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#70『のっけから失礼します』(著:三浦しをん)を読んだ感想【読書日記】

三浦しをんさんの『のっけから失礼します』

雑誌「BAILA」の連載に加えて、文庫版の追記やあとがきも掲載された三浦さんのエッセイです。
「ナツイチ2023」の対象文庫にも入っています。


読んだきっかけ

今回は「ナツイチ2023」の対象文庫から選びました。ラインナップを見ながら、今月はエッセイを1冊読みたいと思っていたこともあって三浦さんのエッセイを手に取りました。先日読んだ『船を編む』がすごく面白かったこともあり、エッセイはどんな感じなのかも気になっていました。

このような方にオススメの本です

  • 思わず笑えてしまう本が読みたい

  • 「ナツイチ」の本が読みたい

  • 三浦しをんさんのエッセイが気になる

あらすじ

ありふれた日常……の、はず、なのに!?
三浦しをんワールドが炸裂する抱腹絶倒超大作エッセイ集!

愛する漫画や宝塚、EXILE一族への熱き想い、家族との心温まったり温まらなかったりする交流、旅先でのあれこれ、タクシーで個性的な運転手さんと繰り広げられる会話、ふとしたきっかけから広がる壮大な空想……。なにげない日常のはずなのに、なぜだかおかしい。雑誌「BAILA」での連載5年分+αのエピソードがこれでもかと詰め込まれた、三浦しをんワールド全開の爆笑エッセイ集

集英社より

感想

  • 想像力、いや妄想力全開の話に笑いが止まらなかった

  • 日々を楽しく過ごすのに、妄想力は必須?


作家さんのエッセイは、文章の表現力によって何気ない日常が何倍も濃く見えるところが好きです。三浦さんのエッセイも何気ない日常が描かれていますが、すごかったのは1つ1つの話の中の想像力、いや妄想力が全開だったこと。シュールな感じで、とにかく笑いが止まらなかったです。

読み進めていくと、どこにでもありそうな日常が「楽しそう」と思えました。文章による表現力もありますが、この妄想力がすごいからなのかもしれません。もしかしたら、日々を楽しく過ごすのに妄想力は必須かもしれないとまで思えました。


印象的な話は、「危険地帯テラス席」「夢を見るのもたいがいに」「まちがいにときめく」「非実在野球人生」「無常の味わい」です。
特に「非実在野球人生」にある「脳内で自分の野球人生を妄想する」は僕もやっていたことがあります(笑)。その話に出てくる編集Tさんの妄想力もすごい……。

印象的なフレーズ

読書を好きな理由はなんですか、とたまに聞かれることがあり、「好きに理由はいらん」と思っているのだが、あえて考察してみると、「自分以外のひとの人生や感情を知り、想像することができるからかな」という答えに行き着く。
(中略)
それで行くと、夜に見る夢も同じぐらい好きだ。読書に比べ、夢はどちらかというと「自分の内部へ開かれた窓」で、現実では体験できないことや、突拍子もない展開が起きたときに、自分がどう感じ行動するのかがわかる。そこがおもしろい。

『のっけから失礼します』

そう考えると、「フツー」なんて実体のない、どうでもいいことなんだなと思う。フツーかフツーじゃないかなんて、気にしなくていい。我々は今後も食べたいものを食べ、つまさきを存分にしならせる!

『のっけから失礼します』

人生は仕事するためにあるのではない。漫画読んだり舞台見たりと、創作物を味わうためにあるのだ!

『のっけから失礼します』

もし、人類または一個人に残された時間が無限だったら、私なぞは延々とぐうたらし、なにかを「知りたい」と願ったり、だれかと遊んだりすることもなく、退屈を退屈とも思わぬまま過ごしてしまいそうだ。
無常だけど、生きる。無常だからこそ、生きる。

『のっけから失礼します』

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