、そのとき感じられることを目一杯感じたのだろう。
今回読んでいる私は、きっとその時以上に物語からいろい

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絵と風

絵と風

「海辺のカフカ」を再読した。

こんなにも「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」とつながっているとは思わなかった。
20年前に読んだときは、気づかなかったし、今ほど思い入れもなかった。

物語の中に、『絵』と『風』が出てくる。

『絵』は変わらないもの。
『風』は変わりゆくもの。

真理と変革。
原形と変化。
幹と葉。

軸となるものを持ちつつ、移ろいゆくものにも関心を持つ。

そのことが

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海辺の

海辺の

カフカについて。

発行された頃、単行本で買って、読んだ。
ひどい風邪を引いて治ってきた頃、アパートのベッドで読んだ。
なんとなく面白くて、何度も読んだ。

最近、海辺のカフカについてのあれこれが目につくので、また気になり出した。
調べると、もう20年も前の作品だ。

3年前に引っ越した時に、主な単行本は手放してしまった。
海辺のカフカも手放した。
けれど、どうしても読みたくなって、また購入し、昨

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