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"歴史" 系 note まとめ

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2022年3月の記事一覧

おすすめnote(世界史&哲学)

今回のおすすめnoteは高校の世界史の先生でいらっしゃるデキン原人さんです。 * * * メイン・コンテンツは、ボケ&ツッコみの対話で展開される哲学漫才と世界史漫才です。元々は生徒さんたちのための副教材として執筆されたそう。怒涛の毒舌ギャグに圧倒されます。 読み始めた当初は「こんなに面白いのがいつまでも続くはずがない。そのうち失速するんじゃないか。失望したくないなぁ」と非常に失礼な心配をしていたのですが、まったくの杞憂でした。ずっと面白いままです。 膨大な知識をこれま

古代のタイムスケール、やばい。

最近の記事に何度も書いてしまっていることですが、明治維新から終戦と、終戦から現在が、同じ77年間なんですよね。 同じ時期の世界史の出来事を見てみると、 ・現在  ↓77年前 ・第二次世界大戦の終戦  ↓77年前 ・普仏戦争/南北戦争のころ  ↓77年前 ・フランス革命/アメリカ独立のころ というふうに、出来事間のタイムスパンの感覚がこんなものなのか、ということが何となく見えてきて、気付きがあります。 よく考えてみると歴史記述というのは、現在に近付けば近付くほど記述の密

博物館が考える、刀剣文化のつなぎ方

かつては「一家に一振」といわれた日本刀。ですが、今は日常生活から離れた存在になってしまいました。一部の愛好家や、居合道などの経験者以外は、刀に触れたこともない人がほとんどでしょう。 しかし、刀剣文化の灯を絶やすまいと、刀の魅力を発信し続ける人たちがいます。その一人が「備前長船刀剣博物館」の主任学芸員・杉原賢治さんです。今回は、杉原さんに刀剣文化を守り継ぐための取り組みについてお伺いしました。 武器ではない日本刀の魅力とは? ――備前長船刀剣博物館では、刀剣文化を後世に伝

浮世絵の象たちをご紹介いたします

現代人にとって、動物園やテレビで見慣れた動物である象。浮世絵にもしばしば登場するのですが、本来、象は日本には生息しない動物です。今回は江戸から明治にかけて象を描いた浮世絵をご紹介しながら、当時の人々にとって未知の動物である象が、どのような存在であったかも見ていきたいと思います。 北尾重政「江口の君図」寛政1~10年(1789~98)頃 絹本着色 一幅 白い象に乗るのは、謡曲『江口』で知られる遊女。『江口』は、西行法師が摂津国の江口で遊女と歌問答を行ったことや、遊女が普賢菩

キーウ(キエフ)・ヨーロッパ広場に見る弾圧の歴史

プロローグ1911年8月末、ロシア帝国最後の皇帝・ニコライ2世がキーウを訪問しました。 主な目的は、彼の祖父にあたる アレクサンドル2世の像がツァルスカヤ広場(現在のヨーロッパ広場)に作られ、それの除幕式に参加するためでした。 参列者は、皇帝一家のほか 首相ピョートル・ストイピン、ブルガリア王の息子はじめ欧州各国の代表たちでした。 除幕式の様子の動画が残っています。 馬車に乗り込む皇帝家族、 銃剣を持った何百人もの兵士のパレード、 建物の中からも式典を見ようと溢れる人

ロシア人とウクライナ人の歴史的統一について(プーチン論文)和訳

※グーグル翻訳を主に使っているのと、歴史的な専門用語がわからないところが多く、意味がわからなかったところもおおいのですが、概要がわかれば良かったので、翻訳がおかしいところもそのままグーグル翻訳をコピペして修正していませんのでご容赦ください。要点は太字にしてるので、そこを読むなだけでプーチンの主張はだいたい理解できます。 During the recent Direct Line, when I was asked about Russian-Ukrainian relati

物語 ウクライナの歴史

"ウクライナが独立を維持して安定することは、ヨーロッパ、ひいては世界の平和にとり重要である。これはアメリカや主要国の認識であるが、中・東欧の諸国にとってはまさに死活の問題である"2002年発刊の本書は『土地をめぐる視点』で元外務省の著者が潜在力と地政学的重要性を指摘した良書。 個人的には、日本在住のウクライナの方々とお話する機会があった時に、自分の勉強不足を痛感したことから本書を手にとりました。 ⁡ さて、そんな本書は1996年に駐ウクライナ大使に任命された著者が、自身が滞

ウクライナ避難民。歴史的な受け入れ表明へ。

 3月2日(水)、岸田文雄総理大臣が、ウクライナ避難民の日本への受け入れを表明しました。  避難民の受け入れは、私自身、強い問題意識を持って当初から悩み訴えてきた問題であり、我々の訴えに耳を傾け、スピーディかつ大胆な政策方針決定を成した岸田総理のこの度の英断に心から敬意を表します。  2月24日(木)、北京冬季オリンピックの閉会を待ち構えていたかのように、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界に衝撃が走りました。海外の友人たちからも、知り合いや友人の安否を心配する悲痛で

ロシアによるウクライナ侵攻について

ロシアによるウクライナ侵攻の勃発した翌朝は、ちょうど期末試験の最中だった。 言うまでもなく許しがたい暴挙である。 すでに今年度の授業は実質的に終了していた。生徒たちに、どうしたら伝わるだろうかと思案して、普段はあんまりそんなことはしないのだが、朝、新聞の一節を朗読した。 《今日、約70年続いた『戦後』は終わってしまったのだ。》という文句をよみあげる。子どもたちは反応する。 「えー」「そんなにすごいことなの」 それでも粛々とテストは続く。「どういうことなのか教えて下さ

国生み神話の淡路島を守る「洲本城」をご紹介

瀬戸内海に浮かぶ淡路島。 離島の中では最大の人口を誇るこの島は、日本最古の歴史書「古事記」の冒頭にも出てくる「国生み神話」にも登場します。 おのころ島で夫婦になったイザナミノミコトとイザナギノミコトが日本列島の島々を次々とつくっていきますが、その中で最初につくられた島がこの淡路島。 そう考えると、めっちゃスピリチュアルな島ですよね。 そんな神秘的な島を守る城のひとつとして後に築かれたのが、今回登城した「洲本城」です。 天守台に登ると眼前には紀淡海峡を見渡すことができ、そ

九尾狐の伝説

むかしむかし、中国商(殷)王朝の時代、紂王の后だった妲己を殺し、后になりすました一匹の妖狐がいました。 それが白面金毛九尾の狐です。顔は白く、身体は眩しいほどの金色の毛に覆われ、その尻尾が九本にわかれていることからこのように呼ばれたそうです。 妲己になりすました九尾の狐は紂王をたぶらかし、夫婦揃って悪政を行いました。 周の武王が商を攻め滅した時、妲己も捕まり処刑されました。 しかし、相手は恐ろしい妖怪です、ただでやれれるわけはありません。 周の姜子牙(太公望)が妖怪

三英傑それぞれの二条城

今、レキジョークルの「奥の枝道 京都編」を執筆中なのですが、歴史豊富な京都を調べるにあたり「二条城」の変遷が気になりました。 現在の豪華壮麗な「二条城」は徳川家康によるものですが、その事に関しては著書にてたっぷり書かせていただきました。 実は他に、戦国期において天下人が変わるたびにこの二条界隈に建てられた城が他に3ヶ所もありました。 それらの時代背景を書き記したいと思います。 一)織田信長から足利義昭へ永禄の変で兄の義輝が戦死 もともとこの地は兄の13代将軍・足利義

戦後映画史の傑作選、若年の感性が考える10の名作

人間が人間らしく生きる上で必要なのは文化だ。 とりわけ映画は、生活や人生に彩りを添えるための哲学とデザインを教えてくれる。 世界ではウクライナ侵攻が勃発。 パンデミックに戦争、ここ近年で、20世紀前半以前に世界史の針が巻き戻ってしまっているようだ。 こんな世相が暗い今だからこそ、何を感じ、何を考え、どう生きるかを問い直してくれる映画が愛おしい。 この映画を評価する上で、世代というのは極めて重要なファクターである。 制作当時の社会の温度感、流行、社会情勢、経済などの時代

田中正造が鳴らす、現代への警鐘(ドラマ「足尾から来た女」を観て)

「足尾から来た女」は、日本で初めての公害である足尾鉱毒事件を扱ったテレビドラマだ。 * 舞台となった足尾は、栃木県西部に位置しており、市町村合併のため現在は日光市の一部となっている。 足尾鉱毒事件とは何か明治時代初期、足尾は、近代化を進める日本により大量の銅が発見されてしまう。日清戦争、日露戦争で大量の金属が必要だったこともあり、古河鉱業株式会社(現、古河機械金属株式会社)が産出を担う。 その過程で鉱毒混じりの排水を垂れ流したことによって、地域に甚大な被害をもたらした