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20240316「石の聴覚」

とんとんと
音を染み込ませ
じっくり聞かせている
入れないけれども
その表面では
何かを感じている
塞がれた微細な穴を通り
その奥の方へと向かう
そのどれもが困難を伴うが
色あせない色合いと
細れ石の各々の違い
たゆたう代わりに
その意思を匂わせる
気づけば落ちて
砕かれるのに
それを厭わないのは
誰かの暗示
それでいて構成の一部
わたしの坂を一旦降りる

降りたら降りたで
底辺をなぞり
勾配あたりをうろうろして
次の隆起をもって
その深さと高さを見つめるだろう
沈黙でも
喝采でも
混ぜ込んで
耳を澄ませておこう
聞こえない声らの音階
どこからともなく聞こえる声
知らずの影から
あからさまな太陽まで
日のひかりを浴びて
朗らかに花たちが綻ぶ
散りゆく季節を前にして
その下で待っていよう
呼ばれていない参加者でも
そこにいることはできるだろう

伝聞では別の事象が引っ掛かり
どこで滞ってるのかは
定かではない
それなのに
また花が咲く
よく言う口癖や
絶え間ないお喋りの蓄積
ひとつを拾い
ひとつを捨てる
録音されない日常の声
どんな一言を言えばいいのか
まだわからないというのに
ぺらぺらとめくるのは
どのページなのか
読まなくては理解できないくらいに
もう囀りを聞かせてくれるから
返答の是非を解凍しておこう
焼け石の熱を蹴って
春を転ばせに行ってみよう

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