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本棚から1冊抜き出す。

「モロッコ革の本」 栃折久美子

留学記が好き。知らない人が外国に行って、知らない文化や生活様式に、あたふたしつつ適応していく話を読むのが楽しい。きっと書いている方も楽しいんだろうな。あんな人と、あんな会話をしたな…とか、あの人元気かな…とか思い出しながら書いているに違いない。

この本はルリユール(製本)を学ぶために留学した栃折氏の回顧録のようなもの。福知山の古本屋「モジカ」で見つけて買った。モロッコ革ってなんでしょ、とタイトルだけで手にとった。革を扱う仕事をしているので脊髄反射に近かった。ルリユールというのも僕には全く見慣れない言葉だった。製本というが、この本を読んでもあまり想像できない。ただ、細かい作業で神経を使うことだけは分かる。

この本は表紙が装丁が面白い。おそらくだけど、栃折氏が現地で描いたルリユールに関するスケッチが印刷してある。読んでもあまり分からないのが、個人のスケッチという感じがしていい。旅行記のメモやスケッチはなんであんなに楽しいんだろうか。自分も現地にいる感覚を味わえる。僕も書いたりしましたが、絵がド下手なので文字のみでした。上手に絵が描ける人が羨ましい。

留学記というくくりでいけば「フィンランド語は猫の言葉」も面白い。これはもう超有名な本。ニーン、という言葉が猫の言葉のように聴こえるという。フィンランド語なんて聞いたことないのでどれほど猫語と近いのか分からないが、猫の鳴き声を聞くたびにフィンランドを思い浮かべるようになる。こうやって異国が身近になっていくのかな。

フィンランドはすっごい遠い国な気がしますけど、隣の隣の国です。ロシアという雪原を挟みますけど。

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