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共依存とは?|原因・なりやすい人の特徴・改善方法

「なんでいつもクズ男しか寄ってこないの?」
「別れたほうがいいって言われても、簡単に離れられない」
「私の家庭って、一般的な家庭と違うのかな?」

などのように感じたことはありますか?人間関係でうまくいかず悩むことが多いあなたは、共依存になりやすい人かもしれません。今回は「共依存」をテーマにして、共依存になる原因や特徴を詳しく解説します。誰かに「あなたは共依存かもしれない」と言われたことがあったり、誰かに依存しがちな傾向がある人はぜひ最後まで読んでください。


共依存とは?

共依存とは、依存症者に必要とされていることに価値を感じ、ともに依存を維持している関係のことです。言い換えるならば、「お互いがお互いに依存しあっている状態」が共依存の状態です。

共依存は、1970年代のアメリカで生まれた言葉です。もともとは、アルコール依存症の夫を支える妻の状態から名付けられました。

妻自身もアルコール依存症の夫に悩んでいました。にもかかわらず、夫が迷惑をかけた相手に謝りに行ったり、他人に対してアルコール依存症であることを隠します。世話を焼くことを妻は良かれと思ってやっていますが、夫にとっては飲み続ける環境が整っている状態です。そのため、夫はアルコール依存症を克服できません。

この一連の流れを読み取ると、妻は献身的な行為で夫をコントロールしてしまっています。結果的に不本意な事態を招き、夫婦ともに悪循環に陥ります。これが共依存です。妻は、ますます夫のことで頭を悩ませてしまいます。

「なぜこんなことになってしまったのか......」

わからずに、怒り・悲しみ・絶望・混乱の中で途方にくれてしまいます。

以上のような状況をどのように感じましたか?一度冷静になってイメージしてほしいです。「気持ちがよくわかる」と思う人もいれば、「なぜこんなことで悩んでしまうのか分からない」と思う人もいるでしょう。

どちらが正解というのはありませんが、おそらく一般的には「なぜ妻がここまでしないといけないの?」 と感じるのではないでしょうか。こんな状況は嫌だと思っても、離れられないところに共依存の難しさがあります。

共依存チェックリスト

共依存のチェックリストは、ネットで調べるといろいろ出てきます。今回の記事では「秋葉原カウンセリングルーム うみ」様のブログから引用して紹介します。

下記の項目のうち5項目以上当てはまる場合、共依存の可能性があります。

  1. 自らを犠牲にして相手を助けたり、世話をしたりする

  2. 相手の行動、感情、考え方、状態、結果を変えようとコントロールする

  3. 問題や危険が起こっているような人間関係に巻き込まれていることが多い

  4. 依存心が強く、一人でやっていけるという自信がなく、見捨てられるかもしれないという不安に駆られる

  5. ある特定の相手のことで頭がいっぱいで、視野が狭い

  6. 自分の失敗は大したことがないと思ったり、嫌なことは見て見ぬふりをしたり、表面は何でもないように振舞う

  7. 相手とのバウンダリー(境界線)がはっきりせず、相手が落ち込んでいると自分も気分が落ち込んでしまったりする

  8. 個人の問題にのめりこんだり、相手からの精神的・性的・身体的侵入を許してしまったりする

  9. 罪の意識に襲われやすく、相手の問題は自分のせいだと思い込んでしまいやすい

  10. 過去の人間関係の間違いから学ぶことができず、同じ間違いを繰り返す傾向がある

  11. 被害者意識に囚われ、自分は犠牲者だと思い込み、弱々しくなる

  12. 自分の周りに害があるのに、波風を立てぬよう、問題を明らかにしない

  13. 相手から離れられないでしがみついていることを『愛情』と取り違えている

  14. 「こうあるべきだ」という社会の通念、または「こうなるはずだ」というファンタジーに囚われやすい

  15. 相手の気分を敏感に察して、先へ先へと頭を働かせたり、心配したりする

  16. 「ノー」が言えず、なんでもかんでも引き受けて疲れてしまったり、恨みが積もったりする

  17. 責任感が強すぎて、何でもがむしゃらにやりこなす

この傾向は「アダルトチルドレン」の傾向と似ています。今回は共依存がテーマですが、アダルトチルドレンの場合、自分のなかの「共依存症」性に気づくことが重要です。

共依存になる原因とは?

以下では、共依存になる原因を解説します。

幼少期の家庭環境

共依存になりやすい人は、幼少期の家庭環境が影響していると言われてます。共依存になる人の家庭環境は「機能不全家族」である可能性が高いです。

機能不全家族とは、ストレスが日常的に存在していて本来のあり方ではない家族のことです。機能不全家族では、下記のようなことが起きやすいと言われています。

  • 育児放棄

  • 兄弟差別、無関心

  • 虐待

  • 子どもに対する過度の期待

不健全な生活環境で人格形成のための大事な時期を過ごしたことで、大人になってから認知の歪みや共依存など生きづらさを抱える場合があります。以下のような家庭環境の場合は、共依存になる可能性が高くなるでしょう。

  • 家族に何らかの問題を抱えた人がいる:身近な家族に何らかの問題を抱え、常に心理的に不安定な人がいる場合

  • 子どもの成長に必要な環境が十分でなかった:食べ物、衣服、住まい、医療など、生きるために欠かせない環境が十分でなかったとき、感じていた大きな不安が原因となる

  • 無条件の愛が得られなかった:子どもの頃、養育者に無条件に愛された経験がない

  • 家庭の中に、本来あるべき安心感がなかった:子どもの頃育った家庭内に安心感がなかった場合、長期間にわたって直面していた不安が共依存症を引き起こすことがある

  • 家族の中に、社会人として健全なロールモデルがいない:問題から逃げたり、反社会的な言動をしたりする家族の下では、確固たる価値観を築きにくくなる

自己肯定感の欠如

共依存になる可能性が高い人は、自己肯定感が育まれていない可能性が高いです。ありのままの自分を受け入れられないので、他者と比較することが多いのが特徴です。その結果、自分を肯定できず誰かから必要とされないと自分の存在価値を感じられなくなってしまいます。

自己肯定感は幼少期の家庭環境のみならず、学校や友人関係など思春期の経験から少しずつ失われていく可能性があります。容姿や体型にコンプレックスを抱えていたり、いじめを受けたりすることも自己肯定感が低くなる原因の一つです。

ストレスを抱えたまま大人になる

共依存になりやすい人は、幼少期に感じたストレスを抱えたまま大人になっている可能性が高いです。いわゆる「アダルトチルドレン」であり、家族以外の人間関係において共依存になりやすいと言われています。

ただし、アダルトチルドレンと呼ばれるすべての人が共依存になるわけではありません。人によって性格や感受性、気質、ストレス耐性が違います。あくまで共依存になりやすいだけであり、生き苦しさから抜け出すことはできます。

共依存になりやすい人の特徴

以下では、共依存になりやすい人の特徴を解説します。

世話が好き

共依存になりやすい人は、世話好きなことが多いです。世話好きの何が問題なのか分からない人もいるかもしれませんが、世話好きが過度になりすぎると世話することでしか自分の存在価値を見出せなくなる傾向が高まります。相手側も「ここまでされたら従わないといけない」と無意識に考えてしまうでしょう。

相手を支配する気持ちはないのに、アドバイスをしたり行動をサポートすることで結果的に自分の存在価値を見出している人は共依存体質でしょう。相手に感謝などをしてもらうことで自己肯定感を高めるような行動は、まさに共依存につながりやすい行動です。

相手が求めているならまだしも勝手に世話をして喜んでもらいたいと思ってしまう人は、とても優しい人なのでしょうが共依存体質の可能性が高いでしょう。

嫉妬深い

共依存になりやすい人は、嫉妬深いことが多いです。よく言うならば、それだけ相手への想いが強い、愛情深いとも考えられます。ただし、強い嫉妬心や深い愛情は共依存になりやすいでしょう。相手の感情や行動をコントロールしたいと考えてしまいます。

本来は相手の感情や行動をコントロールできません。しかし、共依存体質の人は相手を束縛して独占しようとします。本人の自覚がない状態でおこなうこともあるでしょう。相手方は自分を深く必要としてくれている、愛してくれていると感じてしまい、束縛されていることに自分の存在価値を見い出すことがあります。まさに共依存の関係性が出来上がってしまいます。

幼少期に深いトラウマがある

共依存になりやすい人は、幼少期に深く傷ついた経験がある人が多いです。いわゆる「トラウマ」となってずっと心に残っていると、引きずったまま大人に成長します。

子どもの頃に失った自尊心を取り戻そうと、必死に仕事をしたり他人に尽くして評価を得ようとします。評価されないと信じられないほど落ち込んだり傷ついたりするのも共依存体質の人の特徴です。自己肯定感が低いため、他人から評価されないと自分の存在価値を見出せない傾向があります。幼少期の環境や経験は、大人になってから大きな影響を及ぼします。

自己肯定感が低い

共依存になりやすい人は、自己肯定感が低い人が多いです。自己肯定感が低い人は、自分で自分の存在価値を見出せない傾向があるため、他人からの評価を求めることが多くなります。いわゆる「承認欲求が強い」と言われるもので、他人から評価されることで初めて自分の存在価値を見い出せます。

自己肯定感が低い原因の一つは、幼少期の生活環境や経験です。両親から褒められることがなかったり、すぐに怒られて育ったり兄弟間で差別があったりすると、自分の存在価値を見出せなくなる可能性が高くなります。自分に自信がなくなり、何を考えるにしてもネガティブになりがちなのも自己肯定感が低いことが大きな理由です。

自分に自信がなくて他人からの評価や承認が欲しいため、他人から嫌われないように行動しがちです。どんなに嫌なことをされたとしても、一度優しさを見せられていたら離れないこともあります。DVを受けたとしても、自己肯定感が低いため「私がいけないからDVされちゃうんだ」と思ってしまう人もいます。ここまでくるとかなり生きづらくなるため、注意が必要です。

共依存は何が問題なのか?

以下では、共依存は何が問題なのかについて解説します。

お互いがつらい

依存する側は、相手に離れてほしくないからとにかく尽くします。共依存体質の人は、意識的ではなく無意識レベルでおこないます。

依存される側は「この人は私がいないと生きていられないんだ」と思い込んでしまいます。たとえ多少の生きづらさを感じていようと離れられなくなります。お互いに依存すればするほどつらくなるのがわかっていても、簡単に離れられないのが共依存です。

お互いに成長がない

共依存体質の人は、相手に成長してしまうと困ります。自立されると自分を頼ってもらえなくなるので、無意識に相手の成長のチャンスを潰します。自分も成長できませんが、相手も成長できず足を引っ張り合うのが共依存です。

相手を無意識に支配(コントロール)する

例えば親子関係の場合、親は子どもに自立してほしくないので過剰に世話をしたり干渉したりします。子どもは親の世話を受けたいために、成長せずにいつまでたっても離れようとしなくなります。

また夫婦関係の場合、夫からDVを受けようと従順なふりをすることで、この人がいないとダメなんだと思わせます。お互いに依存し合うため、無意識に相手をコントロールしてしまいます。

相手をダメにしてしまう

共依存体質の人は、自分の存在価値を見い出すために「他者」を必要とします。自分が世話をし続けることで、相手には「この人がいないと自分はダメなんだ」と思い込むようにしてしまいます。結果、相手は成長することなく、依存相手がいないと何もできないようになってしまうでしょう。

孤立する

共依存関係は、お互いがお互いに依存しあっている状態です。仕事やプライベートで何かしらの影響が出たとしても、共依存の関係を優先します。そのため、友人関係や職場の人間関係に問題が生じることもあるでしょう。

仮に問題が発生して、異常なことを指摘されても聞く耳を持たないのが共依存の特徴です。自分たちが間違っていると思わないため、周りから孤立していきます。そのため、ますますのめり込んでいってしまうのが共依存の怖いところです。

共依存の改善方法

共依存の改善方法はいろいろあります。下記の紹介のうち、できそうなものから実践してみてください。

共依存になっていることに気づく

共依存になっている人は、お互いにとって良くない状態であることになかなか気づきません。だからこそ、まずは共依存になっていることに気づくことから始めましょう。

限界設定する

限界設定とは、ここまでは良くてここからはダメの明確な線引きをすることです。限界設定の例は、下記のとおりです。

  • 急な呼び出しには応じない

  • 電話に出るのは夜◯時まで

  • お金の貸し借りは一切しない

自己主張する

限界設定をしたらタイミングを見計らって相手に伝えられるようにしましょう。ただし、共依存体質の人は、自己主張が苦手です。そこで一つの手段としては、アサーティブコミュニケーションをおすすめします。

底つき感を覚悟する

限界設定を決めて自己主張すると、相手は何かしらの反応を示します。喜怒哀楽激しく出してきて、精神的に安定しなくなること(=底つき感)もあるでしょう。ここまできたら、つらいときがあったとしても最後までやり遂げる覚悟を決めましょう。ここで手を差し出したら元どおりに戻ってしまいます。

一人で解決しようとしない

共依存になっているときは、周りが見えなくなっている状態です。なんでも一人で解決しようとしたら、どうにもならなくなるときもあるでしょう。

そのようなときは、専門家に相談することも一つの手段です。カウンセリングを受けることで、自分ではどうしようもできないモヤモヤした気持ちを対話を通して紐解いてくれるでしょう。

まとめ

今回の記事の内容をまとめると、下記のとおりです。

  • 共依存を簡単に言うならば、「お互いがお互いに依存しあっている状態」のこと

  • 共依存になるおもな原因は、「幼少期の家庭環境」「自己肯定感の欠如」「ストレスを抱えたまま大人になること」

  • 共依存になりやすい人のおもな特徴は、「世話が好き」「嫉妬深い」「幼少期に深いトラウマがある」「自己肯定感が低い」

  • 共依存の問題点は、お互いにつらくて成長もなくなり、相手をダメにしてしまうことなど

  • 共依存の改善方法は、まずは自分が共依存状態にあることに気づくことから

  • 自分自身ではどうにもならないときは、専門家に相談する

共依存になると、周りが見えなくなってアドバイスを素直に受け入れられなくなります。苦しいのがわかっているけど、離れられない......それが共依存です。

共依存の関係性は、自分を犠牲にして心身に悪影響を及ぼします。共依存から抜け出したいと思っている人は、今回の記事を参考にして自分ができることから始めてみましょう。また、一人で思い詰めるのが苦しい人は、専門家のカウンセリングを活用することも検討してみてください。

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