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エッセイ集『二十一日の夜明け前に』

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どうしてこの星にやって来たのか思い出せなくなってしまったときに。 Cover illustration : Satsuki Mishima
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エッセイ集「二十一日の夜明け前に」リニューアルスタート

「誕生日」という数字にどきどきする 11月14日から22日のあいだは毎年そわそわして過ごしてい…

春、韓国語を学びはじめた

 韓国語を学びはじめた。朝と夜に、ほんのすこしづつ、すすめている。  気づいたらここ二、…

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どうしようもない自分のまんまで信頼すること

 昨夜インスタグラムに書いたことなのですが、今朝になってもうすこし深く書きたかったので、…

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あなたはわたしの憎しみを得ることはできない

 今こうしているあいだにもガザで行われていることの、特集番組をみた。イスラエルはユダヤ人…

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「いち」

 鍼灸院の帰り、買い物をおえてビルの外階段をおりていた。  むこうから、母親に手をひかれ…

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レッツ・ノット・メイクセンス

 数学がにがてだった。とくに高校の数学ができなかった。永遠に正解にたどりつかない。テスト…

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晩夏と夜の海

 一日外に出なかった。夜九時すぎ、海まで散歩に行った。海のそばに住んでいても夜に行くことはあまりない。夜の海は身ひとつで近づくには少しこわい。はげしく打ちつける波を見つめていると、あと一歩で吸い込まれそうになる。そのうち空まで海の真似をしはじめるから、闇に打ちはさまれておそろしくなる。それでも、ごくたまに行きたくなる。命をたしかめるように。  海についた。堤防に座る。少しもしないうちに、昼間の酷暑の尾を引いた生ぬるい潮風があたまから足の先までべっとりまとわりつく。  左側

野枝が、アンネが、さけんだ

 今年初め、頭の中で「福岡、福岡へいけ」と声がした。秋までに行くよ、と答えた。お金がなか…

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10の夏の好きなもの

小さい頃繰り返し観た映画のひとつにミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」がある。す…

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人生は一枚のラブレターを書くようなもの

 三日三晩寝不足ですごした旅先からへとへとで帰宅した、昨年秋のとある深夜。  W杯のグル…

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今日が雨でよかった、と思える日が少しでも人生に多くありますように

 梅雨らしいしとしと雨の日、友人と会った。    長谷の大仏さまへつづくにぎやかな通り沿い…

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一日四メートル、前へすすもう

 梅雨のある晩、ごはんのあとふとデスク横の窓をみたら、大きなナメクジがひっついていた。つ…

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日記を書いている「私」はだれなのか

先日、日記とは一体何か?なぜ私たちは日記を書くのか?について思案したことを書いた。そのつ…

日記を書くということについて

1944年3月7日火曜日に、14歳のアンネが書いた日記だ。 2年に及ぶ潜伏生活の末にナチスに連行され収容所に入れられてしまうその5ヶ月前であり、また亡くなるおよそ1年前である。 + + + 今年の冬、「日記」をテーマにした二人展を計画している。 そのため、古今東西あらゆる日記を読んでみようと試みている。 今まで読んだ中で面白いなあ、なんだこれ!と思ったのは「和泉式部日記」だったが、日記の本質のようなものを問うきっかけになった意味でもっともすばらしいと思ったのが「アン