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●「次回は、午後3時はいかがですか?」
□「それだと帰りが暗くなるので、もう少し早い時間は空いていませんか?」
●「暗い道を歩いて帰るわけではなく、家と整体院の間は車で送迎しますから、玄関前に着きますよ。暗くなったら何か支障あるんですか?」
□「暗くなる前に雨戸を閉めなくちゃいけないので」
●「帰ってからでは遅いんですか?」
□「別にいいんですけど、できたら暗くなる前に閉めたいんです。」
●「じゃあ、出る前に閉めてくればいいんじゃないですか?」
□「それでは時間が早すぎるんです。」
●「一人暮らしですよね?」
□「はい」
●「3時に出かけると、あとは誰も残らず留守になるんですから、防犯のことを考えても、出かける前に閉めた方が安全だと思いますけど?」
□「それはできないんです。」
●「どうして?」
□「明るいうちには閉めたくないんです。」

これはある80代の女性との会話です。私の整体院では、ご自宅との間を無料送迎しています。玄関から玄関まで、ほとんど歩くことなく通院していただけるのが魅力です。ただ、時間を決める時に制約が厳しく、融通が利かない人が多すぎます。

この人は「朝10時では早すぎる」「暗くなってからは出かけたくない」と言われるので、昼の短い時間から選ぶしかないのです。たまたま昼の時間帯が詰まっていると、ずいぶん先にしか予約を入れてもらうことができなくなります。また、別な人との会話はこんな感じです。


●「朝11時はいかがですか?」
□「それだと、12時に帰れないので無理です。」
●「12時に何かあるんですか?」
□「主人のお昼ご飯を作らないといけないので。」
●「30分くらい遅れるのはダメなんですか?」
□「はい、12時きっかりにご飯が出てこないと機嫌悪くなるんです。」
●「じゃあ、午後2時はいかがですか?」
□「それだと、3時のおやつに間に合わないので、ちょっと無理です。」
●「では、4時はいかがですか?」
□「晩ご飯の支度がありますので無理です。」
●「夜は?」
□「絶対出れません。」
●「ということは、朝10時しか無理ということですか?」
□「はい。」
●「ピンポイントですね~!」
□「でも病院行く時もありますので、いつでもいいわけではないんです。」
●「そういう時は、ご主人さんのお昼ご飯はどうされるんですか?」
□「作りに帰ります。」
●「作り置きしてレンジで温めてもらうのはダメなんですか?」
□「ダメです。そういうのは受け付けない人なんです。」
●「束縛されてますね?」
□「長年こうやってきましたから、これが普通です。主人には感謝してますので。」

この人は、朝10時しか無理な人です。80代女性、ご主人と二人暮らし。束縛されているというより、奴隷と感じることがとても多いです。施術中にもいろいろお話聞きますが、まったく自由はないみたいです。そもそも自由が欲しいと思ったこともないそうです。趣味なし、やりたいこともなし、夢もありません。可哀そうになりますが、これがその人の人生です。


今回ご紹介した二人は特別な人ではありません。70歳以上の人は、夫婦の形に違和感を覚えることがとても多いです。ただ、夫婦の数だけ形があるのだと言われればそれまでです。私は夫婦生活がイヤになって、3年で離婚した身です。一人暮らしの方が楽だし、自由です。

高齢になってから、生活スタイルを変えることはきっと難しいことでしょう。だからそうなる前に、生活習慣を変える必要があると思います。変えたいと思わない人は変える必要がないかもしれませんけど・・・。

高齢者と話をしていると、「固定観念に縛られ過ぎている」と感じることが多いです。ちょっと縛られている程度ではなく、ガチガチです。「あ~、そうなんだ~・・・」「そんな考え方もあるのね」と、いったん受け入れる気持ちを持つと、心が広くなると思います。気持ちのゆとりも生まれることでしょう。ガチガチになる前に、変えることができるところは変えた方が将来が楽になると思いますよ。

だって、「こんな夫婦になりたい!」と思えるご夫婦に出会ったことがないですから。


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