マガジンのカバー画像

短編小説

5
運営しているクリエイター

記事一覧

A meleancholy sky and colorful umbrellas

A meleancholy sky and colorful umbrellas

憂鬱な空と色とりどりの傘達 : A meleancholy sky and colorful umbrellas.
著 西野 績葉
Author: Sekiyou Nishino.

二〇〇六年五月七日

俺は思うんだ。いつも制約が文化を作っているって。

そう、たとえば、八ビットゲーム機の画面の制約が、ドット・アートを生み出したみたいに。男尊女卑だと思われた過去の世界で、女性が驚くほど数多くの文

もっとみる

小説 虚数の歌 (過去作品)

虚数の歌著作 西野績葉

wrote at 2003/09/01
(2003年電撃hp短編小説賞応募作品/一次選考通過作品) - 2003/09/01)

登場人物



 夕焼けが町を朱に染めていた。
 あたしは木の上で夕日に染まる町を見つめていた。
 朱に染まった町は言い様のない感傷を、あたしの胸に呼び覚ましていく。
 夕焼けに染まった世界の中で、あたしは時々こうして感傷に浸る。
 自覚して

もっとみる

deadcopy/format(デッドコピー、フォーマット)【短編小説】

--------------------
 deadcopy./西野績葉

 ガチャン、と何かが割れる音がした。それはガラスが割れる音だった。

 ――何もかもが退屈だった。
 何もかも、この頭が作り出したデッドコピーに見えてしかたがなかった。
 このどんよりと広がる雲のように、俺の心は澱みきっていた。
 会社にも慣れてきた。大学も大学院もストレートで出た。研究だって、そこそこいい成果がでたはずだ

もっとみる

overflow.

\title OVERFLOW
\author 西野績葉
\chap 0
 スーツを着た僕がいつもゆく公園には、丸い鉄の塊や、木で出来た上下する棒や、椅子や、青いそらがある。手を交差させて横を見れば、椅子には、線の細い、青いスカートを穿いた少女が居る。彼女はいつもそらばかり見てる。薄手のTシャツを着て、そこにはこう書いてある。
''No Fair.''
 僕は砂場で三角形を作る。完璧な三角形を作る

もっとみる

よぉ、おまえ。[ショートショート小説]

西野績葉
2019年9月19日
ひきこもり文学大賞応募作品

『よぉ、おまえ。』

よぉ、おまえ。

どこにいるんだ?

くそ、また架空の友達に話してる。

誰も俺のことなんか理解しちゃくれねぇんだ。

この1週間、風呂にも入ってないし、どこにも出かけてねぇ。

食パンに何かを塗ったくって食って、キュウリを健康のためにってかじってる。

だいたいパソコンの前に座ってる。もしくは最近買ったばっかりの

もっとみる