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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと

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連載の小説。三十歳になったぼく。大学時代を振り返る。 亮介さんは、大学の先輩。クセの強い、変わり者。 あおいさんも大学の先輩。海外志向の、ちょっとワガママな女性。 亮介さんとあお… もっと読む
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【小説】 「亮介さんとあおいさんとぼくと」が読みやすくなりました。

こんにちは。 雑賀千尋です。 お知らせです。 以前に書いた小説、「亮介さんとあおいさんと…

雑賀千尋
5年前
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「亮介さんとあおいさんとぼくと」についてのまえがき兼あとがき

こんにちは。雑賀です。 第1話はこちらです。 「亮介さんとあおいさんとぼくと」が完結しま…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 1/30

《三十歳をむかえて》 三十歳になったいまでも、人生の意味とか、生きる意味とか、生きる価値…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 2/30

「亮介さんは、大学生のころに戻りたいっておもいますか?」 とぼくは聞いた。 「おおん、そ…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 3/30

「日下部、きみはむかしの方がよかったとおもうかい?」 と今度は亮介さんから聞かれた。 「…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 4/30

ふと気がつくと、鳥貴族には亮介さんとぼくしかいなかった。 テーブルに残っているのは、空の…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 5/30

《2 メーン》 「メーン」 スマホからはそんな声がたしかにした。聞きまちがいではない。酔っぱらいでもない。はっきり言って、まともではない。 けれど彼にとっては、これが人に声をかけるときの作法なのである。気をつけなくてはならない。 亮介さんという男は、元来そういう人間なのである。ごくふつうの人間にとって、「はい」「ええ」「そうですね」といったことばが「メーン」「ハーン」「おおん」という言い方になってしまう。 摩訶不思議。意味不明。 かんたんにいえば、彼は変人というこ

【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 6/30

《3 亮介さんとの出会いは》 亮介さんとはじめて出会ったのは、大学生のとき。突拍子もない…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 7/30

《4 亮介さんと丸田屋のラーメン》 丸田屋のラーメンは、とんこつしょうゆラーメンである。…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 8/30

《5 そしてドバイへ》 最寄駅から電車で関西空港にむかう。その日は、快晴で、申し分ない天…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 9/30

それにしても、あおいさんというのは、およそ、まともな神経をしていない。 日本で英語なんて…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 10/30

まだ秋も深まる前、これは夏じゃないかと、気圧配置に文句をたれているころ、あおいさんのドバ…

雑賀千尋
5年前

【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 11/30

となりの席では、大学の先輩と後輩とおぼしき二人組がいる。先輩が後輩に、生命保険の大切さを…

雑賀千尋
5年前
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【小説】 亮介さんとあおいさんとぼくと 12/30

ドバイというのは、アラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつである。日本でも、金持ちの国としてテレビで紹介されることがある。夏場は気温が五十度くらいになる。想像がつかない。 だが、ぼくたちがいくのは冬場のドバイだったので、二十度くらいで、けっこう過ごしやすいらしい。「地球の歩き方」に書いてある基本情報を頭にいれながら、関西国際空港からエミレーツ航空に乗った。 日本人はいくらかいたけれども、ほかには、アラビア人だったり、中国人だったり、インド人だったりした。 飛行機で、亮介