記事一覧
きのふの愛を捨てんとて/『少女ペン書翰文 鈴蘭のたより』(宝文館 大正13年)の最後の文章
正確にいえば、少女小説ではなく、「文例」なんですね。
だけど、その文例そのものが手紙文ストーリーになってるという……
引用↓。
***
先生私(あたし/以下同)は平安な微笑を思うて此のお話をお届けいたします。先生私は灯すころ河岸に沿うて家へと帰路に急ぎました。あの時、先生はまだ奥様と御いつしよに恐らくあのバルコンの上から私の後ろ姿を見送りながら何かのお話しに耽つてゐらしつたと思ひます。